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格好つける事は恥じゃないと思う

いつも読んでくれてありがとう。

ブクマ・感想・評価などお待ちしています(・x・)

「ちょ、おま・・・マジであの御方の家に住んでるんか・・・」

「えぇ。次の家が見つかるまでって事でお世話になってます」

「おめぇ・・・何もんだ?」

「何もんって、ただの人間ですよ。あ、『元』が付くのかな?」



フェアーさんの屋敷に住み始めて数日、庭の手入れ鋏が壊れたので修理に来た。

話してる相手は「鍛冶の神」ゴンザだ。

実は例の飲み会以降、時々店にお邪魔している。


包丁類のメンテナンスや調理器具の購入などお世話になっているんだ。

ゴンザは口が悪いけど腕は確かだしね。だって神だもん。

そして神としての立場をあまり気にしないので気楽に話が出来る。

あ、ゴンザの店は刃物類の他に様々な器具を置いてある雑貨屋みたいな感じ。


世間話をしている時に、フェアーさんの屋敷に住んでるって言ったら驚かれた。

飲み会の時、俺はベロンベロンに酔っていたので覚えてないが、ゴンザと戦神はフェアーさんに怒られたらしい。

フェアーさんの事を「あの御方」とか言ってるから元々頭が上がらないんだろうね。



「使用人をしてるのは知ってたが、まさか住んでるとはなぁ・・・」

「ふふふ。羨ましいでしょう?」

「・・・あの御方と一緒に住んでてその反応出来るのはおめぇだけだよ」

「前から思ってたけど、ゴンザさん達ってフェアーさんが苦手みたいですね」

「あ、いや、苦手っていうかよぉ・・・」



フェアーさんを畏れる神が多いのは分かっている。

でも「豪快」を絵に描いたようなゴンザや戦神も畏れているのは驚く。

話を聞いてみると、司るモノではなく能力のほうが怖いらしい。


まぁ確かに思考が読まれるのは嫌な人多いか。

言葉でどんなに取り繕っても無駄なんだもんね。

心の中で馬鹿にしたら、それがそのまま伝わってしまうワケだしね。



俺がフェアーさんを畏れない理由は「惚れている」からってのがある。

でも、出会った時に思考を読まれるってのを知ったからってのも大きい。

フェアーさんが何者なのか、どれくらい偉いのかも知らなかったしね。


変な先入観もなく、ただ「綺麗だな」とか「思考読めるんだ」とか驚いてた。

まぁあの時は逃亡しようとしてたからね・・・。

畏れるとか怖がるとか考える余裕はなかった。それが良かったのかも。



「おぉし!ほれ、修理出来たぞワタル」

「ありがとうございます。これで庭の手入れが出来ます」

「神々の家なんざ、本当は手入れの必要ないんだがなぁ・・・」

「そこはほら、使用人としての自己満足って事で」

「わははは!自己満足かよっ!まったく、おめぇは面白れえな」









ゴンザの店を出てフェアーさんの屋敷に向かって歩いているとペコがいた。

前の家の時は毎日のようにご飯をねだりに家のドアの前にいたけど、さすがにフェアーさんの屋敷でそれは出来ないようだ。

なのでペコはちょっと不機嫌だ。



「家。まだ?」

「挨拶もなしにそれかいっ! 家はまだみたいだよ」

「ん。早く君のご飯。食べたい」

「俺はペコのご飯係じゃないぞコラ」

「ん。分かってる。君は恋人?旦那様?だから」



おーーーい、ぺこさん!

俺はいつから君の恋人や旦那様になったんだろう?

ストーレトに「好き」って確かに言われてるけどさ、そこまでだよね?


最近、やたらと距離が近いのはそのせい?

前は服の袖とかをそっとつまむ程度だったのに最近は腕に絡みついてくる。

そりゃこれだけ可愛らしい子との接触は嬉しいけどね。でもまだ恋人や旦那様になった覚えはないよ!どこでそんな勘違いをした?



「俺はペコの恋人でも旦那様でもないぞ」

「・・・悲しい。ご飯くれたのに。頭撫でてくれたのに。君の上に座っても怒らなかったのに。デートの約束もしたのに」

「えぇと・・・うん、何かごめん」

「同情するならご飯くれ」

「また懐かしいセリフをアレンジしてきたな!」



不機嫌なペコを宥めつつ、一緒にフェアーさんの屋敷に向かって歩く。

どうやら今日は晩御飯を食べるつもりのようだ。まぁいいけどさ。



「そういやペコはフェアーさんを怖がったり苦手だったりしないの?」

「ん。別に苦手ではない。格が上だからちょっとだけ畏れ」

「あぁ、格とかは仕方ないか・・・思考読まれるのは平気なの?」

「ん。読まれて困る事はない」



何だかちょっと安心した。

俺が知り合った神様のほとんどが苦手意識がある感じだったからね。

自分が惚れてる相手なのでそれが残念でならなかったんだ。


ま、格好つけさせてもらえば、天界の住人全てがフェアーさんを怖がったとしても、俺は変わらずフェアーさんの側にいる。

「守る」なんて神様に対しておこがましいけどね。その気持ちだけはある。


(あらあら、ワタルさんは本当に私を喜ばせるのが上手ですね)


・・・久しぶりに脳内通話来たな。せっかく格好つけてたのに。

フェアーさんが大好きなんでね!喜んでもらえて何よりですよ!


(ふふふ。早く帰ってきてくださいね)



「君、顔がニヤついてる。怪しい」

「ん? あぁ、ちょっとフェアーさんと話をしてただけだよ」

「ズルい。私もその力欲しい」

「あったらあったで大変だと思うよ?フェアーさん見てれば分かるでしょ」

「ん。確かに。でもズルい」



人も神様も、自分には無いものを求めるのは同じなんだね。

まぁ、神様が人間を造ったのなら似てるのは仕方ないのかもしれない。




なんて、ちょっと頭の良さそうな事を言ってみる俺でした。


「同情するなら〇をくれ!」

 

何年前になるんだっけ・・・

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