フェアーさんを知る②
昨日更新出来なかったので本日2話目の投稿です。
「あ・・・れ?この部屋って・・・」
「はい、ワタルさんは初めて会った部屋です」
「え・・・だって・・・」
そう、今いるのは初めてフェアーさんに会ったあの部屋だ。
あの時にここまで歩いてきた記憶はない。街を歩いていないし、何より建物から一歩も出ていない。
なのにあの部屋にいる。不思議だー。
「この部屋はあの日ワタルさんがいた管理棟の一室とを繋いでいるのです。ですから通常、私が許可をしない限りはこの部屋に辿り着く事はありません」
「へぇ・・・そりゃ滅多に人が来ないワケだ」
「あの日女神でもない、もちろん神族でもないワタルさんが歩いているのを見つけ警戒していました。ちょうどティニーが天界通信で『天地さんを見つけたら通報を』って言ってましたし」
まぁでもワタルさんへの興味が勝っちゃいました。って言いながら舌をペロっと出すフェアーさんが可愛い。
つまり、フェアーさんはここでお茶をしていた。
逃走していた俺を見つけて監視してたものの、興味が勝ってお茶に誘ってくれた。と。
あれ?フェアーさんてば引きこもり?
管理棟が職場だとすれば、家にいながら職場にいるようなものだし。
う~ん。やっぱりフェアーさんの仕事が何か分からないとなぁ・・・
ただの引きこもりにしか思えない。
「あらあら、引きこもりだなんて酷いですね。この部屋はお茶をするためのモノでちゃんと外に出て仕事してますよ?」
「そうですか・・・あの、ちょっといいですか?」
「はい、何でしょう?」
ん~・・・どうやってきりだそう。
ここはストレートに仕事は何を?って?それとも、世間話をしながら出来るだけ自然な流れで?
フェアーさんが言いたくないのを興味本位で聞くのは嫌だ。
いや、興味はあるんだけどね。軽い気持ちで聞くのは何となく失礼な気がする。
もしフェアーさんが話してくれるなら真摯に受け止めたいし、話すのを嫌がるならそれは聞いちゃ駄目なんだと思う。適当ダメ絶対。
さて、どうしたもんか・・・。
「あらあら、ワタルさんは私の能力を忘れてしまっているようですね」
「え? ・・・・あ~そっか」
「はい。ぜ~んぶ聞こえちゃってますよ?」
「・・・うん、だったら悩んでも仕方ない。フェアーさん貴女はどんな女神様でどんな仕事をしているのですか?嫌だったら答えなくていいですよ」
「ふふ、ワタルさんは優しい方ですね。でもそんなに聞きたいのですか?」
もしかしたら別に大した事ないのかもしれない。
でも自ら進んで話そうとはしてくれないのは事実だ。
周りの気の使い方からして、何かしら重大な事をしている神様なのだと思う。
・・・創造神って事はないよね?よね?
「えぇ、私は創造神ではありませんよ」
「ですよねー。ちょっと安心」
「私は『死』を司る女神です。人はおろか、全ての動植物の死を司っています。もちろん神々に対しても。ワタルさんから見ると『死神』に近いかもしれませんね」
「死・・・ですか」
「はい。死を司るという事は生を司るという意味と同じです。その者の生死を握っているのですから。その上、思考を読めるのですよ?皆さん敬遠するのは当然です」
あぁ、だからこの人はあまり話たがらなかったのか。
普通に考えれば、自分の生死を握ってる女神とは交流持ちたくないだろうしね。
上手く取り繕うにも思考を読まれてしまう。
うん、そりゃ人が寄ってこないし気を使われるわ。
同じ神ですらこうなんだもんなぁ・・・
フェアーさんはずっと誰からも心を開かれなかったのかな?
話してる感じからすると、孤独に苦しんでいるとは思わないけど、実際はどうなんだろう。
ま、今までのことはよく分からないけど、俺は俺の道を進むとしよう。
「ワタルさんはやっぱり不思議な方ですね。怖がったり気味悪がったりしないのですか?」
「う~ん、俺死んじゃってますしね~。今の状態がどんなのかも分からないし。怖いとか気味悪いとかないですね。あ、思考を読まれるのは恥ずかしいですけどね」
「ふふ、ワタルさんは色んな事を考えますからね。後、ワタルさんの今の状態は生きてるのと同じですよ。天界で生き返ったと思っていただければ」
「ほほ~、幽霊とかじゃないのね良かった。これでちゃんとフェアーさんを口説けますね」
「あらあら、怖がられるどころか口説く宣言されちゃいました」
いや、実際のところそこは悩んでたのよ。
生きてるのか死んでるのか、魂だけの状態なのか・・・とかね。
今まで住んでた世界から見れば天界も異世界。つまり転生して異世界生活って事だ。
チート能力はないにしても、ラノベな展開ですな!
おっと、また思考が暴走しかけた。反省。
「フェアーさんってこの広いお屋敷に一人で暮らしてるんですか?」
「はい、さすがに天界には使用人はいませんし・・・この屋敷はちょっと広すぎて困ってるんですけどね」
「はぁ~・・・寂しくないです?」
「ずっとここに住んでますし、もう慣れましたね」
慣れた・・・か。それはそれで寂しいと思う。
それに天界には使用人とかいないのね。
よく考えてみればほとんどが神様だし、街に住んでる元人間の人達は店を持ってたりする。
探せば使用人みたいな事をしている人もいるんだろうけど、そもそも数が少ないもんな。
あ、思いついちゃった!
俺が天界でする仕事思いついちゃった~。
ほらほら、フェアーさんが興味深い顔してこっちを見てるよ。
「フェアーさん、俺をフェアーさんの屋敷で使用人として雇ってくれません?」
「へっ!?」
フェアーさんのそんな反応、初めて見たよ。




