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シーフな魔術師  作者: 極楽とんぼ
卒業後8年目

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1372/1422

1372 星暦559年 藤の月 17日 調査協力(25)

「な~んか、色々とオマケで麻薬販売とか開発に関係している連中まで見つかっちまったせいで遅くなったな、悪い」

 アーヴァン氏の上司である子爵は尋問したら想像通りあっさり色々と答えたらしい。

 で、そいつが吐いた協力者の所の捜査にも駆り出されて、結局2日の筈だった調査協力は昨日まで伸びて4日間になった。


 昨日は然程大した発見はなかったがな。

 何か所か典型的な隠し金庫や隠し部屋が見つかっただけ。そこから次へ繋がるような大発見はなかったようで、無事に俺はお役目終了という事で解放されたのだ。


 という事で今朝は久しぶりにのんびりと朝食後のお茶を工房で飲みながらアレクとシャルロに謝っている。


「麻薬かぁ。

 あんなの使いたがる人の気が知れないね~」

 シャルロが顔をしかめながら言った。


「最後の方で出てきた研究系の協力者は幻覚作用のない痛み止めの研究を急いでやりたかったせいでヤバい連中と手を組んだようだったな。

 あれを見ると、東大陸でフェンダイ達に使われていた呪具で体の時間を遅らせられるなら、病気の進行も出来るだけ遅くしてその間に色々研究が出来て良いのかも?と思わんでもなかったが……呪具だと病気にどう影響するか分からないしなぁ」

 元々、呪具のことは口外するなって言われてるから何も言わなかったが。


「と言うか、病気の治療薬や画期的な痛み止めなんて何十年とか百年の単位で研究されてやっと進展があるかもという話なんだぞ?

 呪具で一人眠っている間に研究が進んだとして、数十年後にやっと治療薬が出来て起きた時に自分一人30代なのに配偶者や子供が数十歳も年上って感じに時の流れから取り残されるようなことになったら、病気が治っても一緒に過ごす時間を無くしたことに後悔するんじゃないか?」

 アレクが指摘する。


 確かに?

「それに数十年も結果が出ない研究を続けるだけの予算が続くかも微妙だしな。

 予算が切れたから呪具を止めますってことにしてそこからゆっくり死ぬまで一緒に過ごすっていうのも、なんかこう違う感じがするしなぁ」

 数十年必死で研究を続けて予算をかき集めてきた夫は、病気になって呪具で時間を止められる前の夫と同じ人間なのか。俺としては怪しいと思う。

 考え方とか行動が変わっていたら、肉体的には同じ人間でも実質別人のようなものだろう。あの子爵だって、妻が病気になる前は麻薬の販売や研究に手を貸すなんて夢にも思わないような人間だったんじゃないか?

 それが目的のためには手段を選ばなくなっているのだ。そう言う荒みってやっぱ妻だったら感じ取れそう。

 しかもその上、何十年も老けているんだし。


「結局時間を止めるような魔具は上手く作れなかったしね~。

 痛み止めなんて、術ですら長時間継続して使えるのは無いんだから魔具も無いと思うし。体って言うのは難しいね」

 シャルロがクッキーに手を伸ばしながら言った。


「だな。

 病人相手になんか出来そうな研究なんて始めたら、病人の家族の期待通りな効果にならなかった時に変に恨まれそうだし。

 まあ、それはさておき。

 何か次の開発に関して話し合ったのか?」

 ここ数日、早朝から駆り出されていたから俺は朝の話し合いにすら参加できてないんだよな。


「ちょっと話し合っていたんだが、魔力認証で侵入を禁止する結界みたいなのって作れないかな?」

 アレクが少し首を傾げながら応じた。


「魔力認証の鍵とか扉っていんじゃなくて、結界そのものの中に入れないようにして、その結界を部屋に展開する形か?」

 魔力認証で開く扉というのは時折ある。

 下手に壊れるとか認証された人物が死んだりすると扉自体を破壊して取り外さなきゃならなくなるので、値段のこともあるしであまり人気はない。

 まだ金庫の鍵として使う事の方が多いかな?

 だけど金庫の鍵ってだけだったら意外と騙しやすいんだよなぁ。

 魔力を弄れる人間にとってってことで、俺とかそれなりに訓練した魔術師なら簡単に開けられても一般的な盗賊シーフ相手ならそこそこ効率的ではある。だが、その鍵機能そのものを外しちまえば良いので絶対に破れないという訳でもないから、値段を考えると評判は微妙だ。


「そう。

 それなりの人数を登録して、その登録した人間しか部屋の中に入れない結界にして、魔具そのものが部屋の中央に設置してあれば、外から干渉して魔具を壊せないだろう?

 そう考えると扉を魔力認証式にするよりも効果が高いんじゃないかと思ってね」

 アレクが付け足す。


「確かに?」


「ちょっと知り合いの家が泥棒に入られたんだよね~。

 お気に入りの絵を盗まれたとかで物凄い騒いでいたから、それで色々と盗難防止の方法について話していたんだ」

 シャルロが付け足す。


 へぇぇ。

 絵なんぞ盗んでもそう簡単には高額で売れないだろうに。

 誰か、その家に遊びに来れる立場の人間で、絵を滅茶苦茶気に入って譲ってくれと話を持ち掛けて断られた知人か親族が犯人なんじゃないかね?


 まあ、それはさておき。

 難易度の高い防犯設備っていうのも悪くはないか。

 需要はそれなりにある筈。

 販売価格を高くすれば裏社会からもそれほど恨まれないだろう。

 多分。


ちょっと裏ギルドからの反響が怖いかも?

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― 新着の感想 ―
まあ、美術品盗難はギルドと相反する連中がやるでしょうから、問題ない……ハズ。 しかしそのために大仰な防犯装置が作られるのは、ちょっと嫌かもしれない。 一応長に、「こういうの作るかもしれない」って報告だ…
たまに有名な絵画が盗まれますが どう換金しているのか、あるいは所持しただけで満足しているのか 謎ですね
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