第2話「出会い」
俺は家を出た。
「まずは街の中心地に行こうかな。」
実はこれまで田舎から出たことがなかった。別に出るのが嫌とか出られないようにされてたとかそういうのではない。
そもそも俺親いないから一人で暮らしてたし。
正直な理由は、本を読むことと獣との戦いに夢中だったっていうのもあるしまだなんとなく力不足な気がしてたからだ。
本には実践的な戦いについても書いていてこの世界の強さの指標や覚醒率の高め方、権能の発現方法など。他にもいくつか書かれていたがまず最初に重要なのが覚醒率と権能である。だから俺はまずこれらを習得するために特訓に明け暮れていたのである。
旅に出た今の目的は一つ欲を満たすこと。俺の欲は圧倒的な知的好奇心これを満たすためなら俺は何でもやる。ほかの目的は何人か仲間を探すこと。
これの理由は冒険は複数人でやるものな気がしているからだ。別に寂しいとかではない。
「ここが俺の故郷エルノア国の中心部かぁ……」
俺は町に着くなりすぐに本を探した。商業街や誰もいかなそうな古い店まで。
だけど一つもない。なんでだ?
なんで町中のどこを探しても本を売っている店が見つからない。
俺は正直焦った。
「あのー本を読みたいんですが、どこか売っている場所を知りません?」
「本?」
え、そんな物珍しそうな顔してこっちを見てきてるけどなんか変なこと聞いた?俺
「そんな高価な物こんなところには置いてるところなんてないぞ」
「あ、本って高いんだ」
おっと、思わず声が漏れ出てしまった。
確かに言われてみれば家の本は厳重に保管されていたな。破れたり塗りつぶされてたからそんなことは忘れていた。というか何なら家の隅に隠されていたという方が近かった気もするけど、、、
「第一、なんでそんなものを探してるんだ?」
店主は物珍しい人を見るような顔でこっちを見ながら続けてきた。
「本なんて読むやつもいない。本は知っているが打っている場所なんて噂すら聞いたことがないぞ。だから探すのは難しいぞ」
「そうなんですか。他も探してみます」
「まぁ、がんばれよ!」
「教えてくれてありがとうございます。」
「おう!ところで兄ちゃん一人か? この街は物騒なやつが多いから気をつけろよ」
物騒?そんな感じはしなかったけど,,,,,, って!本探しに夢中で気づかなかったけど、半分くらい武器持ってんじゃねーか。てかこのひげ生えたスキンヘッドのおっちゃんも武器を売ってたのか。
俺は絡まれないように気を付けようと心で思った。
「おい、ガキ。一人か?」
すでに手遅れで絡まれた。しかも無駄に体だけでかい奴に。角刈りみたいな頭をして大きいが切れ味の悪そうな剣を持った男。俺はさっき心で思った絡まれないようにということをしっかり守って穏便に対処してみた。
どうせ無理だろうけど。
「はい。一人ですよ」
「そうか。じゃあ金目の物を置いていきな」
「あいにくですが今は何も持っていなくて。田舎から来たばかりなので」
「……そうか」
「では、私はこれで。店主さんありがとうございました!」
店の前で暴れられても迷惑なのでさっさと立ち去ろっと。
「おい!」
嫌な予感。やっぱり。
角刈りが剣をこっちに向かって振り下ろしてきた。でもやっぱり図体がでかいだけで遅い。
俺は身体をひねってそれをよけた。
「何するんですか、やめてください」
「ハハハ! 何って、身ぐるみ剥いでやろうと思ってな!」
角刈りが再び剣を振るってきたので俺はもうあきらめた。頭めがけて振るってきた剣を俺は権能を発動し空間曲折を使い剣の軌道をそらして剣の腹の部分を殴って刀身を折った。ついでにむかついたのでそのままの勢いで二撃目に角刈り男の腹もぶん殴ってやった。
少し力が入りすぎて鈍い音とともに角刈りが数メートル後ろに吹っ飛んでしまった。
これは少し反省。
さすがに騒ぎになりそうなので俺は知らないふりをして逃走した。
⸻
よし。何とか騒ぎになる前に逃げれた。全く穏便にしようとしてるのになんて物騒な奴だ。
「いいパンチだったな」
ほんとにね。,,,ん?
「誰だ?」
急に後ろから話しかけられた。まためんどくさいのに絡まれるのかと思いながら俺はいやいや振り返った。
「すまない。驚かせるつもりはなかった」
さっき角刈り男とスキンヘッドのおっちゃんを見たせいでかわかんないけど無茶苦茶イケメンが立っていた。いや、こいつは関係なくイケメンだな。
「ただ本を探しているお前が気になって後をついてきた」
――――――
実はリーブルが絡まれていたあの時少し離れた場所からみている青年がいた。
青年は絵をかいていた。自分の故郷のある国の王都の風景を収めていたのだ。そんな時に町の一角に騒がしい雰囲気を感じ取った。
(なんだ?あいつこんなところで本を探しているなんて珍しいやつだな。あんなに一人でいる上に田舎者感を出していたら絡まれまくるぞ。)
青年は案の定絡まれたリーブルを見てバカだなと思いながらも数年前の自分を思い出す。
青年はリーブルのように楽観的で気さくな性格ではないが初めて旅に出たときはクールに見える性格としゃべり方でおまけに自信過剰なせいで多くの人に絡まれたのだ。理由は違えど同じように一人で街に出て絡まれる。それだけではなく何も知らない街に一人で街に出るほど本を見つけたいと願う彼の強い欲と現在の自分も夢を追うために一人で歩き回っている立場なので親近感が湧いてしまって手助けしてやりたいという気持ちがあった。
だから王都から少し離れたところまであとをつけてきていたのだ。
――――――
「何か知っているのか?というか誰なんだ?」
「あぁ。俺の名前はグラフだ。」
「何かしってるのか!ならどんな本の情報でもいいから教えてくれないか!」
「いいがその前にお前の名は?」
「俺はリーブルだ!早く教えてくれ!」
「あわてるな。俺の故郷エルノアの第二都市イニティウムにある酒場のマスターが本を所有していてな少しなら本を見せてくれるはずだ。だから少し遠いがついてこい。」
「わかった!」
俺はそれからグラフとイニティウムに向かった。その途中でいろいろグラフに話を聞いてみた。興味も少しはあったけど何よりそこそこ遠い道のりを黙々と進むのも退屈だったからだ。
だが収穫はあった。
俺たちはお互いの旅を始めた理由と目的について話し合った。
まずは自分の話をした。決して出しゃっばたわけではない聞かれたからだ。
俺は自分が持っている本の話から始めた。
そしてもう一つ一緒に見つけた世界地図の話。
そして旅の目的が自分の冒険記を作り空白のない地図を完成させることを話した。俺の話を聞いてる途中でグラフは言った。
「それは俺と相性がいいぞ。」
正直意味が分からなかったので続けて聞いた。どうやらグラフは絵描きでそして旅を始めた目的は世界一の景色を見つけてその場所を記録に残しそしてそれを絵に描くことらしい。つまり、相性がいいとは俺が作る本をより正確に記録に残し世界一の景色がある場所ももちろん冒険の記録には必要だろ?ということである。
正直俺も仲間は欲しかったし、地図を書くのもうまくないからこの提案はとても魅力的だったので俺はグラフを受け入れて一緒に旅をすることに決めたのである。
前回投稿日について金土日の0時と書きましたが、金土のいずれかの20時にします。




