日常(3)
水のエルフの里で、風と土のエルフ族の里にも出入り出来る許可を貰った。
それから三日経った頃、僕は風エルフの族長であるウルドさんが持っていた
刀に興味が湧き風のエルフの里に行ってみることにした。
今回も、以前にローウェン仙人から貰った地図を元にエルラさんに案内して
もらう。
今回の訪問には、ウォッタムとナナルも同行する。
風のエルフの里は、数本の巨大な木に床を張りその上に家屋が建っている
里だ。
風エルフ達は、風の魔法の力で浮遊しながら移動している。
水のエルフの里みたく強固な壁は無いが、あの高さの里だと外敵も登れ
無いだろうから造られていないのだと思う。
里を支える木の真下に到着した僕は強着魔法でジャンプして里に入る。
エルラさんは、風の魔法も使えるらしく浮遊しながら移動して僕に続き
里に入ってきた。
ウォッタムはスライムっぽくなり木をつたって里に入って来た。
ナナルは木と同化して移動して来た。
里の入り口には、事前に知らせていたのでウルドさんと
もう一人風エルフが待っていた。
「待っていたでゴザルよ。今日は拙者と彼で案内するでゴザル」
近づいて来た僕達にウルドさんが話しかけてくる。
彼と呼ばれたウルドの後ろに立っていた風エルフも挨拶してくる。
「某は、風のエルフの里の侍大将をしているガハドと申します。
今回は族長ウルド氏と共に里を案内いたす」
侍大将?エルフにその言葉は合わないと思うが・・
不思議に思っていたらウルドさんが説明してくれた。
「侍大将とは、この里の戦士達『侍』を纏める隊長のことでゴザルよ。
ちなみにこの里は、拙者を頂点に族老衆という老人達が拙者を補佐し
て政をおこなうでゴザルよ。その下に侍衆の侍達が権力を持つでゴザル」
(・・ウルドさんが広めた文化の結果こうなったのかな?)
まだ、水のエルフの里にしか行ったことがないからなんとも言えない
けど余りにも独特な里過ぎないここ。
もしかして、他の里もここと同じで独特な文化を持つ里だったりして・・
(エルフって面白いな・・良い意味で)
「こちらでゴザルよ」
黙っていたら、ウルドさんが案内を始めたことに気付かずに置いていかれる
ところだった。
(待って・・流石風エルフだ。歩くスピードが速い)
速足で移動するウルドさんを追いかけるとそこには、刀を扱っているお店が
あった。そこで何本かの刀を見た。
「造形魔法でも・・作れるかな?」
何時までも木刀では、味気無いしな。
鉄とか手に入ったら作ってみよう。
その次に連れて来られた場所は、道場だった。
中では、数十人のエルフ達が刀や槍の訓練をしている。
ガハドさんの説明によると、ここで訓練しているのは『足軽』と呼ばれる
次期侍候補達だそうだ。
他にも、侍達が訓練している場所もあるそうだ。
足軽のエルフ達が、ガハドさんを見つけて歩み寄って来る。
人気だなガハドさん。そりゃそうか自分達が目指している場所の頂点に立つ
男が来たんだもんな。
その後、ガハドさんが数人の足軽と訓練試合をした後ガハドさんは見ていた
僕に近づいて来て
「某と試合をしませぬか?」
と言ってくる。やだよ!アンタ強いもん。
どうしようか?と考えているとエルラさんが視線に入る。
可愛い・・じゃない。え~と
「そのガハドは戦闘狂なので断っても無駄でゴザルよ」
ウルドさんが溜息ぎみに教えてくれた。
それじゃ仕方ないな・・
「わかりました。お受けします」
僕とガハドさんが向かい合う。
「始めでゴザル」
審判のウルドさんが開始の合図を出す。
ガハドさんは刀を高速で振り回し僕を切りに来る。
僕は木刀を軽く振る。
すると・・
僕の木刀から有り得ない程の風圧が出てガハドさんを壁に叩きつけた。
そしてガハドさんは、気絶した。
((((えっ?))))
それが会場内の雰囲気だった。
「そこまででゴザルよ。勝者はロウジ殿でゴザル!」
ウルドさんが終わりの合図を出す。
「いや~里の者に、ロウジ殿の強さを最初に見せて無駄な諍いをさけるための
策は成功でゴザルな~」
あ・・そういう企みを考えてたのねウルドさん
そして、蘇生したガハドさんは
「修行じゃ~!」
と言ってどこかへと去っていった。
そのすぐ後、僕は風の里で怪物扱いされそうになったので帰ることにした。
こうして僕の初風の里見物は終わった。
続く




