表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
19/22

018【留守番】

〖神暦・3240年 4月8日〗

日記の筆者『イズ』

場所「遺跡」



このごろ、テオが過労で倒れまくっている。

ねぎらってやらなければ…


そんなことを思いなら、塔を登る。


「あれ?」


壁画が途切れている。


最後の絵には、誰もいなくなった街が描かれている。


「また文字だ。」


右上に何か書かれている。


「…それは一瞬だった。 我らの築いた魔法も、知識も、伝統も、紙くず同然に切り崩されて行く。」


テオが呟いた。

…なるほど…


私、(車椅子)は何も無いらせん状のスロープを上がっていく。






何分か上っていると遂に屋上に出た。

天井はなく、周りを囲む様に低い石の壁がある。

そして、中央には光の球体のようなものが浮いている。

恐らく出口だ。


「やっったぁ!」


私が出した大声で、テオが目覚めてしまった。


「へ?何が?」


テオはゆっくりと立ち上がり、辺りを見回した。


「あ、もしかして、イズがここまで連れてきてくれたの?」


テオが私を見た。


「そうよ?感謝してよね~」


「…ありがとう!」


こうやって感謝されるのはいい気分だ。

これからも人助けをしよう。


「へへっ」


私は、少し笑い魔法で車椅子を消した。


「じゃあ、現世に戻るわよ?」


私は、テオの手を引っ張り、光の球体に触れさせた、そして、私も触れた。


キィィィィン


…ここは?


気がつくと、私は暗闇にいた。

自分の身体が意識できない。

すると突然、声が響いた。


『どうでしたか?』


…この声、どこかで聞いたことがある。

あ、この遺跡に入ったときになんか『敵意はないと判断。通行を承諾します。』みたいなことを言っていた声だ。


遺跡がどうだったかって?

まぁ、思っていたより綺麗で美しかった…


『そう言って頂けると幸いです。』


な? 私、何も言っていないぞ?


『失礼ながら、(ワタクシ)は心の声が聞こえるのです。』


ふ~ん。


心の声が聞こえているというのは、怖いはずなのに不思議と恐怖心は湧かなかった。


というか、貴方は誰?


(ワタクシ)は、約1000年前に滅びた街、ガイア・ノアの最後の王、セシリア・ベルカントです。』


ベルカント…この苗字、どこかで聞いたことがあるような…


『ん? ベルカントはエルフの王族の苗字ですよ?』


あぁ、そうか…


何か引っかかるが、まぁおいておこう。


…そもそもここはどこだ?


『…ここは貴方の精神世界です。』


精神世界?


『ええ、貴方の精神にワタクシがお邪魔しているような感じですね。』


ふ~ん…なんで?


『ここにいるのはワタクシ一人なので、悲しいのです… なのでこの遺跡を通った者とおしゃべりするのが、楽しいんです。』


なるほどね… というか、どうしてこの街は滅びたの?


『…覚えていません、あの時は逃げるのに必死でしたから…』


逃げる?


『ええ、ワタクシでもよくわかりません…』


ふ~ん…あっそうだ、あの魔装魔導衛兵ガーディアン、貴方の物?


『外にいるやつですか? ええ、あれは1000年前にこの街を守っていた…言わば衛兵です。けれど、しゅであるワタクシが死に、魂だけの存在になってしまったので命令の取り消しができず、暴れているというわけです。』


なーるほどね。だからか…待てよ? 魂のままこの世に存在出来ているだと?


『ええ、そうなんです。理由はわかりません。 ワタクシ、視覚も聴覚も嗅覚もありませんから、もう、この状態は嫌なんです。』


…セシリアさんはずっと暗闇に一人でいたんだな…

どうして魂が消滅しなかったんだろう、理由が気になる…解析するか。

…精神のまま、魔法は使えるか?

やってみよう。


…[解析魔法: 詳細解析]!


…出来た。

すると、脳内にセシリアさんの過去のことがドッと流れ込んできた。


…なるほど、そう言う事か。


『どうゆうことです?』


セシリアさんはね、呪いに似たものが掛かっている。


『呪い?』


うん。けど、魔法じゃない。


『魔法じゃない呪いなんて存在するんですか?』


うん。有るよ。 愛だ。


『愛?』


知らないの? この世で一番強い呪いは[愛]なんだよ?


『…つまり、どういうことですか?』


つまり、セシリアさんはこの街と、昔ここに住んでたエルフ(ひと)達が大好きなんだよ。

手放したく無いという気持ちが強すぎて、セシリアさんそのものが自分の魂を束縛しているんだよ。

皆が留守の間、居場所ここを守らなきゃ、って。


『そう言う事でしたか。』


セシリアさんの顔は見えないので分からないが、彼女が少し笑ったような気がした。


そうだ、セシリアさん。 もし望むなら、私ならその魂の束縛から開放出来るよぅ?


『…まだ大丈夫です。』


そう。…セシリアさんは悲しくないの?


『ええ、貴方達のような方々から色々なお話が聞けますもの。 あ、もう時間です。 では、さようなら。』


さようなら。


彼女の優しい声が頭の中に響いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ