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【番外編】ソラールという女神

私の名前はソラール。一応女神です。

つい先日までは運命部門・天寿係をやってました。

そう・・・つい先日までは・・・。


同僚のアイビーは良く言えば明るくおおらかな子、悪く言えば・・・適当な子。

私がここに配属された時、アイビーはすでにいました。1年だけだけど先輩。

配属された頃は本当に大変だったんです。

だってアイビーが先輩なんですよ?


教え方も適当、肝心な仕事も適当、いっつもお菓子食べてる。

そりゃ色々苦労しました。ホントに・・・。

でも憎めないっていうか、あの子のおおらかな性格もあって許せてしまう。

私も甘いっていうのは分かってるんですけどね。



あの日、いつものように私とアイビーは仕事をしていました。

天寿係はその名前の通り、天寿を全うした人をお迎えするのが仕事。

専用の機器で対象の人の上に光を照射すればお迎え完了。簡単なんです。

注意するのは照射する人を間違えない事くらい。


アイビーは仕事終わりにお菓子を買いに行く予定があるようでソワソワしてました。

いつも以上に仕事に身が入ってなかったんです。

そんなアイビーに私も慣れてしまっていたんですよね・・・。

水晶を放り投げてるのを軽く注意した程度で放っておいたのは今でも悔やまれます。


結果は皆さん知っての通り、照射がズレて天地さんに光が当たってしまいました。

私は今までで一番大きな声で叫んでしまったみたいです。

すぐに直接の上司が飛んできて、そのまま部門のトップであるティニー様に連絡をしていました。もう私達の顔は真っ青です。

さすがのアイビーも「どうしよう」を連発してました。


ティニー様が来て状況を説明した後はもちろんお説教です。

怒られ慣れてるアイビーと違って、私は初めてでした。

ミスした事も、怒られた事もショックでショックで・・・泣いちゃいました。


私達はまだ生きていくべき人の運命を変えてしまったのです。

運命部門で仕事をしているのに・・・。

天地さんの運命を変えてしまうという事は今後、天地さんと絡む運命も変えてしまうのです。

もし結婚をするなら奥さんとなる人の運命を。もし子供が生まれるはずだったらその子の運命を。運命というのはひとつ狂えばその先にある未来の運命を大きく変えてしまうのです。




天地さんへの説明はティニー様がすることになりました。

ティニー様がしばらく話をしていると、私とアイビーが呼ばれました。

私は天地さんから怒鳴られ罵られる覚悟をしていましたが、いざ本人を目の前にすると全身がガクガクと細かく震えているのが分かりました。

一緒にいたアイビーは、ティニー様に怒られたことで不貞腐れていて・・・それがちょっと気がかりであり、やはりと言うべきか天地さんを怒らせてしまいます。


はじめ、天地さんは「仕方ない」という感じの対応をしてくれました。

罵ることも怒鳴ることもしませんでした。

でもアイビーの態度で怒ってしまい、「転生しない」と宣言。

・・・あの時はアイビーを本気でひっぱたきたかったのは内緒です。はい。


少し落ち着いてもらおうと、私とティニー様はお茶の準備をする事に。

不安はありましたが、アイビーを残して部屋を出ました。

少し考えればそれは悪手だと分かりますよね・・・。

案の定というべきか、部屋の戻るとすでに天地さんの姿はありません。

アイビーはトイレだと言っていましたがいくら待っても戻ってくる気配がなく、アイビーもだんだんと落ち着かなくなってました。


結局、天界放送で天地さんを探す事に。

天界放送というのは、頭の中に直接用件を流す形をとってます。

天界全域・対象限定など種類は複数あります。

あの日は運命部門の建物にいる女神達と、建物の付近にいる人達に流しました。

私達はトイレを含め、建物を全て探します。でも天地さんはどこにもおらず流石にティニー様も焦っていました。


どれくらい時間が経ったでしょうか。

天地さんの居場所が分かりました。なんとフェアー様のところでお茶をしていたようです。

フェアー様はティニー様と同じ上級女神ですが、実際はフェアー様のほうが立場が上です。

仕事の内容については・・・私の権限では話す事が出来ません。ごめんなさい。


天地さんがそんな立場の方とお茶をしているなんて思ってもみませんでした。

探しても見つからないはずです。

だってフェアー様がいた部屋は本来ならば上級女神しか入れない部屋なのですから。

どうやってそこまで辿り着いたかは分かりません。天地さんに聞いてみると「階段を上ったり下りたりしてたらそこにいた」らしいですが・・・。









結局、私とアイビーはその日のミスの責任を取り配置変えになりました。

アイビーはぷんすかしていましたが、私は覚悟していました。だって、人の運命を変えてしまったのですから・・・当然です。

新しい仕事をティニー様から聞いたときは流石に私もビックリしましたが・・・。


新しい仕事は天界で暮らすことになった天地さんの監視。

もちろん、天地さんには生活が慣れるまで色々とお世話するって言ってありますが。

天地さんは何となく気づいていたと思います。

でも特に文句も言わず楽しそうに私達と話している天地さんと過ごす時間は、新鮮でもありとても楽しかったです。


アイビーが作った料理を美味しそうに食べる姿を見て、私も作ってあげたくなりました。

私はアイビーに比べると料理が得意ではありません。

以前、私の料理を食べたアイビーが「ソラールは作るより食べる専門のほうがいいね」って言ってたこともあり、私は料理するのを止めてました。


かなり久しぶりに作る料理。ちょっと見た目は悪かったですが「美味しいはず」

そんな気持ちで天地さんに振る舞いました。

天地さんはひと通りの料理に手を付けたあと、そのまま気を失ってしまいました。

私が大慌てでアイビーに連絡をすると、すぐに病院に連れて行けと・・・。


料理が美味しいとか不味いとかではありませんでした。

私には料理のセンスがなかったのです。

アイビーに呆れられ、ティニー様にまた怒られてしまいました。

もう二度と料理は作りません。

アイビーは料理教室に通えばいいって言ってたけど、自分の料理を食べた人が倒れ、残ったモノを防護服を着た同僚が片づけているのです。

私は料理をしてはいけなかったのです。


天地さんは3日後に退院。

私はまだ退院後の天地さんに会っていません。

アイビーは「大丈夫そうだったよ~」と軽く言っていましたが、どんな顔して会えばいいか・・・かなり不安です。今度こそ怒られ、罵られるのかな・・・。




私の名前はソラール。一応、女神をやっています。

今日は私が天地さんの担当です。

まずはしっかり謝って、許してもらえるように頑張ります。


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