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テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
3/13

002【機械兵?】

〖神暦・3240年 4月3日〗

 日記の筆者『テオ』

 場所「晴れの森」

 《バター高原に行く道はこうだ。

 まず、晴れの森から東にあるウェイタ平原に行き、そこにある飛空場から一気にバター高原を目指す。

 言葉で言うと簡単だが、これが意外と大変なのだ。

 飛空艇に乗ってしまえば良いのだが、ウェイタ平原に行くまでの道中に大きな遺跡があり、そこを抜けなければいけない。

 別に、その遺跡を避けて遠回りすれば? と思うかもしれないが、そう上手く物事は進まない。

 その遺跡が大きすぎるのだ。ただ単に大きい。

 遠回りすると、三ヶ月はかかるだろう。

 だから、遺跡の中を三日かけて通り抜ける必要があるのだ。

  ……

 それを合わせるとヴェルク村まで十日かかる計算になる。

 ここから遺跡まで行くにはあと二日くらいかかるし、気長に行こう。


 あ、ちなみに飛空艇の代金はギルマスに『飛空艇代ください。金欠なんです。』と、手紙を送ったら 飛空艇二人分の代金を送ってくれた。

 ま、ホントはお金あるんだけどね☆。》










〖神暦・3240年 4月5日〗

 日記の筆者『イズ』

 場所「晴れの森」

《昨日、テオが「もうちょっとで遺跡につく」って言っていたのよさ。

 遺跡って?

 ま、細かい事は気にせず楽しむか。》




「[生活楽ちん魔法: 自動お着替え]はつど~。」


魔法陣を足元に出現させ、寝間着からワンピースへと着替えた。


「すごいでしょ。 尊敬しちゃうでしょ。」


テオに自慢した。

だが、私は知っている。

多分、前と同じ反応が戻ってくるだろう。


「うん。 それ毎日言っているよ?」


ほらね。


「作り置きが切れたから、[作り置き召喚]は出来ないよ。」


そうそう。朝ごはんの在庫が切れていたのだ。


「は? それは早く言っておいてよ。」


あれ?なんかテオが怒った。

ま、二人分の魚を釣ってくれば済む話だ。ここから50mのところに川があったから、そこで釣ろう。


「魚を釣ってくるね~♫」


満面の笑みでテオに手を振って、テントを出た。

テオが「行ってらっしゃい…早く帰ってきてね…」と微かに言っていた。

まあ、飛べるから一瞬で着く。


「川の方向はこっちだったよね…」


川の音がする方向に、私は飛んで行った。




約三十秒後




「着いた。」


高度2mほどに浮遊しながら川を眺める。


朝日を受けた水面がキラキラと輝いている。

さらさら流れる水は透き通り、川底まで日の光が届いている。

そして、その透明な空間の中を魚達がゆっくりと泳いでいる。


私は空を仰ぎ、大きく深呼吸した。


「やっぱり、冒険に出て正解だったよ。」


本当にそう思える。あのまま魔法の研究だけをしていたら、こんな美しい景色は見られていない。

テオのおかげだな。


…忘れていた、魚を釣ろう。

人差し指から出した稲妻を、二匹の魚にあてた。


「よいしょっと」


二匹の魚を魔法でこちらに持ってきて、魔法空間に転送した。


「あれ?」


遥か遠くの何かが私の魔力探知(レーダー)に引っ掛かった。 ただの人かと思ったけれど、違う。

人の魔力量は平均50ウィザード(wI)、エルフは60wI 妖精は80wI なのだが、あれは違う。

観測できる段階でもアレは、200wIはある。

しかも、物凄く殺意の(こも)った魔力だ。

魔物…魔物で200wI持っている者は、そこまでいない。

ちなみに私、妖精も魔物の一種なのだ。

魔物は人間とエルフ…あとドワーフ以外の、魔法を使うことができ、理性のある生き物を指す。

まあ、そんな事はさておき、200…あ、機械兵(ゴーレム)だ。

機械兵(ゴーレム)は、体全体を魔力で動かしているので、観測すると膨大なwI数になるのだ。


『イズ~ 帰ってきて~』


私の頭の中に直接、テオの声が響き渡った。

[日常魔法: 魔法通話]…いわゆるテレパシーだ。 


「は~い。」


機械兵(ゴーレム)に後ろ(がみ)()かれつつ、テントのある方向へと飛び立った。


飛び立った…

飛び立てない。

なぜだ?

何かに妨害されている?


「[探知魔法: 周辺捜査] 発動…」


発動…出来ない。

魔法の使用、そのものを妨害されているという事…かしら…


「まって もしかして歩かなきゃいけない?」


身長20cmなのに? 歩幅6cmなのに?

色々と、()んだ。


まず、魔法が使えない理由を考ないと、多分どうにもならない。

一番最初に思い浮かんだのが、[封(アンチ)(マジック)結界(フィールド)]の中に(とら)われたという仮説だ。

しかし、それには違和感がある。

魔法を使うときに発生する魔力を、私の魔力探知(レーダー)が見落とす訳がないのだ。


人間で例えるなら、目の前で爆発した爆弾の音を聞き逃した事と同じ状況だ。

だから、この仮説は違う。


「う~ん…あ、そういう能力を持った魔獣かな?」


それが正解だった。


ドガン!


頭上から斧が降ってきた。

ギリギリでかわすことが出来たが、斧の存在に気づいていなければ、今頃私は死んでいる。


「どうしよう。 このままじゃ負ける。 まともに戦うことすらできない。」


魔獣とは、はっきりとした意識が無く、本能のままに生きる魔物を指す。

私は逃げながら、その魔獣を観察する。

下半身は馬…牛か?上半身は人間(いやサルに見えるが…)の魔獣で、魔力探知が使えないので、wI数が解らない。

恐らくこれは『牛人(ミノタウロス)』だ。

は、皆さんご存じ人馬(ケンタウロス)と似ているが少し違う。

人馬(ケンタウロス)は、魔物科・馬族で、牛人(ミノタウロス)は、魔獣科・牛族…馬か牛か、意識が有るか無いかの違いだ。

それなら、この魔獣の魔力量は人間と大して変わらない。

けれど、こいつの心臓には直径50m以内の魔法を封じる、『(アンチ)(マジック)』の力が備わっている。

今、戦ったら負ける。 そもそも私には魔法しか無い。

これがあの200wIの正体か?

魔力探知(レーダー)が使えないから解らない。


え~と、え~と、え~と、考えろ、考えろ、考えろ、何かないか?何かないか?何かないか?


その間にも、アレは追いかけてくる。


「待って、テントと逆の方向に逃げてる! 戻らなきゃ!」


と、叫んだ瞬間、なぜか魔力探知(レーダー)が使えるようになった。

と、同時に背後に物凄い魔力を帯びた物が居ることに気が付いた。


「な…?」


200wI…殺意の(こも)った魔力。

至近距離の今なら、振り向かずとも、手に取るようにわかる。

これは機械兵(ゴーレム)なんかじゃ無い。

もっと高位の存在…魔装魔導衛兵(ガーディアン)だ。



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