051【 [天より落ちる神の怒り] 】
〖神暦 3240年 4月 9日〗
日記の筆者『テオ』
場所「魔導天界国 ヴェルトラオム」
…アリスにルミエルの弱点を伝えたいのだが、アリス本体は眠っているのでどうすれば…
「アリス~聞こえる?」
僕は、上空のガラスの破片の集合体に話しかけた。
《おにいちゃん、聞こえるよ~》
なにか、頭の中に直接声が響いた。
「アリス? どこにいるの?」
僕は、辺りを見回す。
《どこにもいないわ。》
「はい?」
《まぁ、原理はまた今度教えるわ。》
「…わかった。 あ、ていうかルミエルの弱点解ったよ。」
《おぉ、なぁに?》
「あのさ、ルミエルは魔力探知を使ってない。つまり、視覚に大半を依存しているってこと。」
《…なるほどね。 じゃリリーとイズに引くように伝えて。》
アリスが、つぶやいた瞬間ガラスの破片の動きが変わった。
「リリーとイズ! 一旦引いて!」
僕は、アリスに言われたとおりにした。
「了解了解!」
リリーが刀を魔法か何かで消した。
ジャッ ギィィ
ガラスの動きが変わった。
ガラスが竜巻の様に円を描きルミエルを覆う。
シャァァァァァ
ガラス同士がこすれる音がした。
そのガラスが一種の鑢の様になり、ルミエルに迫る。
「こっわ。」
僕は、自然に声を漏らした。
《おにいちゃん、ワタシの魔法が解けたら、なんか必殺技でも叩き込んで! あ、イズたちにも言っといて。》
「みんな! かくかくしかじかで、なんか必殺技でも叩き込んで!らしいです。」
ジャィィィ… バン
ガラスが霧のように爆散した。
解けた。
「リリー、テオ! ルミエルの動きを止めて!」
イズが叫んだ。
「オッケー!」
僕とリリーの声が被った。
「せーのっ[水の檻]!!!」
僕とリリーが声を合わせ、いつもより強い束縛魔法を展開した。
…ギギギ
水の檻がルミエルを捕まえる。
パチン
イズが指を鳴らした。
…すると、イズが白い光に包まれた。
シュゥ
音と共に光が引くと、そこにはイズではない者…すぐ目の前にいるルミエルと全く同じ者がいた。
「久しぶりにこの体になったからね。 少し動きにくいが…」
その者…イズ?が背伸びをした。
「…だれ?」
「なによ、だれって。」
その翼が白いルミエルが、透き通った少し低い声で答える。
「イズよ、イズ。 まぁさておき、やっちゃいましょうか。」
イズがその白く、長く繊細な指を弾き光の粒子を辺りに飛ばす。
「今、この時を持って申請する。 輝く光よ、燃える炎よ、穿つ紫電よ、万物よ、臨天使ルミエルの名の下に、その垣根を取り払い集まれ。」
イズが右腕を振り上げる。
「消えなさい!!![天より落ちる神の怒り]!!!」
ビッ
イズが叫び声と共に、右腕を振り下ろした。
一瞬、一本の黒い直線が、束縛しているルミエルの上空を走った。
ジジジ ドシャァン!!!
一本の大きな雷がルミエルの心臓を背後から貫いた。




