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テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
8/15

007【備品さがし】

〖神暦・3240年 4月6日(現在)〗

 日記の筆者『テオ』

 場所「遺跡」



「いや~しかし、こんなところから一つの鍵を見つけるのは、相当大変なのよ~」


イズが空中でまたもやひっくり返った。


「魔法で何とかならないの?」


イズに尋ねた。


「出来たらとっくにやっているわよ。攻撃魔法で吹き飛ばすこともできるんだけど、吹き飛ばしたら『きぶつはそん』でギルマスに怒られるから。」


器物破損ね、前に探検した迷宮(ダンジョン)の壁をイズが壊した事により、むちゃくちゃに怒られたのだ。


「一応、探知魔法発動したんだけど、あんなに小さい鉄の塊を探すなんて、探知魔法のプロしか出来ないよ。」


ならば二人で手分けしよう。


「じゃぁさ、イズ。僕はこっち側を探すから、イズは向こう側を探して。」


僕は、大通りを挟んで二手に別れる案を出した。


「いいね。それ。」


イズも賛同してくれた。


「よ~い。始め!」


僕が合図をだすと、イズが鍵を探すべく猛スピードで飛んで行った。


「じゃあ僕も探すか。」


まずは…そうだな、目の前にあるビルから探していくか。

入り口はあそこだな。


「おじゃましま~す。」


窓があるので暗くはないが、何というか、埃っぽい。

辺りを見渡しても、5m×5mほどしかない。


「一階には無いか…」


僕がそう呟いた瞬間。

何かの気配を感じた。


「魔獣か⁉」


僕が振り返るとそこには、身長15cmほどの赤い毒キノコ。…の、傘の部分に目と口が付いて、あと長い腕がある、なんか可愛いヤツがいた。


「なにこれ、かわいい~」


思わず声を出す。


「かわいいとはなんじゃ?」


声はかわいくない。

おじいさんみたい。


「わ、喋った⁈」


自分でも思うが、今更気が付いた。


「てか、だれ?」


そのキノコ生命体に尋ねる。


「私は$%#‘だ。」

「なんて?」

「$%#‘。」


その謎の言葉が、「アイロン」に聞こえた。


「アイロン?」

「まぁまぁそんな感じゃ。喋る菌類(マッシュルーム)の長老じゃ。」

「ふ~ん。というか、鍵みたいなものを見なかった?」

「見なかったぞ、さがしてやろうか?」

「えぇあ、マジで?」

「マジじゃ。…その代わり報酬をくれ。」

「報酬か…何がいい?」

「そうじゃな…お主、結構な魔力じゃなぁ、魔法が使えるのじゃろ? だったらワシの村を助けてほしいのじゃ。 そしたら村総出で探してやる。」


なるほどね、よくわからないが助けてあげれば、鍵探しを手伝ってくれるのか。

この生物の言うことは信用していいのだろうか? でも手伝いは欲しい。


「う~んまぁそれでいいよ。で、僕は、何をすればいい?」


アイロンにそう尋ねると、彼(女性の可能性あり)は「ついてこい」と言ってどこかへ歩いて行った。

一、二分アイロンに付いて遺跡の中を歩くと体育館のような建物に着いた。


「ほれほれ。」


アイロンが中を指さした。

中を覗くとそこには小さな家が集まった、小さな村が広がっていた。


「すご、」


思わず僕は、声を上げた。


「そうじゃろ?」


アイロンが言った。


「うん、で、僕は何をすればいいの?」


その町を見渡しながら、アイロンへと尋ねた。


「お主、水の魔法は使えるか?」


アイロンが、その長い腕で僕の肩を叩いた。


「うん。水は僕の属性魔法だよ。」


アイロンへと言葉を返す。

属性魔法とは、その者の一番使いやすい魔法系統のことだ。

風、水、炎、雷、などと、合わせて12個ある。

親のどちらもの属性が風だった場合は、子供は100%の確率で属性が風になる。

親の属性が、片っ方が風で片っ方が水の場合は、子供は50%の確率で風、50%の確率で水になる。

ごくまれに、どちらもの属性を受け継いだハイブリットが生まれることもあるが、確認されている例は、十にも満たない。


「そうか、水なら話が早い。…実はのぅ、村の水源発生装置が壊れてしまったのじゃ。」


アイロンが噴水のような所から、自転車のベルのようなものを持って来た。

それが水源発生装置か、思ったより小さいな。


「見せて。」


僕がそう言うと、アイロンが「ホレ。」と言って、水源発生装置を僕に手渡した。

それを僕は両手で包み込み、探知魔法を発動した。


「う~ん。」


内部構造が、何となく頭の中に流れ込んでくる。


「あ、」


小さなタンクの様な所に、魔力がほんの少ししか入っていないことを、頭の中で理解した。


「コレ、壊れたんじゃなくて、ただの魔力切れですよ。」


僕はそっと魔力を込めた。

すると、その水源発生装置が、空中でクルクルと回り、てっぺんから水を出した。


「おお、お主、なかなかやるな。じゃ、コレを元の場所に戻すとしよう。」


アイロンがその装置を手に取り、噴水に再び設置しに行った。


「ありがとうじゃ。」


アイロンが手を振る。


「は~い、さようなら…」


あ、


「あ、あの…鍵探し…」


アイロンへと恐る恐る尋ねた。


「あ、そうじゃったな。」


アイロンが覚えているようでホッとした。

ここで「知らん!」とか言われたら手弁当で働いた事になる。


「お~い、皆の衆!長老の命令じゃ~ 広場に集まれ~。」


アイロンが叫んだ。

すると、家々から、アイロンに似た生命体がいっぱい出てきた。


「皆の衆!この者が水源発生装置を直してくださった!だから、この者の探している鍵を皆、探してくれ~!」


アイロンがまたもや叫ぶと、一人(一匹?)の喋る菌類(マッシュルーム)が手を挙げた。


「あの~、ぼく、前に、小さな鍵を外で見つけたんです。」


彼が家に戻り、30秒ほどすると、小さな鍵を持って帰ってきた。


「これですか?」


その鍵を僕に見せた。

大きさとしては…、合っている!


「うん!多分これだよ!!」


「なら、持って行ってください。」


その鍵を僕にくれた。


「え!いいの?」


僕が驚くと、彼は、「変なもの集めるの趣味なんで、似たようなやつは数え切れないほどあるんです。」と言ってくれた。


「…ありがとう!」


僕は急いで、喋る菌類(マッシュルーム)の村を後にした。



「[魔法通話]発動。対象者、イズ。」


イズへと電話(テレパシー)を掛けた。


『もしもし、なぁに?』

「鍵、見つかったから、戻ってきて~。」

『えぇ?早っ!』


イズが驚いた。

正直、こんなにも早く鍵を見つけることができるなんて、僕も思わなかった。




数分後




「テオ―!やるじゃなーい。」


イズがのんきに空を飛んできた。


もうちょっとちゃんと褒めてほしい…。


僕は、噴水の鍵穴へと鍵を刺した。


「よいしょ…」


その鍵はうまく回らない。

まさか、この鍵じゃない⁈

焦っていると、ガチャっという音がした。


「やった~成功よ。」


イズが舞い上がった。


ズズズズ


その噴水が真っ二つに割れ、下へと繋がる階段が現れた。と、同時に鍵は溶けるように消えた。

なるほど、こういうからくりか、どうりで鍵が最初から刺さっていないわけだ。


「早く行こう!早く行こう!」


先へと行きたいという気持ちが抑えきれず、イズがうずうずしている。


「よし、行こう!」




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