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テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
5/15

004【予算】

〖神暦・3240年 4月6日〗

 日記の筆者『テオ』

 場所「晴れの森」

 《やっぱり イズが〈光雷のイザベラ〉だった。

  今日の昼頃には、遺跡に着くな…

  しかし、肝心(かんじん)の遺跡の名前が思い出せない…》



「おっはよ~」


イズが起きてきた。


「[生活楽ちん魔法: 自動お着替え]!」

(中略)

「うん。それ毎日言っているよ。」


適当に返事をしながら、『昨日釣った魚と、山でとったキノコを焼いたものを、レタスで包んだ食べ物』を、イズに渡した。


「なにこの見た目…ここがレストランだったら、マイナス三ツ星つけられるぞ?」


イズが生意気なことを言ってきた。


「だまりなさい。 けど食べてみて。味は美味しいから。骨はとってあるし、塩も振ってある。」


僕はそう言いながら、その食べ物を(半強制的に)イズに食べさせた。


「…モグモグ 味は案外おいしいじゃない。やっぱり、一ツ星あげるわ。」


なんか上から目線で言ってきているけれど、まぁ気にしないでおく。


「美味しかった~ テオは食べないでいいの?」


一瞬で食べ終わったイズが、僕に尋ねた。


「ん? あ、いや食べるよ。 今、魔法で焼いているの。」


僕はテントの外で焼かれている魚を指さした。


「あ、そう。」


イズが言ったと同時に魚を焼いている炎がふっと消えた。


「焼けたみたいだ。」


僕はその魚を、魔法でテントの中へと引き寄せ、塩を振ってレタスで包んだ。

骨は予めとってある。

僕が、その食べ物…『焼き魚のレタス巻き』を食べていると、イズがポンと手を叩いた。


「そうだ。今日、遺跡に着くんでしょ? [作り置き召喚]の在庫、補充しておこう!」


…確かに。


遺跡の中ではまともな食材がないだろうから、今貯めておけばいいのだ。


「やっぱりイズは天才だね。僕は気が付かなかったよ。」


そう言うと、イズが「えへへー」と、笑顔を作った。


…そこからは地獄の始まりだった。

魚を釣って。

焼いて。

魔法空間へ転送する。

これを数百回…、そう。数百回繰り返した。

この作業が終わるころには、二人の体力は、限りなくゼロに近づいていた。




一時間後




仮眠をとった二人の体力は回復し、遺跡へと向かって歩いている。


「そうそう。あの魔装魔導衛兵(ガーディアン)の出所が分かったのよ。」


僕が仮眠をとっていた間、イズは魔法で調べていたらしい。

イズが空中に半透明のモニターを出現させた。

そこに、石造りの(へい)(とりで)が映し出された。


「あっ、これ。今、向かっている遺跡だね。古代エルフ文明の砦でしょ?」


二、三週間前、通りすがりのエルフのお姉さんに教えてもらったことなのだが、昔、エルフ族が戦争をしていた時に、建てられてものらしい。


「そうそう。でね、この魔装魔導衛兵(ガーディアン)に、どんな命令がされているのか、調べたのよ。」


そのモニターに、鉄でできたムカデのような魔物…魔装魔導衛兵(ガーディアン)が映し出された。


「これにはね、『視界に入った、エルフ以外の生物を全て無効化(さつがい)しろ。』って言う命令がされていたの。」


怖いな。

けど、『エルフ以外』という事はエルフが作った兵器なのかな。


「けれどね、普通の魔装魔導衛兵(ガーディアン)は、術者や主が死ねば、一緒に動かなくなるはずなのだけれど…解析の結果、アレの主はもう死んでいるのよ。けど動いているのよさ。」


ふ~ん。なんでだろう。

まぁ、気になるが、別に僕たちには関係のないことだ。




約三時間後。




関係ありました。

今、(まさ)に目の前に、鉄でできたムカデがいます。

しかも、こちらに剣を向けています。

どうしよう…


「あ、テオがいるから、多分安全に倒せるよ。」


イズが僕の肩をつついた。


「どうやって?」

「テオがまず、魔法で魔装魔導衛兵(ガーディアン)を水の中に閉じ込める。 でから、私が雷で倒すから、テオが水で爆発を軽減するの。」


イズが、とんでもないことを言ってきた。

水で爆発を軽減? いや、無理だろう。


「できるの?」


イズに尋ねた。


「計算上なら。」


はぁ、まぁ、〈光雷のイザベラ〉の言うことだし、信じよう。


「じゃ、じゃあやるよ! [水流魔法: 水の檻(ウォーターカージュ)]‼」


その魔装魔導衛兵(ガーディアン)が直径10mほどの、大きな水玉に飲み込まれた。

[水の檻(ウォーターカージュ)]…本当は相手を窒息死(ちっそくし)させるための魔法だが、こんな使い方をするとは。

そして、イズが手のひらを前に突き出し、こう叫んだ。


[雷撃(トラロック)]」


イズの周りから、無数の雷が出現した。

ああ、やっぱり。あの文献と同じだ。

そして、その雷が一斉に魔装魔導衛兵(ガーディアン)に突き刺さって行った。


「爆発するよ!」


イズが僕に向けて叫んだ。


「了解!」


イズに返事をしながら、暴走している魔装魔導衛兵(ガーディアン)の魔力を、水で包み込んだ。


ボン


という鈍い音を出しながら、魔装魔導衛兵(ガーディアン)が水の中で砕け散った。


「なんか意外とあっさり倒せたね。」


イズが魔装魔導衛兵(ガーディアン)の破片をかき集めながら言った。


「うん。」


なんか、うん。はやくね。


「その破片、どうするの?」


一心不乱(いっしんふらん)に、欠片をかき集めるイズに尋ねた。

するとイズが、破片を僕に見せながら、こう言った。


「この破片、鉄で出来ていて、魔力が練りこまれているから、売れば結構な額になるよ。全部合わせたら、う~ん…アプゾルート銀貨50枚くらい。」


おお、金だ。


「ちなみに、いま全財産いくら?」


イズが、その鉄の破片を拾いながら言った。


「え、とアプゾルート金貨5枚と、銀貨50枚。 あと、銅貨3枚。」


金貨は、銀貨100枚の価値がある。


「あ、結構あんじゃん。」


イズがすべての破片を集めて、魔法空間へと転送した。


「うん、先月の魔獣討伐で結構稼いだからね。」

「ああ、あの時は大変だったわね。 ギルマスにこき使われて。」


先月、ギルマスから、「魔獣の討伐依頼が届いているから手伝え!」と、言われて、竜の討伐をしたのだ。

その時に、あのクソ野郎(ギルマス)が、「竜を低空飛行させるために、囮になれ。」と、僕たちをロープでしばって空へ放り投げたのだ!

子供とは言えど、人間を片手で空高く投げ飛ばすことができるのは、(性格的にも、体力的にも)ギルマスしかいない。

まぁ、そのおかげで竜は倒せたし、お金は手に入ったので結果オーライなのだが。(なのだろうか)


「あ、」


イズが何かに反応した。


「あれが遺跡じゃない?。」


イズが指さす方向を見てみると、木々の隙間に石造りの建造物が見えた。


「うん。行こう!」





銀貨一枚、百円くらいです。


今日で毎日投稿おしまいです。

次は月曜日に会いましょう!!

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