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地獄の猛暑!泥まみれデスマッチ1

とある季節外れの真夏日。外の気温は、狂ったように38度を記録していた。


しかし、庁舎の地下にある幽霊社会復帰課は、別の意味で狂っていた。


「あ゛〜〜〜、暑っついんじゃボケぇ!!」


鬼怒川課長が、デスクの下に置いた大きなタライの氷水に両足を突っ込み、半裸(ブラトップ姿)で豪快に涼んでいた。


その手には山盛りのかき氷。だが、かかっているのは蜜ではなく、お馴染みのレモンサワー(9%)だ。課長は火のついたタバコを咥えたまま、タバコをを器用に扱い、アルコールまみれの氷を口へと運んでいる。不健康と涼の、最悪のハイブリッドだった。


(……さすがに目のやり場に困るなぁ。本来はめちゃくちゃ美人なだけに、色んな意味で破壊力が凄すぎる……)


真壁が冷や汗を流しながら視線を逸らしていると、けたたましく黒電話が鳴り響いた。課長が受話器をひったくる。


「はいこちら幽霊社会復帰課です! どうしました? 幽霊ですか? 妖怪ですか? ふむふむなるほどですね? すぐに向かいますので〜♡」


相変わらずの音速4オクターブ。だが、受話器を置いた課長の顔は、一瞬でドブの怪物に戻った。


「おいお前ら、出動だ! 今朝から、田んぼで倒れる人が続出してるらしい。地元の奴らは『怪異の仕業だ!』って騒いでやがるが、どうせただの熱射病だろうに。根性の無い奴らじゃ、行くぞ栞、真壁!」


「あの、課長。最近ではそれを熱中症って言うら――」

バシィン!!!

真壁が言い終わるより早く、課長の強烈な平手打ちが真壁の頬を襲った。


「せからしか! ワシが熱射病って言ったら熱射病じゃいボケェ! おら、とっとと着いてこい! ……おい栞! 車のクーラーはガンガンに頼むぞ!」


「はい、課長。車内を北極のように冷やします」

外の気温よりも遥かに熱く腫れ上がった頬を押さえながら、真壁は半べそで公用車へと乗り込んだ。

車内は栞の言葉通り、フロントガラスが凍りつきそうなほどの極寒。しかし一歩外に出れば、陽炎が揺らめく灼熱の地獄。


車はガタガタと音を立てながら、県内の外れにある、のどかな田舎道へと突き進んでいった。見渡す限りの青々とした田んぼ。だが、その静けさの中には、明らかに異様な気配が漂っていた――。

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