それゆけ!奥野坂上大学オカルト研究会3
「さて、宴もたけなわなところで……今回のメインイベントじゃい!」
「い、イベント……?」
ごくり、と生唾を飲み込む俺。
「この市にひっそりと佇む最恐の心霊スポット──『黄色い屋根のお家』に肝試しに行くぞ!」
「えぇぇぇッ!? あの『入ったら確実に死ぬ』と言われていて、解体業者にも死者が出ているっていう、あの地元の不良集団すら近寄らない黄色い屋根のお家ですか!? やだやだやだやだ! そんなところに行ったら命がいくつあっても足りませんよー! やだーっ!」
「バカモン! 男だろ! 本当にオチンチン付いとるんか!? お前の空手を見せてみろ!」
「やだいやだいやだーい! 空手なんて人間用の技で幽霊なんて倒せるわけないじゃないですかー!」
「泣くな羽虫がぁ! その鍛え抜かれた肉体は偽物か!? それにワシらは知っとるぞ? お前の流派──神代の時代から続くと言われている実戦派空手、『宮木流』の力をな!」
「うぐっ……! で、でも……あんなのただの『なかなか消えない青い炎を纏った正拳突き』なだけで……そりゃ絡んでくる地縛霊とかを燃やしたことはありますけど……」
「ほら見ろ! 栞! こいつは逸材じゃい!」
「はい、部長の見立て通りです」
「でも……亡くなった宮木師匠に『大切な人を守るため以外にこの技を使うな』って……」
俺がうつむくと、栞先輩が静かにメガネのブリッジを押し上げた。
「……宮木さんの『マムシ会』との抗争の件は、かける言葉もございませんが……伊地知さんには、いま新たな守るべき存在がいるのではないですか?」
「へ?」
ふふん! と腕を組んでドヤ顔を決める烈子先輩。
「は、はぁ……?」
「あ゛ぁん? こんな儚くか弱い美人を守らんで、何のための男の子じゃい! ……お前の家族の前で、その小さなブツを引きちぎってやろうかぁ!?」
(ひぃぃぃぃ! 見た目と言動が違い過ぎるーーーッ! 儚い美人なのは間違い無いけど、言動が危険人物過ぎるーーーッ!!)
俺は首を激しく縦に振り、全力でその場の死を回避した。
自分でも驚くほどの高速首振りだった。人間って、土壇場になるとこんなスピードで首を振れるんだな……。




