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UNMAPPED  作者: オールライト


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9/12

第9話「準決勝」

 一回戦がひとしきり終了し少しの休憩が選手たちに与えられた。このタイミングで俺たちは二人で今までの戦いと今日のトーナメントの中で注目している選手をお互いに話した。


そして二人とも同時に考えたのが、トーナメントの再優勝候補とされているフォースのことだった。そして同じグループにいていずれ戦うことになる俺に対して少し心配してグラフは声をかけて聞いてきた。

 「お前はフォースと戦うだろ。勝てるのか?」

 「わかんない。けど勝つよ。」

 正直第三者の目線からみるとフォースの方が勝率が高く脳域を抜いた戦いの技能(レベル)も俺よりも高いのは明白であったし、覚醒率もトーナメント参加時の俺と比べたら勝っていただろう。

 そう言ったことはもちろんグラフも理解しているだから聞いてきたのだろう。

 だけど、俺が勝つといったのは単に見栄を張ったわけではない。さっきの戦いで自分の覚醒率が高まった実感もあれば、まだ何かこの先の領域に到達できるような気もしていた。だから、俺は勝つさと言った。グラフもおそらくカイとの戦いでそういったことを理解している。だから俺の返答にだよな。と言わんばかりの反応を見せてきた。

 「だろうな。ならば俺かお前のどちらかが賞金を獲得できる、つまりは目的は達成できそうだな。」

 このイケメンはどうやら自分のブロックにもグラフと同じ熟達級の剣士がいることを忘れているのかというくらいの自信で自分の勝利と俺の勝利を確信しているらしい。こういうのも含めてグラフがいると安心できるんだよな。

 ちなみにグラフの方の警戒するべき剣士とは初戦の相手に対してフォースとは違い自分の権能(プヴォワール)も交えながらではあるが剣で圧倒していた17番の選手である。出場履歴はそこまで多くはないらしいが数回出場したことがあり一度だけ優勝したことのある選手ではあるらしい。

 後に聞いた話ではあるが、その試合の決勝戦はカイとの勝負だったらしいのでカイに勝利したグラフなら十分に勝てる相手ではあったのだ。


 そんな話をしているうちに第二回戦が始まろうとしていた。

 ただ20人で始めたトーナメントだったのでここでくじ引きをしてあたりを引いた二人は自動的に3回戦に進めるらしい。

 控室で待っていた参加者たちに受付のところにいた女の人がくじを持ってきた。

 「さぁそれでは皆さんくじを引いてくださーい。あたりは星のマークが書かれていまーす!」

 そして参加者全員が引いた後にすぐにシード権を得た二人が観客にも発表された。

 「シード権一人目は10番!グラフ選手!そして二人目は17番フェイ選手!」


 まさかの俺がシード権を獲得した。これは普通にラッキーである。もう一人はグラフのグループの警戒すべき人物17番の選手だった。


 さてそういったイベントも束の間ですぐに俺たちは試合の準備に入る。まっ俺はシードだからないんだけどね。

 そしてさっきの試合で権能(プヴォワール)をさらに深く理解したグラフの試合が始まる。

 「さぁ!!休憩も終わりここから一回戦を勝ち抜いた猛者だけが残った第2ラウンドの始まりだー!!まず初めの組み合わせは一回戦権能(プヴォワール)どうしの殴り合いで圧倒し勝利した男権能(プヴォワール)名射撃(ショット)を扱うこの選手!!エントリーナンバー8番ショート選手!!

 対するは無名ながらにカイ選手を圧倒し、一気にその名が跳ね上がったこの剣士!エントリーナンバー20番!グラフ選手ー!!

 この二人の注目の一戦どちらが勝利するのか⁉今始まるぅー!!!」

 開幕早々自信のあるグラフがショート選手に何かを話しかけてショート選手が少し怒っているのがわかった。

 「悪いが圧倒させてもらう。」

 「はっ自信満々かよ。なめやがってその言葉後悔させてやるよ!」

 まず初めに動き出したのはグラフだった。お決まりのように刀を出していたグラフはショート選手に対して何の警戒もなく身体強化を発動させながら突進した。

 すかさずショートも権能(プヴォワール)を発動させ応戦しようとした。

 だが、今までとは全く早さの異なるグラフの身体強化の前では今のショートの射撃(ショット)の威力スピードでは話にもならずすべての攻撃を切られ、一瞬で片が付いたのだった。

 開始の合図の後二人が話し終わった後物の数秒の話である。これが覚醒率が顕著に違う者同士の対決である。推定ではショートの覚醒率は15%程度でスパイダーと戦ったグラフと同程度である。だが今のグラフはカイとの戦いで自分の権能(プヴォワール)を深く理解したことで大幅に跳ね上がっていた。だいたい23%くらいにはおまけにショートの戦闘のレベルは一人前と熟達級のちょうど間程度でグラフは熟達級で熟練級に差し掛かるレベルなので正直歯が立つはずもなかったのだ。

 覚醒率とはあげるのは非常に困難だ。だがしかしその方法はいくつかあり、権能(プヴォワール)の理解や死闘を繰り返すことで驚異的に伸びることもある。だからグラフはカイとの試合で一皮むけていたのである。


 と、まぁあっさり試合が終わり観戦席で見ていた俺も予想通りの結果だったので少し退屈に感じていた。ちなみに俺の覚醒率も詳しくは分からないが上がっていることは確かなのでもうこの大会で面白そうな組み合わせができる選手は4人に絞られていた。俺、グラフ、フェイそしてフォースの4人だ。なのでそれ以外の試合はもう見ても楽しめないので俺とグラフは二人とも見るのもやめて自分の成長のための時間に使った。もちろんフォースの試合は見てもよかったのだが、グラフであれだけ一瞬で決着がついたのだ見ても手の内を探れるわけもないので見ないと決めた。


 というわけで準決勝までことが進みグラフとフェイの試合が始まろうとしていたのである。

 「さぁここまで様々な試合を繰り返し本当の強者の4人が出そろったぁーー!まず初めの組み合わせは剣士対決になると予想されるこの最高の組み合わせぇーー!グラフ対フェイーーー!!!」


 そしてここから観客も実況も魅了するほど試合レベルが数段上がる。


 「ではよろしく頼むグラフ。」

 「あぁ。ここからは油断もしないむしろ最初からお互い全力でやろう。」

 「そうだな!」

 そう言ってグラフとフェイはどちらもその言葉に嘘偽りなくお互いに自信の持てる力を開放する。ここまで一度も見たことのないまるで二人の体から気の様なものがうっすら出現していた。がこの時二人はそのことには気づいてはいなかった。

 その二人が今お互いの持てる全力を尽くしてぶつかる。

 ちなみにだがこの時の二人の実力派覚醒率ではグラフが技能(レベル)ではフェイが少しだけ上回っていた。

 まずはグラフが覚醒率の上昇とともに数段早くなった剣速で斬りかかりながら表象(ルプレザンテル)を発動し刀の通り道を炎の通り道として描き燃やす。つまりグラフが切った場所はたとえ空であろうと燃えるのだ。

 ここまでの火力の高い攻撃なのだ普通の剣士なら軌り合いになっ途端に普通なら決着がつくだが、フェイは並大抵の剣士ではたどりつけない領域である熟練級にまで上り詰めているので多少なら問題ない。

だが今のグラフも熟練級に片足を突っ込めるまでになっているのでそれだけでは説明がつかない。実はこの時フェイはすでに自身の権能(プヴォワール)を発動していたのである。その名は虚像(フェイント)その能力はその名の通り虚像を作り出す。つまり優れた剣士であるフェイは自分の剣による攻撃以外にも虚像による攻撃を繰り出していた。つまり単純に倍近い数の攻撃を繰り出しているように見える。これのせいでグラフは虚像の剣を弾くために刀を無駄に振るわされ攻撃力を半減させられていて押し切ることができないのであった。それだけではなく、グラフは感覚を最大限に研ぎ澄まし虚像かどうかを判断していた。なのでグラフの疲労は普段の倍以上たまっていたのだ。

 この能力の厄介なところは虚像と実態を入れ変えることができる。つまりは完璧に見極めれたとしてもどちらの攻撃も裁かなければいけないのである。

 こういった攻防を全力の身体強化も合わさった影響で、最初は押していると思っていたグラフが疲労の関係でいつの間にか防戦一方になっていたのである。

 だが、ここからさらにグラフが進化する。

 今までグラフは自分の戦い方に何か強いこだわりがあったわけではない。今まで刀ばかり使っていたがそれに何か強いこだわりもなかった。ただ何となく扱いやすいからという理由で使い続けてきたので剣士としての技能(レベル)など高めようとなどしたことなんてなかっただけど今、初めてグラフは同じ剣士に剣の技量で圧倒された。覚醒率はグラフの方が高いのにもかかわらずだ。

 ここで初めてグラフは自分が剣士であり剣士として勝りたいと強く心に思った。そしてあえてグラフは炎を止めた。

 そして己の刀にのみ集中した。

 逆を返せばだグラフは今まで強いこだわりのない武器特に磨こうともしていなかった剣士としての腕ですでに熟練級に片足を突っ込むほどの域に達する才能があったということになる。

 そのグラフが今刀に集中した。

 今までの感覚ではなく何が最適化を思考し仮説を立て刀を扱いさらに思考を繰り返す。自分よりも技能(レベル)の高い剣を受けながら。そして、やがて思考せずに再び感覚へと戻る。

 ここまで才能だけで熟練級に近いところまで上げたグラフはまさに剣士の道の天才だったのだ。そして完全に刀に集中し再び思考が感覚に戻った時グラフは刀をさらに数段早く、数段力強く、そして音のない静かな太刀筋でフェイの作り出す虚像事すべての攻撃を斬った。

 そしてフェイの剣の半身が地面に落ちると同時にフェイは倒れて戦闘不能となり決着がついた。


 この時のグラフの技能(レベル)は熟練級をも凌ぐ達人級にまで上り詰めていたのであった。


 「試合終了ーー!!!この長く、短い激しい攻防を制したのはグラフ選手だぁぁーーー!!!」


 観客の歓声が鼓膜を破るような勢いで街一帯に轟き準決勝第一試合の幕が下りたのだった。

 



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