地獄の峠バトル!BBAはユーロビートを聴かない1
「深夜、上司の鬼怒川課長と此花栞さんを車で送り届けた後の話なんですけどね?」
翌朝、幽霊社会復帰課のある地下にて、真壁は首を右側に90度直角に曲げたまま、悲壮な顔で語り出した。
「車を役場の駐車場に返さなきゃって、帰路を急いでいたんですけどね? その日に限って、なんだか嫌だなぁ、怖いなぁって気配があったんですよ。そうするとね? 急に、後ろを走る車から激しくパッシングされたんですよ。だから僕はウインカーを出して道を譲ったんです。その時に、ふとどんな奴が煽ってきてるのか見てやろうと思ってね? 追い越していく影を思いっきり睨みつけてやったんですよ。そしたらですよ……!」
真壁はガタガタと震えながら、右を向いたままの顔で絶叫した。
「車なんか走ってなくて、懐中電灯を両手に持って時速100キロで並走してるお婆さんだったんですよ!! それから首が右を向いたまま直らないので、今日は帰ってもいいですか……?」
「あ゛? なんじゃ真壁。見苦しいぞ。ちょっと貸せ」
鬼怒川烈子課長が、真壁の頭を背後からガシッと両手で掴んだ。
「あ、課長? ちょっと待って、それ危な――」
ベキッ!!!
「あがぶぅっ!?」
「あ、ミスった。勢い余って左向きに固定されてもうたわ。おい栞、真壁に半休出してやれ」
「了解しました。書類には『転倒による頸椎捻挫』と記載しておきます」
課長の超絶腕力によって、首を今度は左側に90度強制ロックされた真壁は、白目を剥いて泡を吹き、そのまま床へと崩れ落ちて気絶した。
課長は気絶した真壁を踏み越え、咥えタバコの煙を吐き出しながらギラリと目を光らせた。
「それにしても……我が県にもついに『ターボババア』が出るとはな。しかも懐中電灯でパッシングとは、舐めた真真をしてくれるじゃねえか。この県の道路は、裏も表もすべて私のシマじゃろうがい! なぁ、栞!!」
「その通りです、課長。道路使用許可を取っていない不法占拠車両など、即刻排除すべきです」
「よし。……アレを用意しろ!」




