二
それからの時間はあっという間で、調整を終えたサルバナが出てきて会計を済ませ、シエラ達は宿に帰った。それから今日購入した食料や水などを整理し、不要なものはラミーナの空間倉庫にしまう。
それぞれの荷物の整理を終えると、一度全員同じ部屋に集まり、今後についての話し合いが始まった。
「さて、一応今日であたし達の態勢は整ったわけだけど、どうする? 謁見は明後日なわけだけど」
「明日はオフでいいんじゃねーの? 休養も大事だろ」
「いや、情報収集をすべきじゃないか? 今は小休止だが、いつ何があるか分からないだろ」
「私もクラウドに賛成だ。日記を手に入れていくにつれ、謎もまた深まっていく一方だからな。……情報は必要だ」
「そうですね。……ですが、情報といってもどこを調べますか?」
「それなら、今日ユファが行った遺跡の他にも、王立図書館があるから、そこなんてどうだい?」
「うわー、図書館って、あのフランズの図書館を思い出すなぁ……」
ディアナの首都フランズで図書館に寄った際、シエラ達は偽者館長によって散々な目に合わされた。しかも禁書の書物がその偽者館長によってどこかに転送されてしまったのだ。あの時は色々と面倒なことが一挙に押し寄せ、シエラは思い出すだけで気が重い。
「まぁまぁシエラ、そう気を落とさないで下さいよ」
「ウエーバー」
「それに、結局あの図書館の文献で情報も得られたわけですし、今回も何か発見があるかもしれませんよ」
「確かにそれはそうなんだけど……」
どうにも気分が上がらない。
「なー、俺の休養って意見はもう無視決定なのかー?」
ただ一人バイソンだけは違うところで不貞腐れている。シエラが「諦めなよー」とバイソンに声を投げると、「きゅーん!」とイヴもそれに賛同した。バイソンは「ちぇっ」と苦笑を浮かべている。
「……それで、王立図書館に行くの? 行かないの?」
ラミーナが採決を取るように全員の顔を見回した。
「俺は賛成だ」
クラウドがそう言うと、ユファ、サルバナ、ウエーバーが頷いた。シエラとバイソンも渋々それに従う。
「それじゃ、明日は王立図書館に行くって事で」
「なら、俺はちょっと先に根回しでもしておくかな」
「え、どういうこと?」
立ち上がって部屋を出て行こうとするサルバナに、シエラは首をかしげた。
「俺の知り合いがそこで働いているからね。明日俺たちが行ったとき、スムーズに事が運んだほうがいいだろ?」
「なんだよ、お前そんなところに知り合いいんのかよー」
バイソンも目を丸くしている。正直シエラも含め、全員驚いている。サルバナは「まぁね」と不敵な笑みを浮かべたまま部屋を出て行ってしまった。
「あいつ、その知り合いって女の子じゃないでしょうね……」
ぽつり、とラミーナが呟く。暫しの沈黙ののち、シエラ達女子組は耐え切れないように騒ぎ出した。
「うわぁあ女の子かな!? やっぱサルバナだし!!」
「……そういえば、昨日も女性と会っていたようだが」
「え、あいつ何してんのよ!!」
そんな三人にウエーバーは苦笑いだ。クラウドに至っては真顔のままで、バイソンはあまり興味がなさそうである。
「……お前ら、よくそんなので騒げるな」
むしろ最近でここ一番の騒がしさじゃないか、とクラウドは溜め息を吐いた。
「いや、だってよく考えてみなよ!! サルバナってなんだかんだ人と壁があるじゃん。私が言うのもなんだけどさ、なんか普通に接してるように見せかけて腹の中が見えないっていうかさ! 旅の時に女の人に声かけられたりしても、こう、なんていうか一線あるっていうか……」
「あー、分かる分かる。あいつって紳士だけどミステリアス、みたいな雰囲気出してるもの」
「……まぁ、時々本当に紳士というかただのチャラついた男だがな」
シエラ、ラミーナ、ユファはそれぞれサルバナについて話しながらお互いに共感しあっている。そんな様子を見ながらバイソンはクラウドとウエーバーに「あれが女子のノリってやつだな」と笑った。




