第51話 訓練四日目 大盾隊合同訓練
訓練四日目。
長槍隊の前列には、大盾隊が列を作って待機している。
整然と並ぶ巨大な盾は、それだけで圧迫感があった。
本日から大盾隊との合同訓練になる。
高さ一メートル五十センチ、横幅三メートル、厚み十五ミリ。
総重量は、五十キロにもなる木製の横長大盾である。
間近で見ると、その大きさは人ひとりを完全に隠せるほどだった。
これは、バリケードに近いものだ。
大盾の下部にはスパイクが三本生えている。
まず、三人で大盾を持ち上げ、地面に突き刺して安定させ、重さの軽減を図る。
突き立てるたびに地面が鈍く震えた。
さらに、大盾中央にある支えの脚を展開することで自立し、敵の衝突を防ぐ役割がある。
脚が展開されると、まるで壁がその場に生えたように動かなくなる。
中央と左右に異人が一人ずつ大盾を押さえることで、鉄壁となる。
盾と盾の間は隙間を作らないように密集させている。
わずかな隙間も許さない、息苦しいほどの密度だ。
これは、ファランクスに近い。
大盾隊は一万二千人、四千個の大盾。
それを前列大盾隊と後列大盾隊へと分けて運用する。
前列は最前線で戦い、後列は弓隊の前を守る布陣となっている。
まず敵との正面衝突。
敵が大盾隊とぶつかり拮抗したところへ、前列長槍隊が大盾の上部から敵を突き刺す。
万が一、大盾隊を突き破ってきた場合は、すぐさま槍衾を形成して迎え撃つ。
王国は膨大な兵力を活かすために、防御に特化した陣形を得意とする。
このため、敵が攻撃してこなければ、ただ睨み合うこともしばしばあった。
静かなまま時間だけが過ぎる戦場も、ある意味では怖い。
午前は、大盾隊と長槍隊の息を合わせる訓練である。
目的の場所に指示通り隊列を作り、防御陣形を組むことに専念した。
各隊は大盾や長槍を持ちながら移動するため、相当な体力の消耗になる。
司、ノーム、タカギは今日も無言のままお互いの息を合わせて訓練に励んでいた。
昼休憩になり、看守が昼食を配り出した。
今日もサンドイッチだ。
(もうネタ切れ?)
司はそう思った。
だが、すぐに首を横に振る。
考えてみれば何万人もいる異人の食事の準備となれば、手軽な食品が多いのは頷ける。
そう考えながら、司はサンドイッチを食べてみた。
一口かじると、思ったよりもしっかりした味が口に広がる。
サンドイッチには、チーズとミンチ肉、レタス、トマトが入っていた。
すでに冷め切っているが、妙に満足感がある。
その味に司はあるものを思い出す。
これはハンバーガーだ。
見た目は完全にサンドイッチだが、味はハンバーガーそのものであった。
パンと肉の組み合わせが、妙に懐かしい。
王国の人気食品のひとつで、手軽さと満腹感で人気があった。
司は懐かしさを堪能しつつ、
(炭酸、飲みたいな……)
と、水ではなく炭酸飲料が飲みたいと切に願うのであった。




