012【最上位の生命体】
〖神暦・3240年 4月7日〗
日記の筆者『イズ』
場所「遺跡」
「よしこれで完成!」
テオが水筒(予備)の中に、魔力と折れたお守りを入れた。
「…ごめんね。」
「いいよ、どうせ直るし。けど、次からは何かを削る時はナイフを使ってね。」
「は~い。」
一応反省はしている。次からはしない。
「しっかし、テオに妹がいたとはね~しかも双子の。」
双子。
双子はどちらとも、属性は同じになる。
そして、魂の導線が繋がっている。(稀に繋がっていない事もある。)
魂の導線とは、ある特定の魂と、特定の魂が結ぶことの出来る線。
魔力を貸し借りすることが出来、瞬時に情報を伝達する事ができる。
…簡単に言えば、電話などに使う電線と同じ様な役割だ。
「あ、そうそうそれで思い出しちゃったんだけどさ、姉ちゃんが、『セレスタル地方に行くんだったら、帰りにでも空中都市「東天空郷」に来てくれ!弟よ。』って言ってた…」
「言ってた?いつ?」
「昨日の夜、魔法通話で。」
テオのお姉ちゃん…エリザベス嫌いだ。
…まぁ私の勝手なことなのだが、彼女の眼が怖いのだ。
テオの目は淡いオレンジ、エリザベスの眼も同様に淡いオレンジ、瞳孔は黒なのだが、彼女が魔法を使っていると、眼が真っ赤になるのだ。
見ているだけで、気が狂いそうになる。
なぜそれが怖いのかは、見当が付いている。
たぶん、メ…
「イズ!」
テオが叫んだ。
「どうした?」
「なんか大きな塔があるよ」
テオが、手前の石造りの塔を指さした。
高さはおよそ50m、所々に窓があり周りに龍のような細長い模様が彫ってある。
「おっきいね。」
私はその塔を見上げる。
あの装龍の飾…
石に掘っているだけなので、色は分からないが、頭の上に生えている角が特徴だ。
数は3本そしてその角が途中で一つになっている。
この世に存在する龍の中では、三本角は一匹しかいない。
白龍だ。
13体の天龍の中で、最上位の龍。
この世で初めて産まれた生き物は、白龍とも言われている。
白龍には寿命がないため、子孫を残す必要がない。
そのため性別はなく、白龍と名付く生き物は彼しかいない。
故に、天涯孤独なのだ。
地上の民に神と崇められても、誰かがのそ力に魅入られても、彼はその者を愛することは出来ない。
仮に愛したとしても、相手がすぐに死んでしまうのだ。
「長寿ってのは、いいのか悪いのかわからんね。」
…心の声が漏れてしまった。
私は妖精。
妖精の寿命には大きな個人差があるので、『何年』とピシッと表すことは出来ないのだが、平均約1000年くらいだ。
…テオは人間。
人間の平均寿命は80年…
ま、そんなことはまた今度考えよう。
「で、この塔なぁに?」
「出口だよ! 一番上の所に、魔法空間と現実世界を繋ぐ扉特有の時空の歪みがあるから。」
お、やった。
やっと出口だ。
「やっと、外の空気が吸える~」
「まだだよ。あと一日くらいかかる。」
「マジか…」
まぁいいか。
一日で出られるのなら。
ドオォォォォォ
急に、頭上で大きな音がした。
何か大きな物が、ゆっくりと風を切り裂く音だ。
「何⁈」
私は音のした方を見上げる。
…………
おいおい噓だろ?
なにこれ幻覚?
んなわけないか。
じゃあアレは本物か。
白龍だ。




