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第62話:決戦3

敵陣を抜け、シェンロンのあとについて、さらに後方に進んでいった。

他の隊は、敵陣を抜けると、皆反転し再突入していったが、この隊だけは違った。


「シェンロン、どこに行くんですか」

「ごちそうの所だよ、決まってんだろう」

「おら、見えてきた、あれだ」


そこには煌びやかな軍装を着た一軍があった。


「あそこが敵の本陣さ、近衛軍と皇帝さ」

「まさか、ごちそうって」

「ああ、敵皇帝さ、これ以上の御馳走はねーだろー。おめーにやるよ」

俺は息を飲んだ、これはとんでもないごちそうだぞ。

「でも、敵の近衛軍が結構いるけど」

「ふん、これから蹴散らすさ」


「ウダイ、右」

「ウス」

「ブダ、左」

「御意」

ウダイが配下500騎を率いて、右に離れていった。そしてウダイとおんなじ位大きく、もっと髭だらけのブダが同じく配下500騎を率いて、左に外れていった。


そして曲射の距離に入った途端シェンロンが命じた。

「総員曲射」

シェンロン隊、ウダイ隊、ブダ隊、全員が図ったのように全員天に向け矢を放った。

さらに前進し、直射の距離になった途端。

「前列30騎、直射10連」


三隊の前列30人が、同時に10矢連続して直射した。目にも止まらぬ早業だった。


俺は前の戦いで、シュタインと一緒に曲射と直射の同時攻撃を見ていた。そして、それをどう防ぐか考えていたが、片方を盾で防ぎ、もう片方を剣で叩き落すしかないとの結論を得た。


だが今回は、天から2000の矢が降り注ぎ、前方から300、左右からそれぞれ300の矢が襲ってくる。四方からの同時攻撃だ、こいつはお手上げだぜ。どうしようもないぜ。俺達でも防ぎようがない。ましてや、奴らがふせげるかどうか。


敵陣に矢が降り注いだ、同時に3方から矢が直進してきた。敵近衛兵は避けることができず、バタバタと倒れていった。

「野郎ども、突撃だ」シェンロンが檄を飛ばした。

「おおー」周囲の味方の士気が挙がるのがわかった。

ウダイとブダの隊が先行し、敵陣を切り裂いていった。

「ハン行くぞ、見ろ、敵皇帝が見えてきたぞ。あの輿に乗った、金ぴかのデブが皇帝だ」

「クズ野郎どもを叩きのめすぞ、ハンついてこい」

シェンロンはそういうと、馬に鞭を当て、突撃していった。俺も慌ててその後を追った。

皇帝を守ろうと、残った数名の近衛兵が前に出てきたが、シェンロンがあっさりと弓で打ち倒した。もう皇帝まで遮るものはなかった。


「おりゃー」

俺は雄たけびをあげながら皇帝に突撃し、力の限り槍を突き出した。

槍は皇帝の胸を見事に貫いた。

「やったなハン」シェンロンが続けて、剣で皇帝の首を切断した。

皇帝の首は宙に舞い、落ちてきたところを、ウダイが槍を突き刺して、天に掲げた。

「西の皇帝をヨハン・ハンが打ち取ったぞー」

シェンロンが途轍もない大声で、そう叫んだ。


途端、地鳴りのような歓声が戦場全体に広がっていった。


「敵の皇帝は打たれたぞー」

「この戦は、もう勝ちだ」

「勝ったぞー」


味方は三方から、攻め立てた。後方にいたキタイの騎馬隊は、包囲を解き皇帝の首をもって本陣に凱旋してきた。

今回は敵の殲滅が目的ではないので、後方は開けて置き、逃げる敵は逃がすようにしていた。

敵は総崩れとなって、包囲されていない後方から逃げ出した。


「逃げる敵は放置するように、この期に及んで損害を出したくない」


帝国軍は壊滅し、生き残った者は逃げていった。しかし逃げていった先はイタリカ王国であった。そこには国を荒らされたり、家族が犠牲になったりした怒り心頭のイタリカ王国の民が待っているところだった。

どうなるかはように想像がついた。ひどいことになるぞ。

自業自得だがな。






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