053【ヴェルトラオムの存在意義】
〖神暦 3240年 4月 10日〗
日記の筆者『イズ』
場所「魔導天界国 ヴェルトラオム」
《昨日、ルミエルを倒した。 アレは私の複製体だ。 けど、白龍は誰の複製体なのだろうか。 そもそも複製体なのだろうか?》
「イズ~」
私は、テオの声で起きた。
「あ~はいはい。 起きるわ。」
私は、起き上がり[自動お着換え]&[自動歯磨き]を発動させる。
「どうすごいでしょ?」
(略)
「あ~すごいすごい。」
テオがぶっきらぼうに答える。
「…まぁ、ルミエルは倒せたし、一件落着っしょ。」
私は立ち上がり、背伸びをした。
「と、いうかさ。 魔導天界国 ヴェルトラオムって何なんだろうね。」
「さぁ、 なんか、超古代文明とかなんじゃない。」
「よし、謎を解き明かすわよ!」
私は拳をつきあげた。
「う~ん。 まぁ『風に関する魔術の書』は回収できたし、っていうかギルマスに渡さなきゃ。」
テオがテントのファスナーを開け、外に出る。
「え。」
テオが目を丸くして、固まった。
「ちょ、どうしたの⁈」
私は万が一の事を考えて、テオに駆け寄る。
「…アレ。」
テオが空を指さした。
「なによ、ただの明るい空じゃない。」
私は言葉を返す。
「…明るい?」
私はもう一度空を見た。
うん。
太陽が昇っている。
「え、ちょっとまって、今何時?」
テオがこちらを向く。
「7時半よ。」
「ふつうに、太陽、昇ってるよね。」
「…う~ん、けど、ここ現実世界とリンクしてないから、時間的には夜になるはず…」
私は呟く。
「…うん。 気になって、僕、昨日朝と昼の時間の計算をしたんだ。 太陽の動きからして、今頃太陽は真下にあるはずなんだけどなぁ…」
「う~ん。 まぁ、とりあえず、皆おこそうか。」
テオがテントのファスナーをしめ、くるっと後ろを振り向き「皆起きて~」と叫ぶ。
「…ふわぁ…」
アリスが目をこすりながら起き上がる。
「おはよ~」
私はアリスの近くに行く。
「…あさか。」
マリリア…リリーも起き上がる。
「[自動お着換え]&[自動歯磨き]…」
リリーが魔法を発動させた。
実は、昨日2人にこの魔法を教えてあげたのだ。
「すごいわね、コレ。」
アリスも同様だ。
「…おはよう。」
…あの精霊野郎、つまりフィルの声が聞こえた。
「まぁ、こんなところだし、今のところは休戦でいいよね?」
私はフィルに言う。
「…まぁ、」
フィルが軽く頷いた。
「まぁ、朝ごはんを食べながら、ここ魔導天界国ヴェルトラオムから脱出する方法を考えよう。」
脱出方法か。
「[作り置き召喚]」
私はサンドイッチを5人分召喚した。
「いただきます。」
皆が声をあわせ、食べ始めた。
「あ、そうそう、私がここに飛ばされたとき、魔力残像があったよ。 だから、多分、最近おっきな魔法が使われたんだと思う。」
私は、持っている情報を皆に共有した。
「大魔法か。 なら妾も情報をもっているわ。」
「なぁに?」
テオが尋ねた。
「魔導天界国 ヴェルトラオム、何処かで聞いたことがあると思ったら。」
リリーが続ける。
「ここは、 世界中のありとあらゆる知識が文字として保管されている場所よ。 それがこの都市の唯一の存在意義であり、この都市の使命。 その名も――」




