日常(終1):エルフ達の決断
朗児達がダーク・エルフを半殺しにした日の翌日
ハイ・エルフの里の族長の家では、緊急の族長会議が開かれていた。
今回もダーク・エルフ以外の全種族の族長が参加していた。
まず最初に発言したのは、議長のハレイドだった。
「皆よく集まってくれた。早速だが議題は、魔地の主であるロウジ殿に
ついてだ。彼についてのそれぞれの見解を聞きたい」
その問いに最初に答えたのは、火のエルフ族族長のカルドだった。
彼は、彼の地に敵対行為をしてから不可侵条約が結ばれてなお朗児達
を恐れていた。より正確に言えば、ウォッタムを恐れていた。
「お・・俺はもう、あの地に関わりたくない!これは俺だけでなく
一族皆の総意だ。もう怖いのは嫌だ!」
言いながら、ウォッタムに瞬殺されたことを思い出したのかブルブル
と体に感じた冷たさを必死に自分の腕で体を抱きしめ忘れようとするカ
ルド
それを見た幼馴染のリアスは、カルドの性格の変わり様にビックリした。
(あの暑苦しく戦闘狂のカルドがここまで怯えるとは・・煩く無くなったので
私的には嬉しいですね)
そう思いながら暫く笑顔でカルドを見ていたリアスだったが、そんなリア
スを見たカルドは、一瞬固まってからリアスに土下座して
「リ・・リアスの姐御!その笑顔は怖いッスやめてくださいッス」
と言った。周りで見ていたエルフの族長達は皆
((((キャラが変わりすぎだろ!))))
と思っていたが声にはしなかった。
おそらく、ウォッタムに負けてから水魔法使いに異様な恐怖を覚えるように
なったと推察した族長達は少しカルドに同情した。
が、リアスは
「姐御?・・貴方の方が年上でしょうに・・でも崇められるのも悪くない気分な
のでリアス様かリアスお嬢様とお呼びなさい」
この様に、若干のライバル関係にあったカルドが自分に敬意を示した感じで
接するようになったことにそこそこの満足感を感じていた。
「わ・・わかりましたリアス様」
カルドは土下座しながら、言われた通りの敬称でリアスを呼ぶ。
「リアス殿は、鬼でゴザルな」
「先輩って時々僕より性格悪くなるよね」
「は・・話が進まないのだが・・それと
私も様付けで・・なんでもない」
他の族長達もハレイド以外は少しひいていた。
「というか・・私達水のエルフ族は、もうすでに友好的関係をロウジさんと
結んでいるので、ハレイドさんがロウジさんの力を恐れているならいっそ
のこと私達も彼の傘下に入りますか?」
リアスは、友好的な今の関係に納得出来ないのならそれぐらいしか考え
つかなかった。
なにせ相手の戦闘力は、もはやこの霊樹の森に居るエルフを総動員して
も敵わないとリアスも含め族長達は知っているのでそれぐらいしか無いの
だった。
「では・・逆に傘下入りに反対の者は?」
そう問いかけたハレイドに反応する者はいなかった。
本音を言えば、ハレイドは嫌だった。今から自分達が人間の傘下になる?
エルフで600歳を超える者達は過去にあった人間との戦を覚えている者も
多い。そんな者達が朗児の事を認めるとはハレイドは到底思えなかった。
ハイ・エルフの種族以外のエルフ達今ここに居る自分以外の族長達の里は
大丈夫だろう。
だが、ハイ・エルフ族はそうもいかない。
悪ければハイ・エルフの里内での内乱に発展するような話だ。
他の族長達が傘下入りに賛同の意思を思わせている中で、彼だけは悩んで
いた。
その時、会議場にエリラが現れた。
突然の娘の登場にハレイドは少し動揺する。
「どうしたエルラ」
動揺しながらも訪問理由を聞く。
「いえ・・ただ他のハイ・エルフ達もこの話には賛成だという総意を伝えに
来ました」
その発言にハレイドは一瞬自分の娘が何を言っているのか理解できなかった。
数秒かけて理解したその言葉に今度は疑問が湧いてくる。
「待て。ハイ・エルフ達に確認したのは、分かったが我が一族が本当に賛同した
のか?」
我が一族は、この件に猛反対だと思っていた彼は娘の言葉とは言え信用出来な
かった。
「ええ。彼の力を雨を降らせるなどの行為などで理解はしていたようです。
ですが、その時はまだ力が強いだけの化け物だとしか考えていなかった
ようですが」
(ほら見ろ・・どう言いつくろおうと彼は・・ん?その時は?)
「彼がダーク・エルフの一族をフルボッコにした件で皆彼の力を正式に認めた
と言うか、もしかして逆らえば自分達もダーク・エルフのようになるのでは
という畏怖心がハイ・エルフ達の心を一つに纏めたようで」
エルフの一族で唯一自分達と同格であるダーク・エルフの精鋭達が瞬殺された
ことは、ハイ・エルフ達に次は自分達かも?と言う恐怖を与えた。
(人間は嫌いだが・・彼なら認められるか・・今更だが、彼は本当に人間か?)
そんな思いを抱きながらもハレイドは決定を下した。
「分かった。これより我等は彼の地の主であるロウジ殿の傘下になる」
ハレイドの決定に他のエルフの族長達が皆頷いた。
こうして、霊樹の森もエルフ達が朗児の傘下となった。
続く




