第54話:荒野の戦い6
戦場より、伝令が到着した。
伝令はよほど急いできたのか、息も絶え絶えだったが、その顔色は輝いていた。
「圧勝です、敵を粉砕しました」
「シュバルツ様より伝言です。敵を全滅させました。味方の損害は軽微です。これからロムルス解放戦に向かいます」
王宮中に歓声が轟いた。
「さすがシュバルツ卿だ」
「名将中の名将だ」
「帝国軍も壊滅させるとは」
「これで王国も安泰だ」
さらに詳報が届いた。帝国軍は三万二千の軍勢のうち、約三万が死ぬか捕虜となったという。全滅と言っていい。それに比べわが軍は、死者、負傷者が合わせても数百人だという。途轍もない圧勝である。国中に歓声が沸き上がった。
国の危機と言われ、途方もなく悪逆で、途轍もなく強いと思われていた侵略者を、シュタイン様は一撃で叩き潰した。
王都の人々は家の中にいることはできず、町中に繰り出しては、勝利を祝いあった。
どこもかしこもお祭り騒ぎだった。
「味方はほぼ損害がなく、敵三万を粉砕したそうだ」
「稀代の名将だ」
「それは前の戦で言われた、もっとすごい名称がいるぞ」
「神のごとき英雄だ」
「それだ、神将だ」
「神将シュバルツ様だ」
敵軍は崩壊し、数千人の残党が、西に逃げ出した。
シェンロンは帰っちゃったので、俺達2000人の騎兵が、追いかけていった。
ロムルスに接近すると、敗報が伝わったのか、残置の敵兵が逃げ出すところだった。
あの広大なロムルスを、あのくらいの兵数で守るのは不可能だろう。それで、落ち延びていったのだろう、敵は、敗残兵と合流し、ひたすら西に向かっていた。
「以外に逃げ足が速いな」
「まあ、敵も必死だからな」
しかし、帝国軍破れるの報が、イタリカ国内のあちこちの達したのか。そこら中からイタリカ義勇軍が湧き出してきた。
「侵略者を殺せ」
「家族の仇だ」
殺気だった民衆が、敗残軍の行き先を塞いでいた。
行き場を失った敗残軍は、イタリカ西部の小城に追い込まれていった。
そこは帝国軍がイタリカ侵攻の拠点とした城であり、食料は蓄えていたようだった。しかし、どこからも援軍はこない、孤立状態となった。
だが、帝国軍がイタリカ国内で悪行を行ったため、降伏しても許されないことは分かっていたのだと思われた。降伏してもどうせ殺されるなら、とにかく籠城するしかなかったのだ。
イタリカ軍、義勇軍が周囲からわらわらと湧いてきて、約10万の包囲軍が形成されていた。
「これじゃ、俺達必要ないんじゃない」
「すぐ、撤退命令が出るだろう」
「撤退命令がでたぞ。ブルク王国軍は帰還するようにと」
「よーし、俺たちも帰るぞ」
俺達が帰還支度をしていたら、シュバルツ様から伝令が来た。
「ハン卿と、ハンス殿は本陣に来れたし」
俺達がシュバルツ様の本陣に参上すると、そこは撤退準備でごった返していた。
「ハン卿よ、イタリカ軍から要望があった、最後の攻城戦に手助けをしてほしいと。敵は追い詰められている、何をするか分からない。そこでハンス殿の攻城兵器があればというのだが、どうだろうか」
「ええ」俺が言いよどんでいると、ハンスが言った。
「ぜひお任せください。あんな小城粉砕して見せます」
おい、言い切っちゃっよ。どうすんだ。
「いくつか策があります。お任せ下さい」ハンスが目を輝かせて言った。
おいおい、またひどいことになるぞ。俺はしらないからな。
「最後の城攻めは、ハン卿に任す。任を果たせ」
「はい」モーどーなっても知らないぞ。




