017【帰り道】
〖神暦・3240年 4月8日〗
(現在)
日記の筆者『イズ』
場所「遺跡」
《テオが魔法空間に飲み込まれてしまった。
なので、今日救出する。》
「ふぁぁ…」
私は、風呂敷の上で目を覚ました。
…なんか、昔の夢を見ていたような…
「[自動お着換え]&[自動歯磨き]!」
[自動歯磨き]は、いつも起きた瞬間発動しているので、人前ではしたことがない。
(自動お着換えを、テオの前でやってるのは、魔法の自慢のため。)
数分後
「よし、朝の支度完了。」
私は、結界と風呂敷をしまい、開けた場所に出た。
「よいしょっと。」
魔法空間をを繋ぐポータルを開き、そこに魔法で召喚したのロープを突っ込んだ。
「あとは、このロープでバラバラになったテオを引っ張り出せば…」
なんか、物騒なことを言っているが、大丈夫です。
安心してください。
バラバラになった物を取り出すとき、出す瞬間に再構築するので問題ない。
なんで『瞬間』なのかというと、瞬間でなければ、膨大な魔力に分子が耐え切れなくなり、結構グロいことになるのだ。
「はぁはぁはぁ。」
あ、テオが生き返った。
…なんかむねに手を当てて呼吸している。
「どうしたの?」
テオの肩を叩いた。
「あ、イズ…イズ! なにあの空間! むっちゃ寒くて、自分の身体が認識できなくて、でも意識はある。気が狂いそうだったよ。 おまけに寝れない。」
バタン
テオが倒れた。
…疲労かな…
よし、魔法空間に転送して、途中まで連れて行ってやろう。
「よいしょっと。」
私は、ポータルをテオの真上に設置した。
「マジでやめて!!!!」
テオが白目のまま叫んだ。
マジか。
じゃあ、魔法で車椅子でも作ってそこに乗せるか。
「…なんの魔法使えば良いんだ?」
う~ん、ま、とりあえず。
「[車椅子]!」
…こんなもんでいいのか?
私の召喚した車椅子は、不格好だ。
ただの椅子(揺れても落ちないようにはなっている。)に、ただの車輪をくっつけた感じだ。
「えい!」
その上にテオを乗せ、ハンドル部分に自分も座った。
「しゅっぱーつ [物体よ進め]!」
車椅子がゆっくりと動き始めた。
「あの塔の中、車椅子で通れるかな…」
そうつぶやき、塔の入口へと向かった。
…
「わあー」
塔の中は、らせん状のスロープがある。
そして、壁画のようなものが描かれている。
「何だろう、この絵…」
私は、その壁画を眺める。
エルフたちが、恐らくこの砦であろう建築物を作っている。
その隣には、街…先日通った魔法陣の街が描かれている。
人々は生き生きと、風になびく草木は優雅に描かれている。
当時、ここがどれだけ活気づいていたのかがわかる。
「すごい…」
私は、らせん状のスロープを上がっていく。
「この絵は何だろう…」
私が目線を動かした先の絵には、数人の魔法使いらしきエルフと、大きな魔法陣が描かれている。
そして、右上に文字のような記号が書かれている。
「我らはこれでも殺せない。」
テオが呟いた。
「何⁈急に、怖っ」
「…そうやって書いてある。」
テオがゆっくりと右腕を上げ、その文字を指さした。
「…殺せないって…何のことだろう…」
テオが呟いた後に、またぐったりと前かがみになり、寝た。
「次の絵は…」
そして、私は、次の絵に目をやる。
その絵には、砦の扉を閉じ、外界との接触を断ったエルフたちが描かれていた。
…エルフ達は皆、笑顔だが、何かが物足りないという顔をしている。
「なんだろうね、これ。」
数分後
「…はっ…」
…テオが起きた。
「テオ、大丈夫?」
テオの顔色が、いつもより悪い。
さっきまでぶっ倒れていたので、当たり前と言えば当たり前なのだが…
「大丈夫ではない…今までの過労が…」
バタンキュー
テオこの頃大丈夫か?
ぶっ倒れまくってるけど…
「なんかの病気かなぁ…」
調べよう。
テオは[干渉断絶]を持っているが、私が本気を出せばそんなの一瞬で解除できる。
「[解析魔法: 詳細解析]~!」
…病気じゃない。
ただの過労だ。




