059【名前のない猫】
〖神暦 3240年 4月 10日〗
日記の筆者『テオ』
場所「完全智識保有戦艦 エル・ヴェルカント・ヴェルトラオム」
「あの…ごめんフィルって、だれ?」
僕は、その猫を眺めながら言う。
「はぁ? ぼ、僕だよ? 精霊、フィル。 そこのイズと仲の悪い。」
その猫…フィルが手足をジタバタさせる。
けれど、僕は、フィルなんて名前の精霊は知らない。
周りの皆も、キョトンとしている。
「…まって、ホントに僕のことわからない?」
わからない。
「わかんない…」
僕は、呟く。
「まじか。 …まぁ、僕は、フィル、ヨロシク…」
フィルが下を向く。
「…つまり、僕が君を忘れているってことだよね。」
僕は、考察を伝える。
「たぶんそうだよ。」
フィルが呟く。
「あー!」
イズが叫んだ。
「うわっ、ちょなに?」
アリスが耳をふさぐ。
「私分かった! ここに来た時に、魔力残像を見たのよ。 多分、他者の記憶に干渉する大魔法だと思う! じわじわと効くやつ。」
「なるほど、」
リリーが呟く。
「まぁ、とりあえず、この言葉の解読をしなきゃ。」
僕は、端末の文字を指さす。
「ん? 日本語じゃね?」
フィルが呟く。
「なんだそれ?」
僕は、その聞いたこともない言語に、耳を傾ける。
「日本語、なんかめっちゃ昔の、救世主?が使ってた文字だ。」
フィルが言った。
「う~ん、で、なんて書いてあんの?」
イズが尋ねる。
「それはわからん。」
「そっか、じゃぁ図書館で調べるか。 行こう!」
僕は、皆を引き連れて大図書館「言語」に向かった。
数分後
「「ついた!」」
僕たちは、声を合わせた。
「じゃぁ、こんなかか探すわよ。」
リリーが一冊の本を手に取る。
「ヘブライ語、その12巻…ヘブライ語ってなに?」
リリーが首をかしげる。
「シェルエルトワル語…西方の言葉ね。」
イズが呟く。
「日本語かぁ…」
僕は、無意識に手に取った本を見る。
「日本語、その12436巻…あ、あった!!!」
僕は、思わず叫んだ。
そして、右に進み一巻を見つけ出した。
「あった、あった、あった、みんな!あったよ!」
「すごいじゃない。」
イズたちが近づく。
僕は、一ページ目を開く
日本語は、平仮名46字と、カタカナ46字、そして、常用漢字2136字の、計約3000文字から成る。
「さ、三千文字ぃ??!!」
イズと、僕が無意識に声を合わせて叫んだ。
「え、ちょっと待って、帝国の文字って、35文字、それと、神聖文字5字で、計50字よね。 さ、三千?」
「…あのさ、よくわかんないけど、漢字って全部で8万字あるらしいよ。」
僕は、目に飛び込んできた衝撃の言葉をイズに伝える。
「…はちまん…」
イズがひょろひょろと地面に落ちた。
「よいしょ」
アリスがそれをすくい上げ、こちらを向く。
「じゃ、解読頑張りましょうか。」




