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テオとイズの冒険日記  作者: モードー
日記帳一冊目【無理なお使い】
14/17

013【図々しいにも程がある!】

〖神暦・3240年 4月7日〗

日記の筆者『イズ』

場所「遺跡」



白龍。


その巨体をくねらせ、ゆっくりとこちらへと降り始めた。

そして、とぐろを巻き地面に座った。

白龍の目がこちらをうかがっている。

白龍の顔は、こう巻物に描かれているような硬そうな顔ではなく、精錬された美しい顔立ちをしている。

つい、見とれてしまったが、なぜここに白龍がいる?


…そう言えば、この頃白龍が行方をくらましたとかどうとか、新聞で読んだ気がする。


こんな処に居たのか。


…まぁと言っても白龍は温厚な性格だし、頭もいい。

こちらから手出ししなければ、襲ってはこないだろう。

けれど、何か面倒くさい事が起こる気がするので、さっさと塔に隠れよう。


「テオ!行くよ…テオ?」


テオが右手を龍に突き出し、その手のひらから魔法陣が出現した。


「まって、攻撃しちゃだめ!」

「…攻撃はしてないよ。…よく見て。この龍、怪我をしてる。」


テオが龍の背中を指さした。


本当だ。

所々、刃物か何かで切られたような傷や、魔法…いや銃で撃たれたような跡がある。


「ひどい…」


とは言っても、白龍がこんなにも弱るなんて何かおかしい気がする。


「よし。これで大丈夫。」


テオが言った。

どうやらテオは白龍に簡単な回復魔法をかけていたらしい。


『感謝する。』


頭の中に声が響いた。

白龍の声であろう。


「あなた、しゃべれるのね…」


大発見だ。

白龍が喋った。


『そうだ。昔、友に教えてもらった。』


友か。


「ところで白龍さん。こんな所で何してんの?」


一番の疑問を白龍にぶつけた。


『いやぁ、北の空を飛んでいたら、人間の戦争に巻き込まれてしまったのだ。そして、ここに逃げてきた。』


北の戦争。

この星の北には島国が沢山有り、その国同士が戦争をしているのだ。

理由は三つ。

一つめ、領土の奪い合いのため。

二つめ、お金稼ぎのため。

そして三つめ、滅びぬ都(エル・ドラード)の所有権を得るため。


この三つの要素が組み合わさり、北は戦争が絶えないのだ。


「じゃあ、この傷は?」


テオが背中の刃物で切ったような傷を指さした。


『ああ、これは炸裂魔法(さくれつまほう)にやられたのだ。』


炸裂魔法。

上空に始点を置き、そこから斬撃を四方八方に飛ばす魔法だ。

敵の戦闘機や爆撃機などを、落とすために戦争でよく使われる。

白龍はそれに巻き込まれたのだろう。


じゃあ、この傷は戦闘機かなにかからの銃撃だな。


「科学って怖いよね~ 魔力を介さない物が多いから、防御魔法では防御しきれないし、解析魔法も使えないから、仕組みも分からない。」


私は白龍に[上位回復]をかけながら言った。


「だよね。魔法は発動するのに最小でも、0,5秒はかかる。けど銃とかは引き金を引くだけで攻撃できるもんね。」


テオが答える。


『その通りだ。そもそも科学を攻撃に使っている時点で、アウトなのだよ。』


よし。

回復完了。

これで動き回れるようになっただろう。


「できたよ。白龍さん。」

『感謝する。妖精の…ばあさん?』

「ふざけんな!!!!!!」

『いやぁ、だって、500歳だろう? 妖精の平均寿命、500歳。ばあさんではないか。』

「それ、昔の話! 今は病気の薬とか、治療法が見つかって、平均寿命1000歳よ!」

『ああ、そうなのか。この頃、我のおつむが正常に動かなくなってきたな…歳か』


歳なのだろうか…

ってか、白龍寿命なくね?


「まぁいいや。じゃあね。」


テオが白龍に手を振り、塔へ歩き出した。


『ちょっと待ってくれ。』


白龍が少し体を動かした。


『我、この遺跡から出れない。脱出すんの手伝ってくれ。』


脱出?

白龍はここに逃げてきたと言っていたな。

入れたのなら、出れるだろう。


「どういうこと?」


私は首を傾げる。


『ああ、炸裂魔法で瀕死状態になったのだ。すると、我を自律能力が勝手にここにワープさせたのだよ。まぁそのおかげで死なずに済んだのだがな。』


自律能力か。

思考とは関係なく、自律的に行動する能力や魔法の総称だ。

そのお陰で白龍は助かったということだ。

そして、ここから出られなくなったというこだ。


「無能?」


あ、口が滑った。

終わったぁ


『まぁそんなところだ。』


案外冗談が通じる(ひと)だった。

(冗談だったということにしておこう)


「じゃあ、外に出るの、手伝ってあげよう!」


テオが私の目を見た。

…この時、私は理解した。

これはテオが暗に『イズ!魔法で何とかして!』と言っているのだ。


「わかったよ、てつだったげる。 じゃあ、その大きな体は邪魔になるから、私の魔法空間に入って。白龍さん。」


私はそう言い、魔法空間に繋がるポータルを出現させた。

牛人(ミノタウロス)の時、こうやってポータルを作るんだった…

あのときは、混乱していて頭が回らなかった。

[空間連結]なんてしなくて済んだのに…

(正確にはしてないけど)


『…中はどうなっておるのだ?』

「ん? まぁ暗い空間だね。」

『温度は?』

「寒いと思うよ。」

『…入ったら我はどうなる?』

「えっと、身体が壊れないように、一回分子レベルでバラバラにするの、あ、もちろん魂と記憶は別のところで保管するよ。でねその分子をn…


『嫌だ!!!!!!』


大きな声が頭の中に響く。

白龍が私の説明に横槍を入れてきた。


「えぇ…」

『バラバラとか嫌だ!!!!!!なんかこう…もっといいもの無いのか?』


白龍が身体をうねらせる。

…そして、私は心の中でこう叫んだ。


ねぇよ!!!!!!!!!!!!!



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