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神樹の魔地が主  作者: 冬森レイ
霊樹の森の支配者
21/25

日常(4)


  風のエルフの里に行ってから数日が過ぎた。


  今日は、土のエルフの里にあるチャルミルさんの鍛冶工房に遊びに行く約束

 をチャルミーナさんにした日だ。


  今回も、案内役としてエルラさんが同行する。


  眷属からは、トリティアが同行する。


  エルラさんの案内でやって来たのは、頑丈そうな壁に囲まれた土のエルフの里

 だ。水のエルフの里にあった壁よりも頑丈そうだ。


  エルラさんに聞いた話では、水のエルフの里の里壁は土エルフ達により

 作られたものだそうだ。


  里の中には、沢山の鍛冶屋や酒場がありドワーフらしき者もチラホラと居る。


  エルラさんの案内で、チャルミルさんの工房に到着した。


  チャルミルさんの工房は、周りのどの工房より立派だった。


  中に入ると、チャルミーナさんが待っていた。


「お待ちしてました。妹は自分の作業部屋から出て来て無いのでソコに

 ご案内しますね。此方ですよ」


  そう言ってチャルミルさんのところに案内してくれるチャルミーナさん。

 僕等もその後に続いて歩いていく。


  やがて、大きな扉がある作業部屋に着いた。


  中で待っていたのは・・


  軽装鎧を身に着けて、大きな盾を此方に向けて突き付けているチャルミルさん

 だった。


(何この人・・出会ってすぐに戦闘体形をとってるよ)


  チャルミルさんは、少し震えながら言葉を吐き出すように喋りだす。


「何しに来たんですか化物・・話合いに出なかった私を始末するつもりですね!

 簡単には負けませんよ。かかってこい!」


  何か勘違いしてないかな。とりあえず・・どうしよう?


「どうした・・私が美人だから殺すのを躊躇っているのか?」


  それは無い。貴女の姉の方が美人だから。


「「いい加減にしなさい!」」


  チャルミルさんは、自分の後方に移動していた姉とエルラさんにより拳骨を

 くらって痛そうにのたうち回る。


「痛~い・・何でエルラっちにまで殴られるの!私何かした?」


  チャルミルさんはエルラさんとは仲が良いようだ。


  チャルミーナさんによると、リアスさんとチャルミーナさんは仲良しでその

 関係でエルラさんとチャルミルさんも仲が良いそうだ。


(僕的には、チャルミーナさんとリアスさんの仲が良いのに驚きだな)


「その・・私を殺しに来たんじゃないの?」


  なんでそうなったか不思議だが、とりあえず頭を左右に振って否定しておく。


  すると、やっと安心したのかチャルミルさんが自己紹介してくる。


「えっと、私が土のエルフ族で一番の防具鍛冶職人であり族長のチャルミルだよ

 呼ぶ時は、チャルでもミルでも好きに呼んでね」


  そう言い終わると、彼女は力が抜けたのかその場に座り込む。

 その横からチャルミーナさんが前に出て来た。


「私は、もう会っていますが改めて自己紹介しますね。チャルミルの姉でこの里の

 鍛冶職人ギルドでギルド長をしているチャルミーナです。呼ぶ時は、ミーナとで

 も呼んでください」


  鍛冶職人ギルド?僕が疑問に思っているとミーナさんが説明をしてくれた。


「鍛冶職人ギルドは、エルフとドワーフの鍛冶職人達の関係を取り持つために出来

 た組織です。鍛冶に使う鉱石などは、ドワーフ族から買っていますのでその仲介

 役としての役割も担っています」


  成程。この里も、他の里には無い特色があって面白いな。


  僕等も自己紹介をしてから、ミーナさんの案内で里を回る。


  チャルさんは


「面倒なのでお姉ちゃんに一任します」


  と言って何処かへと逃げていった。ミーナさんは慣れたもので、妹が逃げても

 無視して僕達の案内を始めた。


  様々な職人の工房やお店を案内してもらい、最後に一番大きな酒場で夕ご飯を

 食べて終了となる。


  その酒場には、僕達が入る前からチャルさんが居て一人のドワーフと言い合いを

 していた。


「だから~この鉄とアルスタイトで・・」

「じゃからアルスタイトより・・こっちじゃ」


  何か職人同士で盛り上がっていた。面倒という言葉が口癖の彼女にしては凄い

 口論だ。


  それをずっと眺めていると、僕の横にミーナさんがやって来てどうしたのか

 聞いてくる。僕は、チャルさんが居ると言い指を指す。


  ミーナさんは、チャルさんを見て納得する。


「チャルもこの場に呼んでいたので・・でもあの方も一緒だとは驚きました」


  僕は、ミーナさんにあのドワーフを知っているのか聞いてみた。


「知ってますよ。あの方は、チャルの鍛冶師としての師匠です。

 ドワーフでも10本の指に入る鍛冶職人です。時々ここに来て

 は、ああやって二人で口論をしているのです」


  そこまで言ったミーナさんの横にエルラさんも来てビックリした顔をする。


「ガルインさんですか・・あの方も父の冒険仲間なんですよ」


  てことは、エルラさんとも知合いなんだ。そう聞くと


「いいえ。ハイ・エルフは、ドワーフと交流が無いので会ったことはありません」


  それは以外だな。親の冒険仲間なら会っていても不思議は無いものなのに

 どうしてだろ?


  その疑問を見越したのか、エルラさんは説明を続ける。


「ハイ・エルフ族とドワーフ族はずっと仲が悪いので、ハイ・エルフ族の族長として

 彼と仲良く振舞うことは父には出来なかったですからね。仕方ないかと」


  成程。それなら会ってないのも頷ける。


  そこまで話して、僕等も予約していた席で食事をする。


  ドワーフも食べに来ることがあるからか、割と量があり大味な料理がメニュー

 にもそれなりに入っている。


  僕は、とりあえず軽いサラダを注文する。


  他の皆もそれぞれ料理を頼み、食事をする。


  ミーナさんは、食べ終わるとお酒を飲もうとする。


  そこに、チャルさんが勢いよくやって来て


「お姉ちゃんにお酒はダメ~」


  と言って、ミーナさんからお酒を取り上げようとするがそれよりも早くミーナ

 さんはお酒を飲んだ。


  その時になり気付いたが、周りにいた客が全ていなくなっていた。


(もしかして・・酒癖が悪いとか?)


  僕も逃げる準備をするが・・


  お酒を飲んだミーナさんは、チャルさんの頭を鷲掴んで振り回しながら


「いいツマミ発見・・ガブリ」


  とチャルさんの腕に噛みついた。


「ぎゃ~痛い痛い。腕に歯が食い込んでる」


  チャルさんは物凄く痛そうに叫ぶ。


  この隙に撤退するか?チャルさんを犠牲にして?


(・・貴女の犠牲は無駄にしない)


  僕は撤退姿勢に入る。が・・


「食事が逃げちゃダメでしょ~」


  高速で移動したミーナさんにより退路を塞がれた。

 どうする?


  こうなったら、ミーナさんを退治して撤退するしかないか・・


  結果・・お酒に狂ったミーナさんを僕が抑えてその間にトリティア

 のツタでミーナさんを拘束した。


  こうして、ミーナさんの酒狂い事件は終わりを告げた。


  

  その翌日チャルミルの工房にて


「その・・お騒がせしました。昔から私、お酒はダメで」


  目の前には、昨日の事件を詫びてくるミーナさんと


「噛みつかれただけで包帯まくとか・・どんだけ嚙む力強いん

 ですか姉さん」


  腕に包帯をグルグル巻いてるチャルさんが居る。


  今日帰るのだが、その前にチャルさんから渡す物があると

 言われたので再び工房に寄った。


  渡された物は、一通の手紙だった。


  差出人は、昨日酒場に居たドワーフのガルインからだった。

 

  仙人からも僕のことを聞いていて興味を持ったので、今度ドワーフ

 の里にも訪ねて来いっていうような内容の手紙だった。


(ドワーフの里か・・後で行ってみるかなローウェン仙人も居るし

 面白そうだしな)


  そして、僕等はチャルミルさんとチャルミーナさんに見送られて

 土のエルフの里を出た。


 続く


  

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