【番外編】アルリーナ(ペコ)
40話目はペコの気持ちを。
・・・何かペコいいなぁ(*´Д`*)
私はアルリーナ。水を司る女神。
今の仕事は天界の水を管理すること。見てまわるだけ。
水質が悪い時はちょっと力を使う。それで綺麗にするだけ。
朝起きてご飯を食べる。それから仕事に行く。
毎日違うところ。予定を組んであるから問題ない。
仕事が終わったら家に帰ってご飯を食べる。後は寝るだけ。
ずっとずっと毎日同じ。同じことの繰り返し。
私は滅多に他の神と会わない。だから話すのが苦手になった。
楽しみはご飯。でもあまり上手に作れない。だから外で適当に買う。
あの日は大きな広場の端にある泉を見に行った。
そしたら人間がいた。泉の横でご飯を食べようとしてた。
その人間の事は聞いたことがある。特別な事情であそこに住んでいる。
私には関係ない事なので帰ろうとした。
でも、美味しそうな匂いに負けた。気づいたら人間のすぐ横にいた。
美味しそうなサンドウィッチ。私はどうやって分けてもらおうか考えた。
でも思い浮かばなかった。やっと出た言葉は「美味しそう」だけ。
あの人間はひどかった。
私の目の前で全部食べてしまった。分けてくれない。
ショックで立てなかった。
なぜか人間は新しいサンドウィッチを作ってくれた。
私の粘り勝ちかもしれない。むふー。
そのサンドウィッチは美味しかった。もっと食べたい。
でも材料がもうなかった。ショック。
人間は私のことをペコと呼ぶ。理由を聞いたら「お腹ペコペコだから」と。
断固拒否した。せっかく呼び名を教えてあげたのに・・・。
その後も「ペコリーナ」や「ネコリーナ」と呼ばれた。
ネコリーナは可愛いから許した。でもやっぱりペコと呼ばれた。
いつも抗議したけど人間は気にせずペコと呼んだ。
そこで私は気づいた。人間の名前を知らなかった。
ずっとひとりだったから。それに慣れてしまったから。
誰かの名前を聞くなんてなかったから。だから聞くのを忘れていた。
人間の名前は「天地渡」だった。
私はなかなか名前を覚えられない。だからいつも「君」と呼んだ。
渡は気にしてないようだ。覚えが悪くてごめんね。
でも頑張って覚えた。名前を書いた紙を持ち歩いた。
私は時間があれば渡の家に行く。渡は仕事をしているのでいない時もある。
私は家の前で待つ間に紙を取り出して名前を覚えた。頑張った。
こんなに頑張ったのは久しぶり。
渡は私を見るとちょっと呆れたような顔をする。失礼だと思う。
でもすぐに笑顔を見せてくれる。私は渡の笑顔が好き。
いつも見ていたい。私に笑いかけてもらいたい。
私は渡に「好き」と伝えた。頑張って伝えた。
でも私は言葉が上手くない。だから渡にはちゃんと伝わってない。
女神になって初めて誰かを好きになった。でも伝わらない。
渡はフェアー様が好きなんだと思う。屋敷に行った時すぐ気づいた。
でも私は渡が好き。だからフェアー様にも宣言した。
ちゃんと伝えたい。でも伝わらない。
最初にサンドウィッチを作ってくれたことを覚えてる?
渡は突然現れた私に優しい笑顔で会話してくれた。
あの笑顔とサンドウィッチの味は私の宝物。
ずっとずっと忘れてた誰かの温もり。渡はそれを思い出させてくれた。
そしたら好きになってた。私はちょっとおかしいのかもしれない。
でも好きになった。これは変えられない事。
家の前で渡を待つ時間は好き。だって渡の事を考えてるから。
渡の声を。渡の笑顔を。渡の姿を思い出してる。
監視の子からちょっと怖がられてるみたいだけど。気にしない。
「ペコ、今日も待ってたの?」
「ん。お腹空いた」
「ったく、仕方ないな~。作るの手伝えよ?」
「ん。了解」
ちょっと乱暴に私の頭を撫でる。髪の毛がグシャってなるけどいいの。
撫でられると嬉しい。撫でられると気持ちいい。
渡の笑顔が見れて嬉しい。渡と一緒にご飯が食べられて嬉しい。
「ほらペコ、これ切っておいて」
「ん。了解」
「ほら、左手は猫の手って教えたでしょ?」
「ん。ニャン」
「ぐはっ!」
渡はいつもおかしな反応をする。
猫の手って教えたのは渡なのに。いつも「ぐはっ」って言う。
でも喜んでると思う。だって渡の顔がもっと優しい感じになるから。
渡、私の気持ちに気付いて。
私は渡が大好きです。
渡がフェアー様を一番好きなら。私は二番でいい。
だから私の気持ちに気付いて。
渡、私にもっと笑顔を見せて。
私は渡の笑顔が大好きです。
渡の周りにいる女神達の輪に私も入れて。
そして私の気持ちを受け止めて。少しでいいから・・・。
「ペコ~、いい時間だから家に戻れよ~」
「ん。泊まってもいい?」
「それはダメ~。ほら、送ってくから準備しな」
「・・・ケチ」
私はいつも本気で言ってるのに。渡は冗談だと思ってるのかな。
それは悲しい。私の言葉がもっと上手ければ伝わるのかな。
渡、私はいつも本気だよ。
私が渡の家から帰る時は真っ暗。だから渡は送ると言ってくれる。
ここは天界。危ないことはない。だから最初は断ってた。
今は少しでも一緒にいたい。だから途中まで送ってもらう。
渡は家まで送ってもいいって言う。でも私の家はちょっと離れてる。
だから途中まで。渡も帰るのが大変だから。
渡と別れた私は寂しさと嬉しさでいっぱい。いつも鼻歌を歌ってる。
また明日も会えるかな。
また私に笑顔を見せてくれるかな。
またご飯を作ってくれるかな。
また好きって伝えてもいいかな。
私はアルリーナ。水を司る女神。
大好きなもの。綺麗な水。ご飯。 そして・・・渡。
いつも読んでくれてありがとうございます。




