040【イズが本気を出したらめちゃくちゃ強かった】
〖神暦 3240年 4月 9日〗
日記の筆者「アリス」
場所「バター高原」
「…あれかな?」
イズが、遠くに見える村のような物を指さした。
「あれが、どうしたの?」
ワタシは尋ねる。
「小龍の村だよ。」
イズがいう。
「…妾は、疲れたのよ。」
リリーがこの広大な平原を眺めながら言った。
「…ま、色々あったからね~ 村長に泥棒に間違えられたり、『風に関する魔術の書』が、燃えかけたり… 挙句の果てには、アリスの飛行機壊れちゃったしね…」
お兄ちゃん(テオ)が呟く。
そうだよ!
ワタシの飛行機!
壊れたんだよ!
どうしてよ!
イズに、「ワタシの飛行機出して。」って言って「オッケー」で、取り出して、
バコーン
だよ!
なんかイズの魔力にさらされ続けて壊れたらしいけど、あの飛行機、魔力乱流、(空中のある特定の空間に空気中の魔力が集まり起こる現象)にも耐えられる設計なのに~
「…飛行機…ごめんね。」
イズが振り返った。
「…まぁいいけど…」
別にイズのせいではないということは分かっている。
「で、あの龍の村? 何の用なの?」
「白龍が、小龍たちに「白龍ふっかーつ」って、伝えてって言ってたの。」
なるほど…あの白龍か。
白龍を見ることできるとは…
「おい! 妖精野郎!」
どこからか、声が聞こえた。
ワタシでも、リリーでも、お兄ちゃんでも、イズでもない。
「黙れ~!」
イズが叫び、無数の雷の槍を、お兄ちゃん…のリュックサックに放った。
「[氷盾]~~~~」
そのリュックサックのチャックから顔を出した白猫が氷の壁を形成する。
「テイッ」
その猫が、リュックサックから飛び出して、空中からイズ目掛けて氷の矢を放つ。
「あの、フィル…怪我…」
お兄ちゃんが、なにかを言おうとしていたが、氷の音にかき消された。
そして、その猫に合わせて、イズも飛行高度を上げる。
「[光星散弾]!!」
イズが叫び、無数の光の粒が氷の矢、一本一本にぶつかり、対消滅を起こす。
「あの…あれ、なによ?」
リリーがお兄ちゃんの腕をつっつく。
「氷の精霊フィルだよ… なんかイズと仲が悪い(?)んだよ。」
「精霊…ね。」
リリーが呟いた。
「[精神直接破壊砲]!!!」
フィルが叫び、空中に黒い色の霧が広がる。
「…無駄よ? [雷撃]!」
イズが、無数の紫電で空中を切り裂き、霧を雲散させた。
「万物よ、凍れ![絶対凍結]」
フィルの周りから、空間が水色になっていく。
…時間が止まっている?
いや、違う、一か所だけ、万物の動きを止めているんだ。
魔力も風も粒子も。
「[物体よ進め]!」
イズが、叫ぶ。
ワタシは今、闘いを見ているのだ。
それも大魔法使いと、精霊という、魔法の最上位の存在同士の。
…イズこと、イザベラ。
〈光雷のイザベラ〉
彼女は5人の大魔法使いの中で再少年の妖精の魔法使い。
彼女は天文学、攻撃魔法学、日常一般魔法学、に優れた魔法使いで、対人戦となればこちら側が負けるのは確定だ。
いくら、彼女自身が負けると思っても、イザベラ本人は知らないだけであって、彼女は強い。
彼女が本気を出せば、世界は崩壊する。
しかし、それは、彼女しか大魔法使いがいなかった場合だ。
この世界には、大魔法使いが五人もいる。
一番有名なのは、〈絡繰り仕掛けのエイドリアン〉だろうか。
彼はこの世界に『科学』の発展をもたらした。
魔法に縛られず、誰もが同じ結果を出すこととのできる科学。
それを魔法と組合せ、新たなものを創造する。
そんな彼を知らない人は居ないだろう。
二番目はやはり、先ほどの〈光雷のイザベラ〉だろうか。
誰も彼女を目にすることができない。
いや、目にする必要がないのだ。
村が襲われたとしよう。
すると、彼女は天から雷を放ち、一瞬にして相手を葬るのだ。
三番は、〈無影のオリビア〉だろう。
彼女は逃げることに人生を捧げ、あらゆるものから逃げ、危険をさけ、生きてきた。
彼女の作り上げた防御魔法は、今もなお使われている。
消去法で、四番目は〈不死のウォルター〉だ。
彼は死なない。
どこにいるか解らない。
何をしているかも。
ただ、「死なない」のだ。
そして、最後、五番目。
これは、魔法学の先生でも答えることが難しい。
1500年前にこの世に生まれ、この世界を破壊し続けている魔法使い。
彼女の名は、メリーナ
〈天災のメリーナ〉




