酒は飲んでも飲まれるな
「わはははは! おいこらワタル、しけたツラしてねぇで飲め飲め!」
「・・・・・・・ぅぷ」
「ぶはははは! ったく、もうギブアップか?そんなんじゃモテんぞ!」
俺はいま地獄にいる。
いや、正確には天界なんだけど・・・ムサい男に囲まれてるから地獄と言っていいだろう。
俺の周りにいるのは男の神達だ。戦神や鍛冶の神、山の神なんてのもいる。
とにかく男・男・男で埋め尽くされた酒場に拉致されている。
どうして俺がこんなところにいるのか。
暴食・・・いや、時の女神様に出す料理を考えている時、いくつか道具が欲しくなった。
そこでアイビー&ソラールに連れられてやってきたのが料理道具専門店。
そこの店主が鍛冶の神でもあるゴンザだった。もちろん男ね。
どうして神が店をやっているのか。そんな疑問をゴンザが勝手に話してくれた。
まぁ簡単に言うと「昔に比べて鍛冶の神としての仕事が減った」かららしい。
元々、忙しい神様ではないらしく、さらに仕事が減ったので店を出したって事。
つまり「暇」なのだ。
「お!おめぇが加護も無いのに天界暮らしを始めた人間か!俺は鍛冶を司る神・ゴンザだ」
「は、はい。天地渡です。どうぞよろしく」
「おう!ちゃんと挨拶出来るのはいい事だ。 よぉし!歓迎してやる!飲むぞ!!」
「は?え?飲むって・・・」
「ちいせぇことはいいんだよ!飲めば分かる! おい、そこの女神コイツ借りるぞ!」
「どうぞどうぞ~」
「ってめ!アイビー!!」
首根っこ掴まれてそのまま酒場へ。
このおっさん、馬鹿デカい声でどんどん仲間を呼んで・・・俺は囲まれた。
問答無用で乾杯からのビール3杯一気飲み。
これ、日本だったら問題になりますよ?パワハラですよ?アルハラですよ?
途中から加わった戦神がまた怖い。まず顔がヤ〇ザ。
そしてビールに日本酒を入れた通称「サケボンバー」を何度も飲ます。
断ろうとすると持ち前の怖い顔で脅してくる。
「あ?俺の酒が飲めねぇってのか?おん?」って感じで。マジでヤ〇ザ。
そんなパワハラ・アルハラ地獄のおかげですでに2回吐きました。
吐いて戻るたびに男の神様達が増えてるんだよ。
男臭いとかの次元じゃないよ。まさしく地獄なんだから。
俺以外にも下級の男神が強制で飲まされてダウンしてた。
神様だから急アルとかないのかね?
「おら、ワタルぅ!ボーっとしてねぇで飲め飲め!」
「あぁ?てめぇもう飲めねぇなんて言う気じゃねぇよな?あん?」
鍛冶と戦のコンボ攻撃です。
ゴンザは豪快な感じで、戦神は威圧的に酒を勧める。
まぁ、「勧める」と書いて「強制」と読むんだけどね・・・。
てかそろそろ本気で倒れる。間違いなく倒れる。そして多分・・・死ぬ。
天界で死んだらどうなるんだろう?天国直行かね?
あぁ、フェアーさんともっとイチャイチャしたかったなぁ~。
ティニーさんとキャッキャウフフなトークしたかったなぁ~。
ウブなソラールさんをからかって顔を真っ赤にさせたかったなぁ~。
アイビー・・・お前だけは許さん!
フェアーさん、アイビーのお仕置きだけは頼んます!
とりあえずデコピン100回で~。
「あらあら、お仕置きはワタルさんがしてあげてくださいね」
あ・・・フェアーさんが見える~。
いつも通りニコニコしてる。綺麗だなぁ・・・もう幻覚でも何でもいいや~。
フェアーさ~ん最後に抱きしめさせて~。あ、チューしようよ~。
「・・・ワタルさんたら、酔っぱらってるんですね。仕方ないですね」
おぅふ!
フェアーさんが優しく抱きしめてくれたよ~。
柔らかい。てか、超いい匂いするんだけど!天使か!いや、女神だったか!
このリアルな感触、リアルな匂い、もうたまりませんな~。
「あらあら、これは現実ですよワタルさん。酔い過ぎて分かりませんか?」
「・・・んぁ・・・現実?・・・ん・・・フェアーさん・・・本物?」
「はい、本物です。大丈夫ですか?家に帰りましょうね。あぁ、その前に・・・」
頭がフラフラしていまいち理解できないけど、フェアーさんは本物らしい。
優しく抱きしめていた俺をそっと床に置いた。
フェアーさんの登場で男の神様達は呆然としてる。うん、綺麗だもんね仕方ない。
「鍛冶の神、戦神、これは一体どういうことでしょう?」
「あ、いや・・・」
「・・あ・・う・」
「加護持ちではないという事はあなた方も知っているはずです。元々普通の人間です。そんな人にこんな飲み方をさせたらどうなるか分かってますよね?」
「・・・あぁ、はい。分かります」
「・・・はい」
あれぇ?
あれぇ?あんなに傍若無人だったゴンザと戦神が油汗ダラダラだよ?
戦神に至っては正座してる!何だこれ!
「ワタルさんはウチの者です。害をなすようなら私が許しません。いいですね?」
「調子に乗りすぎました」
「・・・申し訳ありません!!」
ぷっ、戦神が土下座してる。
フェアーさんに怒られちゃったのか~。ドンマイ2人共。
次はこのネタでいじってやるから覚悟しろよ~。コノヤロ~。
「あらあら、ワタルさんは酔っ払いですね。さ、帰りましょう」
「はーい。フェアーさんと帰りま~す。皆さんまたね~」
起きた時、俺が覚えてたのはここまで。
頭いてぇ・・・。
・・・。
・・・・。
・・・・・。
・・・・・・ああああああああああああ!!!!!
何やってんの俺!何言ってんの俺!!
ベロンベロンに酔ってたとはいえ、何やってんの俺!!!
パワハラ・アルハラ・ダメ・ゼッタイ(・x・)




