004【予算】
〖神暦・3240年 4月6日〗
日記の筆者『テオ』
場所「晴れの森」
《やっぱり イズが〈光雷のイザベラ〉だった。
今日の昼頃には、遺跡に着くな…
しかし、肝心の遺跡の名前が思い出せない…》
「おっはよ~」
イズが起きてきた。
「[生活楽ちん魔法: 自動お着替え]!」
(中略)
「うん。それ毎日言っているよ。」
適当に返事をしながら、『昨日釣った魚と、山でとったキノコを焼いたものを、レタスで包んだ食べ物』を、イズに渡した。
「なにこの見た目…ここがレストランだったら、マイナス三ツ星つけられるぞ?」
イズが生意気なことを言ってきた。
「だまりなさい。 けど食べてみて。味は美味しいから。骨はとってあるし、塩も振ってある。」
僕はそう言いながら、その食べ物を(半強制的に)イズに食べさせた。
「…モグモグ 味は案外おいしいじゃない。やっぱり、一ツ星あげるわ。」
なんか上から目線で言ってきているけれど、まぁ気にしないでおく。
「美味しかった~ テオは食べないでいいの?」
一瞬で食べ終わったイズが、僕に尋ねた。
「ん? あ、いや食べるよ。 今、魔法で焼いているの。」
僕はテントの外で焼かれている魚を指さした。
「あ、そう。」
イズが言ったと同時に魚を焼いている炎がふっと消えた。
「焼けたみたいだ。」
僕はその魚を、魔法でテントの中へと引き寄せ、塩を振ってレタスで包んだ。
骨は予めとってある。
僕が、その食べ物…『焼き魚のレタス巻き』を食べていると、イズがポンと手を叩いた。
「そうだ。今日、遺跡に着くんでしょ? [作り置き召喚]の在庫、補充しておこう!」
…確かに。
遺跡の中ではまともな食材がないだろうから、今貯めておけばいいのだ。
「やっぱりイズは天才だね。僕は気が付かなかったよ。」
そう言うと、イズが「えへへー」と、笑顔を作った。
…そこからは地獄の始まりだった。
魚を釣って。
焼いて。
魔法空間へ転送する。
これを数百回…、そう。数百回繰り返した。
この作業が終わるころには、二人の体力は、限りなくゼロに近づいていた。
一時間後
仮眠をとった二人の体力は回復し、遺跡へと向かって歩いている。
「そうそう。あの魔装魔導衛兵の出所が分かったのよ。」
僕が仮眠をとっていた間、イズは魔法で調べていたらしい。
イズが空中に半透明のモニターを出現させた。
そこに、石造りの塀…砦が映し出された。
「あっ、これ。今、向かっている遺跡だね。古代エルフ文明の砦でしょ?」
二、三週間前、通りすがりのエルフのお姉さんに教えてもらったことなのだが、昔、エルフ族が戦争をしていた時に、建てられてものらしい。
「そうそう。でね、この魔装魔導衛兵に、どんな命令がされているのか、調べたのよ。」
そのモニターに、鉄でできたムカデのような魔物…魔装魔導衛兵が映し出された。
「これにはね、『視界に入った、エルフ以外の生物を全て無効化しろ。』って言う命令がされていたの。」
怖いな。
けど、『エルフ以外』という事はエルフが作った兵器なのかな。
「けれどね、普通の魔装魔導衛兵は、術者や主が死ねば、一緒に動かなくなるはずなのだけれど…解析の結果、アレの主はもう死んでいるのよ。けど動いているのよさ。」
ふ~ん。なんでだろう。
まぁ、気になるが、別に僕たちには関係のないことだ。
約三時間後。
関係ありました。
今、正に目の前に、鉄でできたムカデがいます。
しかも、こちらに剣を向けています。
どうしよう…
「あ、テオがいるから、多分安全に倒せるよ。」
イズが僕の肩をつついた。
「どうやって?」
「テオがまず、魔法で魔装魔導衛兵を水の中に閉じ込める。 でから、私が雷で倒すから、テオが水で爆発を軽減するの。」
イズが、とんでもないことを言ってきた。
水で爆発を軽減? いや、無理だろう。
「できるの?」
イズに尋ねた。
「計算上なら。」
はぁ、まぁ、〈光雷のイザベラ〉の言うことだし、信じよう。
「じゃ、じゃあやるよ! [水流魔法: 水の檻]‼」
その魔装魔導衛兵が直径10mほどの、大きな水玉に飲み込まれた。
[水の檻]…本当は相手を窒息死させるための魔法だが、こんな使い方をするとは。
そして、イズが手のひらを前に突き出し、こう叫んだ。
「[雷撃]」
イズの周りから、無数の雷が出現した。
ああ、やっぱり。あの文献と同じだ。
そして、その雷が一斉に魔装魔導衛兵に突き刺さって行った。
「爆発するよ!」
イズが僕に向けて叫んだ。
「了解!」
イズに返事をしながら、暴走している魔装魔導衛兵の魔力を、水で包み込んだ。
ボン
という鈍い音を出しながら、魔装魔導衛兵が水の中で砕け散った。
「なんか意外とあっさり倒せたね。」
イズが魔装魔導衛兵の破片をかき集めながら言った。
「うん。」
なんか、うん。はやくね。
「その破片、どうするの?」
一心不乱に、欠片をかき集めるイズに尋ねた。
するとイズが、破片を僕に見せながら、こう言った。
「この破片、鉄で出来ていて、魔力が練りこまれているから、売れば結構な額になるよ。全部合わせたら、う~ん…アプゾルート銀貨50枚くらい。」
おお、金だ。
「ちなみに、いま全財産いくら?」
イズが、その鉄の破片を拾いながら言った。
「え、とアプゾルート金貨5枚と、銀貨50枚。 あと、銅貨3枚。」
金貨は、銀貨100枚の価値がある。
「あ、結構あんじゃん。」
イズがすべての破片を集めて、魔法空間へと転送した。
「うん、先月の魔獣討伐で結構稼いだからね。」
「ああ、あの時は大変だったわね。 ギルマスにこき使われて。」
先月、ギルマスから、「魔獣の討伐依頼が届いているから手伝え!」と、言われて、竜の討伐をしたのだ。
その時に、あのクソ野郎が、「竜を低空飛行させるために、囮になれ。」と、僕たちをロープでしばって空へ放り投げたのだ!
子供とは言えど、人間を片手で空高く投げ飛ばすことができるのは、(性格的にも、体力的にも)ギルマスしかいない。
まぁ、そのおかげで竜は倒せたし、お金は手に入ったので結果オーライなのだが。(なのだろうか)
「あ、」
イズが何かに反応した。
「あれが遺跡じゃない?。」
イズが指さす方向を見てみると、木々の隙間に石造りの建造物が見えた。
「うん。行こう!」
銀貨一枚、百円くらいです。
今日で毎日投稿おしまいです。
次は月曜日に会いましょう!!




