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テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
9/14

008【おかしな森】

〖神暦・3240年 4月6日〗

日記の筆者『テオ』

場所「遺跡」



コツコツ。


階段を下がる音があたりに響き渡る。


「ここも暗いね。」


イズが言った。


「そうだね真っ暗だ…というか、どうしよう。」


僕はそう言いながらあたりを見渡した。

見渡しても、魔法でつけた光が照らす。

と言っても、イズしか見えないのだが…


「どしたの?」


イズが振り向いた。


「いやぁ、実はね、この階段、下がっても下がっても、上の方に転送されてしまう魔法がかかっているらしいんだよ。いわば無限ループ。」


僕も一応魔法使いなので、イズよりは上手くないが魔力探知(レーダー)が使える。

しかし、こんな簡単なことにイズが気付いていないはずがない。


「え、そうなの⁈」


気が付いていませんでした。

しかし、この魔法を解くことは、僕には出来ない。


「ちょっと待ってね…[干渉魔法: 術式変更]!」


イズがそう言うと、イズを取り囲むように四つの魔法陣が出現した。


[干渉魔法: 術式変更]

他人の設置型魔法の術式を書き換える魔法だ。

設置型魔法のみに干渉可能なので、攻撃魔法には通用しない。(大掛かりな設置型攻撃魔法などには、通用可能。)


「出来たよ。」


イズが、自分の周りの魔法陣を消した。

と、同時に周りがぱぁっと明るくなった。


「すごい。」


イズの魔法に驚いていると、ふと周りがガラス張りなのが見えた。


「え、すご。森だ。」


そのガラスの奥には広大な、広大な、森が広がっていた。


「ホントだー!森だ。 …ここって本当にあの遺跡の中なんだよね…?」


イズが双眼鏡を魔法で取り出し、遠くを眺める。


「あ。なんか、家があるよ!」


イズが遠くを指さした。

…本当だ。

よく見ると遠くに五、六軒ほど、家がある。


「なんだろうね。行ってみる?」


イズに尋ねた。


「もちろん!」


即答。寄り道する時間はあるのか? 

…まぁ、何か面白そうだから行ってみるか。

…否。

無理だ、時間的に。


「やっぱりさ…」


僕が言いかけた所で、イズが僕の肩を突付いた。


「もうちょっとで階段、終わりだよ。」


イズが下を指さした。

あと10段ほどで階段が終わる。


「「よっしゃ、着いた!」」


二人で声を合わせた。

目の前に、ガラス張りの扉がある。


《ピロン♫ 生命体を二つ確認しました。解析します。》


どこからともなく声が響いた。

何というか、無機質な冷たい声だ。

すると、ピーという音とともに、イズと僕の体に、赤い光が当てられた。


《ピロン♫ 敵意はないと判断。通行を承諾します。》


その声がそう告げると、その扉は開いた。


「何だろう。」


イズが呟いた。

まぁ、古代の防衛機能と言ったところだろう。

そこまで真剣に考えはしなくていいと思う。


「じゃ、行ってみるか。」


家があった方へと歩き出した。




数分後




「というか、ここ、砦の中なんだよな…」


そう言いながら、僕は木々の生えた、辺りを見回す。

忘れていたが、ここはれっきとした砦の中なのだ。

砦というから、なんかこう、ガチガチしたイメージだったが、実際に来てみたら自然公園のような場所だった。


「さっき川もあったよ。」


イズが後ろの方を向いた。

耳を澄ますと、確かに水の音が聞こえる。


「魚もいたよ。」


イズが呟いた。


あ、

ここに、食料になるもの(魚とか野菜とか)があるじゃないか!

今朝の努力は一体…


アァァァ(テオが絶望する音)


そんなことを思い、落ち込んでいると辺りが急に薄暗くなった。


「な?」


僕は剣に手を添え、辺りを警戒する。


「あ、夜になったのよ。」


イズが空を見上げた。

イズの視線を追い、空を見上げる。

すると、そこには白銀の星々が散りばめられた、暗く美しい空があった。

なかなかお目にかかれない圧巻の星空だ。


「ふぅ。じゃあテントを張るよ。」


ため息をつき、リュックを下した。


「ここ、木ばっかりだから、もうちょっと開けた場所にしようよぅ。」


イズが言い、空高く飛び上がり辺りを見回し始めた。


「イズ、大丈夫だよ。魔法で木を切るから。[円形水斬]!」


イズが反応する時間もなく、僕の周りに10本ほどの、水でできた剣が現れた。

そして、僕は指をパチンと鳴らした。


ドカン!


大きな音とともに、周りの木々が吹き飛んだ。


「ああ、忘れてた。なんか先日、そんな魔法開発していたわね。」


イズが降りてきた。


「開け!」


僕は地面に置いたリュックに向かって叫んだ。

う~ん…前から思っていたのだが、このリュックはどうしてテントになるんだろう。

当たり前のようにこの機能を使っていたがそもそもこのリュック、どこで手に入れたんだっけ…


「お腹すいたー」


イズが僕の肩を叩いた。


「は~い」


言葉を返す。

ま、べつにリュックのことは後で考えよう。

まずはギルマスのお使いだ。

僕はそんなことを思いながら、テントに入り、晩ご飯の用意を始めた。


「イズ~[作り置き召喚]して~」


別に川はあるので魚を釣ればいい話なのだが、面倒くさい。


「は~い[作り置き召喚]~」


イズが目の前に魚を二つ出現させた。


「味付けは塩にする?」


僕はテントに付いている小さな棚から塩を取り出した。


「い~よ。…塩以外の調味料ってここにある?」


イズが棚を開けて中を見渡す。


「ないじゃん。じゃぁ、『塩にする?』じゃなくて『塩でいい?』じゃない?」


なんかイズが言っているが、気にしないでおく。

そして、魚に塩を振りそれぞれお皿にのせた。


「「いただきます。」」


手を合わせから、二人で食べ始めた。


「イズ、野菜ってある?」

「うん。[作り置き召喚]!…はい。」

「ありがとう。あ、イズも野菜食べなさい。」

「うぐっ…わ、私は大丈夫なのよ。」

「大丈夫じゃない。食べなさい。」

「はぁい…」


そんな他愛ない話をしながら、ご飯を食べた。




約三分後




「「ごちそうさまでした。」」


二人で手を声を合わせ、ご飯を食べ終えた。


「じゃあ寝るね。」


と、だけイズに伝えてテントの奥の、魔法空間へ瞬間移動(ワープ)した。


瞬間移動(ワープ)した先は五畳くらいの魔法空間…僕の自室だ。ちなみにこの空間もこのリュックを手に入れた時からある。

家具はソファーと、机、それからあの扉の奥はお風呂なのだ。

けれど、お風呂はイズがくれた魔法、[お風呂省略]で済ませているので、あの部屋はあまり使わない。


そして、実は保護した精霊がいる。

イズに見せたら、『精霊はちょっと…』と、拒否したので、僕の部屋で預かっている。

あいつはどこだ…


「おい!テオ!メシよこせ!」


あ、いた。机の上で寝っ転がっている。

見た目は白猫で、口が悪い氷の上位精霊。


「口が悪いな。」


一、二ヵ月前、道路の上で怪我をしていたのを助けたのだ。


「いいからメシ!」

「まだご飯は食べれない。薬ね、」

「コロス!」


彼が叫んだと同時に、無数の氷の矢が僕を狙うように出現した。


「無理だよ。」


僕は周りの矢を全て水に変換して、蒸発させた。


「君はまだ、魔力が完全には回復していないからね。完全に回復していれば僕に勝てるかもね。」


僕は彼を鼻で笑い、薬の準備をした。


「クソがーーーーー」


そう、それと、今、発狂しているこいつの名前はフィル。


「はい。」


僕はそいつに薬の乗ったスプーンを差し出す。


「うぇーぺっぺ」


フィルは嫌がっているけれど、怪我をしているので仕方がない。

この薬は栄養剤。

彼は、胃が傷ついているので、固形のものが消化できないのだ。


じゃあ流動食を食わせればいいって?


そんなシャレたものは持ってないよーーーー!

あああああああああああああああああああああああああ

(テオが今までのストレスの余りに、発狂する声)


バタン、キュー


こうして長い一日が終わった。


「…おい!テオ!生きてるか?…死んだか」



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