閑話:とある下級精霊の寂しさ
トリティアのお話です。
私は、この霊樹の森に数百年という永い時の中で生きてきた。
最初は仲間も沢山いた。
だが、殆どの者はその老いに耐え切れずその姿を消していった。
下級精霊など、その少ない寿命の中で何かに宿りそして消えていく
儚い精霊だ。
私に許された時間も、あとそんなに永くは無いだろう・・・
そんな時、私の下に在る私がこの木に宿る前から存在する部屋に
人間が現れた。この人間は何処から来たのだろう・・
だが、その人間は唯の人間ではなかった。
(何・・この魔力!本当に人間なの?)
その人間からは、今までに感じたことが無い程の強い魔力が感じられた。
まるで、魔力の海をその体の中に持っているかの様なその人間は下の部屋
から地上に出て来ると、私の下に近づいて来て私に触れた。
触れた瞬間に分かった。その人間が持つ有り得ない程の強大な魔力は、海
なんてものじゃない。
その魔力を一言で言い現わすなら、『一つの世界』の様だった。
そして、その人間は私にその強大な魔力の一端を流し込んで来る。
(なんなのこの魔力は!・・力の大きさの桁がもはや分からない)
その注がれた魔力に驚く暇も無い程のスピードで私は、種としての進化を
してしまった。
(か・・下級精霊から一気に精霊王になってしまいました・・は・・はは)
もはや驚すぎて笑うしかなかった。たった一人の人間から与えられた魔力で
何階級も一気に進化してしまうなど・・この方は人間では無いのかも
私に力を与えてくださった方は、今空腹で座り込んでいます。
力を与えてくれたお礼に私の実を差し上げましょう。
私はその方に、実の付いた枝を伸ばします。すると彼はそれをモシャモシャと
美味しそうに食べてから、私の落ち葉を集めて下の部屋に運びベッドにして眠り
始めました。
同胞の精霊が次々寿命を迎える中で、私だけが生き残り寂しさを感じていまし
たがこれからは寂しくないですね。
(だってこの主様がこれからは、一緒に居てくださるんですもの)
そして、今私は私の体の上で眠る主様の隣で座っています。
睡眠が必要ない精霊族なのが少し悔やまれますが・・
今は、これから訪れるであろう幸せを考えるだけで私の心は満たされます。
そう、これからの未来に寂しさは有りません。
とある下級精霊だった精霊王から、寂しさは消え去りました。
続く
次回:本編です。
下記は精霊の級位です。右にいく程強い精霊種になります。最上級にもなれば寿命
などほぼ無いに等しいです。
設定:下級精霊→中級〃→上級〃→最上級〃→特級〃→超級〃→王級〃→帝級〃→神級〃
トリティアは王級に分類される精霊です。上から3番目に強い精霊種ですね。




