評価は簡単に上下するものだ
「そそそそ、ソラールのご飯・・・ぷっ・・食べちゃうとか・・・どんだけ・・ぷっ・・・」
「お前なぁ・・・」
「し、しかも入院って・・・ぷっ・・・もうダメ・・あははははははは」
ソラールさんの最終決戦兵器もとい、手料理を食べた俺は入院するハメに。
で、やっと退院したと思ったらアイビーがやってきた。
ソラールさんの料理を知っているアイビーは、それを俺が食べた事に爆笑している。
退院したものの、まだ本調子じゃないので駄女神をお仕置きする気力がない。
「あ~笑った~。まさかあの子の料理を食べる人がいるなんてね~」
「まぁ見た目からして危険なのは分かったけどさ、わざわざ作ってくれたんだ男としては食べなきゃダメだろうが」
「その結果入院でしょう?ぷっ・・・もう、これ以上笑わせないで~」
「調子戻ったら覚えてろよ」
再び爆笑モードに入ってしまったアイビーは「お腹痛い~」といいなが転げ回っている。
これはまた新井先生直伝の【もみあげワッショイ】でもお見舞いするかな。
「それよりお前は何しに来たの?本調子じゃないから今日は出掛けないぞ?」
「アナタねぇ、女神に向かって「お前」はないんじゃない~?」
「大丈夫。お前以外はちゃんと敬意を払ってるから。さすがに駄女神に敬意は払えないわ」
「私はお前なんて名前じゃありません~。ちゃんとアイビーって名前があります~。分かったら次からはアイビー様って呼ぶ事~」
「分かったよ駄女神。で、何しに来たの?」
「だ、駄女神言うな~!・・・ったく、どうして私がこんな人間の・・・」
ぶつぶつ言いながらアイビーは簡易キッチンの前に移動した。
あ、ちなみにソラールさんの料理の残骸は防護服を着たティニーさんの部下達によってきちんと処理されたらしい。
お見舞いに来たティニーさんの疲れ切った顔が忘れられない。
アイビーは綺麗になったキッチンの前でしばらくごそごそやっていた。
ご飯を作ってくれてるんだろうな。いい匂いしてきたし。
何が驚きって、あの駄女神アイビーの料理が旨い事。
普段とのギャップのせいもあってか、思わず俺も「あれ?もしかしていいヤツ?」って思ってしまう。
男ってのは基本的に単純だ。
ちょっと弱っている時に、てきぱきと手料理を作ってくれたら・・・そりゃ、ね?
しかもその料理が旨いのだ。
「意外と家庭的なんだな」とか思ってしまうのも無理ない。
「ほら、病み上がりだから簡単なおかゆにしたわ~」
「お、おう。ありがとう」
いかん。駄女神のアイビーがいつもより4割増しでいい女に見えてしまう。
普段の駄目っぷりで目立たないけど、一応女神なんだよな~。
あぁ駄目だ、俺はまだ身も心も弱ってるんだろう。
アイビーは簡単なおかゆと言っていたけど、実際に出てきたのは中華粥だった。
干しエビに干し貝柱などが入った優しい味。
あまり食欲はなかったはずなのに、おかわりまでしてしまった。
くそぅアイビーめ、なかなかやるな。
「ごちそうさまでした」
「んふぅ~。私の偉大さが少しは分かったようね~」
「偉大さは分からないけど、料理が上手いのは認めるさ。旨かった」
「これからはちゃんとアイビー様って呼ぶように~」
「アイビー、デザートないの?」
ムキー!とか言いながらキッチンに向かい、果物を切って持ってきてくれた。
偉大さは分からないけど、アイビーの評価が多少上がったってのは本人には内緒だ。
食後はお茶を飲みながらまったりとしていた。
アイビーはどこからか取り出したクッキーをパクパク。
俺にもくれって言ったら、渋々1枚くれた。そんな嫌そうな顔するなよ。
「そういや、ソラールさんはどうしてるの?」
「ソラールは料理作るの禁止された~。しばらくは料理教室に通うらしいよ~」
「うん、それがいい。てか、今まで放置されてたのがおかしい」
「あはは。あの子の料理を知ってるの私しかいなかったしね~。それに、友達に料理ヤバいから作るなとか言えないでしょ~?」
アイビーなりに優しさを見せたらしい。
その結果、俺が犠牲になったんだけどね。
それをアイビーに言ったらまた爆笑しやがった。おのれアイビー、覚えてろ。
アイビーは早めに夕食の準備をして帰った。
「偉大な女神アイビー様に感謝しながら食べなさい~」とか捨て台詞を残して。
俺はそれを「駄女神アイビーありがとう」と言いながら食べたさ。
ドアをノックする音に気付いて開けてみるとそこにはソラールさんがいた。
そしてそのまま土下座をした。
「天地さん、本当にごめんなさい!ごめんなさい!」
「あ、いや、もう大丈夫ですから。立ってくださいよ」
何度か促してようやく立ち上がったソラールさんはずっと謝っていた。
うん、何だか苛めてるようで俺のドS心に火が・・・いや、ここは罪悪感が。と言っておこう。
俺が倒れて入院した後、ティニーさん達にだいぶ絞られたらしい。
ちなみにアイビーには大爆笑されたようだ。あの駄女神め。
謝り倒すソラールさんを宥め、帰ってもらった頃には俺もグッタリ。
早めに休んで体力回復しないとなぁ・・・。
俺の天界生活はまだ始まったばかりです。明日はいい事あるといいな。
ソラールさんの最終決戦兵器(料理の残骸)は
とある女神様が地獄に放り投げたらしいです。
その様子はまさに地獄絵図。




