049【目には目を歯には歯を、なら[臨]には[臨]で撃つとしよう。】
〖神暦 3240年 4月 9日〗
日記の筆者『テオ』
場所「魔導天界国 ヴェルトラオム 上空」
「妾の名はマリリア、[臨]の称号を授かりし精霊。 その原初の100に類する者。」
リリーが剣を空中で振り下ろし、鋒をルミエルに向けた。
「水の大臨精霊、マリリア=アラバスター!」
リリーは水の地面を変形させ、自分の足場として使う。
「っとう!」
リリーは水を蹴り、空中に水の柱を作り出し、蹴りを繰り返し、ルミエルの背後にトッと降り立った。
リリーはその剣…いや日本刀というものか。
その刀を上から振り下ろす。
ギャャキキキィィィィィ
硬い物がこすれる音がした。
「くっ」
リリーの斬撃を、ルミエルは振り向かず己の翼で受ける。
ガッ
リリーの刀が、空中に放り出された。
「チッ」
リリーが軽く舌打ちをし、ぴょんと飛び上がり、空中で刀を掴む。
そしてそのまま、クルっと一回し、地上へ降り立つ。
「ちょ、皆! 妾の援護を頼むわよ!」
リリーが叫んだ。
「わかったわ!」
イズが言う。
「オッケー!」
アリスが言った。
なら…
「了解!」
僕は叫ぶ。
「[硝子之支配者]」
アリスが叫ぶ。
すると、シャーという音が、真下から迫ってきた。
ヒュン!
水の床を突き抜け、飛び出したガラス片がルミエルの翼を貫いた。
「アリス、凄い!」
僕はアリスの方を向いた。
「でしょ。 でさ、ワタシ魔力のリソースを魔法に全振りするから、多分ワタシ意識失うわ。」
「え?」
「つまり、ワタシを守って?」
「うそでしょ⁈」
「ほんとよ。」
アリスがそう呟いた瞬間、フラッと倒れた。
「ちょちょちょ、」
僕は咄嗟にアリスを抱え、リリーの真似をして水のドームを作った。
その中にアリスを座らせて、『赤き星達の追憶記』に書かれている防御魔法を刻んだ。
「これでよしっと。」
キン キン キン
リリーの高速の斬撃を、ルミエルは翼で受け流す。
アリスの貫いた部分は、もう再生している。
ジャラ キィィィィ ピキッ
ダダダダダダダダダダダダダダダダ
ガラスの破片がルミエルのみに目掛け、飛ぶ。
気が付けば、上空は大量のガラス片埋まっていた。
「…本人は意識がないのに、魔法は扱えるって、どういうカラクリだろう…」
僕が呟くと、イズが「んなことどうでもいいから戦って!」と言った。
「了解![水操作]!!!」
僕は水で矢のような形を作り出した。
ピキッ
その水の矢が、凍った。
え?
「おっまぇ、なんてヤツと戦ってんだよ。」
気が付けば、白い猫が僕の肩の上に座っていた。
「…フィルか。」
「そーだよ。 なんか負けそうだったから特別に来てやったんだよ。」
「はいはい。」
「ま、倒すぞ!」
フィルが殴る真似をした。
すると、その矢が、ルミエルめがけて放たれた。
ルミエルは、目の前の臨精霊と、上から降ってくるガラスの破片、おまけにイズの電撃でテオの氷の矢に構う余裕などない。
ドスッ
ルミエルに矢が、刺さった。




