058【コードネーム14 ―イヨ―】
「…え? い、イヨ?」
イヨは、地面に倒れたまま、動こうとしない。
恐らくイヨがこの攻撃プログラム[須臾]を止めていてくれている。
「えっと、なんかイヨが時間稼いでくれてるみたいだから、私達は解読しよ!」
イズが操舵室のドアを開ける。
「…けど、こんな分からない言語なんて…」
僕が小さくつぶやく、すると、リリーが「大丈夫よ。ここは世界一の大図書館なのよ?」と言い、僕の手を引っ張る。
「…イヨ、聞こえる?」
僕は、天井をむいて喋る。
『……』
声が帰ってこない。
予想通りだ。
「当ったり前じゃない。 イヨは、そこでのびてんだから。」
イズが言う。
「プログラム、コードネーム14、応答して。」
僕は、もう一度言葉を放った。
『はい。』
電子音声が返ってきた。
「えぇ、なんで?」
イズが目を丸くする。
「フッ、……多分、この戦艦を制御してるイヨと、ここに倒れているイヨは、別人なんだよ。」
「どういう事?」
アリスが首を突っ込んだ。
「あーっと、説明の前に…」
僕は、イヨを仰向けにし、「ちょ、リリー、手伝って。」と、リリーと二人がかりで持ち上げ…
「かるっ」
思わず声に出してしまった。
本当に軽い。
「あ、リリー、やっぱ大丈夫。」
僕は、一人でイヨを抱き上げ、そこの椅子に座らせる。
「プログラム、コードネーム14、応答して。」
『はい。』
「大図書館「言葉」って存在する?」
『該当する図書館は存在しません。』
「じゃ、「言語」は?」
『大図書館「言語」は、ここから100m先の大図書館「法則」の横です。』
また帰るのか。
「まってまって、マスター、全く意味が分からないわ。」
リリー、が僕の腕を引っ張る。
「いやぁ、あのね、僕、考えたんだけど、イヨはここにいて、走ってたのに、カウントダウンは続いてたでしょ? だから、プログラムのイヨと、人格のイヨがいると、思ったんだ。 だから、イヨは倒れてるけど、コードネーム14は生きてるってこと。」
「…なるほど。」
リリーが頷き、納得し、満足したように頷いた。
「けどさ、そんなわけわからん字を解読する時間があれば、魔法でこの船、どっかに転送した方がいいんじゃない?」
イズが僕の日記手帳の文字を指さす。
「う~ん…」
僕が端末を手に取ると、ピコンと音が鳴り、僕の右前に浮いた。
「けどさ、やっぱりどこに転送しても人間を攻撃するのには変わりないんじゃない?」
僕は、言う。
「でも…」
「まぁ、テオのいうことは来たほうがいいと思うぜ?」
急に、声がした。
ビックリして、振り返ると、白猫が中に浮いていた。
「…猫? なんで浮いてんの?」
イズが、不思議そうに呟く。
「そうそう、ただいま~僕さ… え? 精霊のフィルだよ?!」
その猫…フィルが当たり前のように言う。
僕は、少し考えて口を開いた。
「あの…ごめんフィルって、だれ?」




