表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
47/55

時には強引に

「受付なし。警備もなし・・・さて、どうしよう」



俺は今、管理棟と呼ばれる場所に来ている。見た目は無機質で巨大な建物。

下界でいうところの役所みたいなものだと思ってくれればいい。

天界の居住区側の出入口には誰もいない。


そりゃこっちからは神様しか出入りしないから警備は必要ないか。

受付すらないのは予想外だったけどね。

みんなはこの大きな建物の中にある各部署の位置を把握してるのかな?

さすが神様!ってところか。


俺もここには来たことがあるけど、いつも誰かしらと一緒だったからなぁ・・・。

こんな事ならフェアーさんに簡単な案内図でも書いてもらっとけばよかったよ。

とりあえず、中で会う人会う人に聞きながら行こうかね。



どうして俺がここに来てるかって?

運命の女神であるティニーさんとデートするためさ!

って言いたいけど、あの人忙し過ぎて時間取れないみたいなんだよね。


なので職場に乗り込んで「働き過ぎ」って理由で強引に連れ出す事にした。

あ、下界の皆さんの運命がガチャガチャになると大変なので、色々と裏で動いてもらったよ。主にフェアーさんの力で。

俺にはそんな力ないからね!頼らせてもらったさ。


フェアーさんも働き過ぎを気にしてたみたいだし、それ以上にティニーさんの部下の人達が働き過ぎを心配してたらしい。

なので秘密裏に協力を仰ぐ事は結構簡単だった。



何度か迷ったものの、目的の場所まで来れた。

いやぁ・・・更衣室のドアを開けたのはワザとじゃないよ?

だってほら、ドアに何も書いてなかったし!声がしたから開けただけだし!

ビンタ5発くらいされたけどいいモノは見れたので後悔はしていない。









「って事で、ティニーさ~~~ん!デートするよ~~~!!」

「!?!? あ、天地さん?なんで貴方がここに?」

「それは・・・貴女を仕事という呪縛から救うために決まってるのさ」



俺はキメ顔でそう言った。

あ、ティニーさん?そんな可哀そうな子を見るような目で俺を見つめないで。

言った俺が一番恥ずかしいんだよ?



「天地さん、ここは貴方が入っていい場所ではありませんし、私はこれでも忙しい身なので冗談に付き合う暇がないんです。あ、帰り道は分かりますか?分からないなら誰かを付けますけど」


イライラしてるのか、いつもより口調がちょっと強めだった。

だいぶ余裕がないな・・・これは。

前もって根回ししておいて良かったよ。ティニーさんの部下の人とアイコンタクト。「さっさと連れ出してくれ」って感じでサムズアップしてる。



「冗談じゃなくて本気ですよ。ティニーさんの今日の仕事は俺とデートする事なんです。他の仕事は部下の人達が手分けしてくれるので大丈夫です。 あ、部下の方々よろしくお願いしま~す!!」


「「「「「「いってらっしゃ~い」」」」」」


「え?え?え? どういう事ですか?え?え?」

「フェアーさんに頼んで根回し済みです。なので大人しく俺とデートしなさい」

「え?え? フェアー様?根回し? え?」



うん。そりゃ混乱するよね。

それにしても、自分たちの仕事が増えるのにみんな笑顔で送り出してくれたなぁ。

よっぽど普段から仕事のし過ぎを心配されてたのでは?


ともあれ、いまだ混乱しているティニーさんの手をとったまま出口へ向かう。

仕事が・・・とかブツブツ言ってるけど気にしない。ワーカホリックか!っての。まるで日本人だよねこの感じは。



「あ、天地さん?そろそろ説明してもらえると・・・」

「ん?あぁ、そろそろいいかな。 えぇっと、ティニーさん働き過ぎ。部下の人達もフェアーさんもみんな心配するほどです。そしてもちろん俺も心配してた。なので、フェアーさんに部下の人達の協力をお願いしてもらいました」

「・・・え」

「部下の人達も喜んで協力してくれたよ?よっぽど心配されてたんだよ」

「そう・・・ですか・・・あの子達が・・・」

「そ。だから今日は仕事を忘れて俺とデートです!前から言ってたでしょ?」



みんなから心配されてたのがショックなのか、しばらく動揺してた。

そして目を閉じて顔を下げてしまった。

大丈夫かな?って心配になったけど、再び顔をあげたティニーさんは笑顔だった。ちょっとだけ目が赤かったのを指摘するのは男じゃないよね。



「分かりました。今日は仕事を忘れて天地さんとデートします。フェアー様やあの子達に甘えさせてもらおうと思います」

「うんうん。甘えようよ。あ、それと今日はデートなんだからワタルで。ね?」

「え?あ・・・えぇっと・・・はい、わ、ワタルさん」

「お~いいねぇ。ティニーさんに名前で呼ばれるのは新鮮だ。それにちょっと恥ずかしそうな顔は可愛らしくてさらにいい!」

「!? ・・・もう、あまち・・ワタルさんからかわないで!」



からかってないんだけどね。

ティニーさんから「ワタル」で呼ばれるのは嬉しいし、顔を赤くしながら言うのは反則級の可愛らしさがあるよ!

繋いだままの手から動揺が伝わらないか心配だよ俺は。



「さて、今日のところは俺が勝手にプランを考えてしまったけど、ティニーさん行きたいところとかやりたい事とかある?」

「いえ、わ、ワタルさんにお任せします」

「了解。次のデートはティニーさんにも考えてもらうからね」

「はい!次までには考えておきますね!」



うん。さっきまでのイライラした感じがだいぶマシになったかな?

今日は楽しんでもらって、少しでもストレス解消してもらえたらいいなぁ。

今回はアイビーも真剣にアドバイスしてくれたからね!何だかんだいっていい奴だよアイビーって。後で褒めてあげようそうしよう。



そして何より・・・

俺が最初に出会った女神でもあるティニーさんには笑顔でいてもらいたい。

さぁ、デートを楽しもうか!

やっと10万字超え。予定より話数がかかってしまった。

これからも頑張ります(・x・)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ