041【封印の門】
〖神暦 3240年 4月 9日〗
日記の筆者「アリス」
場所「バター高原」
「…といっても、まぁ大魔法使いなんて到底会えるものじゃないし…」
ワタシがつぶやくと、イズが、こちらを向いた。
「何の話かよくわかんないけど、その大魔法使い、ここにいるわよ!」
イズが叫ぶ。
「あ、忘れてたわ。」
「忘れんじゃないわよ!」
「…あのさぁ、イズ、イズってそんなに強かったっけ、魔装魔導衛兵と戦った時、逃げてじゃん。」
お兄ちゃんがイズとフィルの戦いを眺める。
「…だって怖かったんだもん! 今は死ぬ可能性が0だから本気出せてるってわけ!」
…あんまりよくわからない。
…『死ぬ可能性があるから本気をだす』のほうが正しいのでは?
「ヴァルジュ スペラ ファステ カイラ マス トロ ヴァレ タイト ウェルヴェ カリス ミュウ ファルトス アーカラス ヴェルダ フォルト アル」
イズが早口で呪文を唱えた。
「星よ、その輝きを我が下に!!![星天魔法: 牡牛之眼]!!!」
イズが叫ぶ。
すると、赤い炎のような粒子があたり一面を覆い、その粒子が集まり、一つの大きな火球と成った。
その火球が、あの猫目掛けて飛んで行く。
「…星天魔法か、なら [黒氷]!」
フィルが叫ぶ。
すると、なんとお兄ちゃんの大声がした。
「ああ! もう! フィル! けがは?! そんでイズ! あんた、もういい加減にしなさい!」
…ワタシは生まれて初めてお兄ちゃんが、怒るのを見た。
…案外怖くない。
「…」
イズがこちらへ飛んできた。
「…ごめんなしゃい…」
それに続き、フィルも「ごめんなしゃい」と言った。
「…はぁ、わかればよし。 っていうか、イズってそんなに強かったの?」
お兄ちゃんが、イズをまじまじと見つめる。
「…まぁね。」
イズが少し自慢げに言う。
「よし、じゃ、龍の村に行くか。」
数十分後
「…白龍さま?」
一匹の、60cmほどの小さな龍が、お兄ちゃんを見て言った。
「違うよ。」
お兄ちゃんは、少し首をかしげながら言う。
「そうですか… 白龍さまと同じ雰囲気がしたのですが…」
すると、リリーが、「案外マスターが龍本人かもよ?」と、わけのわからないことを言った。
「…ま、それはさておき、本物の白龍から、『白龍ふっかーつ。』って伝えろって言われているの。」
イズが、その龍に言う。
「…なるほど(?) わかりました。」
その龍が、クルクルと空中を回った。
「ま、とりあえず。 私からお願いしたいことがあるのですが…」
その龍が小さな手で手招きをする。
「どうしたの?」
ワタシは尋ねる。
「実は、龍球が、行方不明で、あなたたちが、魔法使いと見えたので、何か案が欲しいのですが…」
「…それって、ビー玉みたいなもの?」
イズが言う。
「…ええ。」
「…なら、持ってるかも。」
イズが魔法で、何かを取り出した。
「…え?」
その龍が、目を丸くする。
「んで持ってんの????」
その龍が、敬語を辞めた。
「…なんか、商人からもらったんだよね。」
イズがその球体を龍渡す。
「マジ?」
「本気よ。」
「うぃぃぃぃ、やったーー。」
その龍が、はしゃいだ。
「ところで、その球体、なぁに?」
ワタシは、その龍に尋ねる。
「これは、鍵みたいなものですよ。」
気が付けば、龍の村を通り過ぎ、奥まった洞窟のようなところに来ていた。
「魔導天界国、ヴェルトラオム。」
その龍がつぶやく。
数分後
ワタシたちは、その龍の行く方向へついていき、大きな門の前に居る。
「ここにはめると…」
その龍が、龍球を台座にはめ込む。
ドゴォォォォ
大きな音がした。
「ああ、うっそ!」
その龍が、叫んだ瞬間、私の体が、門へと引き寄せられた。
「ごめんなさ…」
その龍の声がかすかに聞こえた。




