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第49話:荒野の戦い1

実は作戦会議前に俺はハンスと話し合っていた。

「おい、なにか考えがあるのか」俺はハンスに言った。

「任してください。ハン様は、荒野を旅するうえでは何が一番大事か分かりますか」

「そりゃ、食料だろう」

「はいその通りですが、もう一つあります。水です」

「なるほど、水か」

「荒野では、水がなければ生きていけません。ある意味食料より大事です」

「それを全く使えなくできる作戦があります」

「まず、全騎馬隊で捜索し、敵の補給基地を探り当てます」

「それから、僕の実家にある昔作った機械を持ってきます。これで敵の水を使えなくできると思います。あー、わくわくするなあ。あの機械がこんな所で役にたつねんて」

ハンスの目がキラキラしている。こういう時のハンスはやばいんだ。今回は死人はでなさそうだが、やっぱり大変なことになりそうなんだが。


騎馬による斥候が続々と戻ってきた。

帝国は、荒野の中間地点のウソウという地点に巨大な補給基地を築いていた。

そこはほぼ城塞と言ってよく、さらにたくさんの守備兵が守っていて攻略は難しそうだった。

大量の食料、水が運び込まれつつあった。


「ウソウ周辺の地形を詳細に報告してください」

ウソウ周辺の詳細な地形図が出来上がった。

それとそっくりの地形が、土や木材で再現され、その機械を使った予行演習が何度も行われた。

「この丘からの攻撃が良いと思います。ここから補給基地までの攻撃のデータは全て得ました。全く問題ありません。実際の攻撃に移りたいと思います」


俺達は夜にこっそりと、その兵器を運び込んだ。敵は気づいていないようだった。

予め予定していた丘に、その兵器を設置した。

それは小型の投石器だった。

「投石器を作るのに、まず小型の模型を作って、うまく作動するか確かめたんですね。それが今回役に立つのはうれしいです」ハンスが、とてもうれしそうにしていた。ますます不安になったが、ハンスが嬉しそうにしているのをみてるとこちらも少し楽しくなった。


投石器は二台あった。目標までの距離、高低差は何度も確かめていた。同じ地形を作り、何度も投石を実行し、そのデータも綿密にとっていた。ここは敵地で、一発ずつしか打てないのも承知していた。だが、計画は万全だった。

翌日夜が明けた時に、作戦は決行された。

「一台目、打ちます」ハンスが号令を発した。

投石器は、発射した。それは、小石くらいの鉛の散弾だった。それは空中であるていどばらけたのち、砦のなかの水を貯めていると思われる大量の大樽に降り注いだ。大樽があちこちで穴があき、水が漏れだした。

砦の中で敵兵が、わらわら出てくるのがみられた。すぐにこっちくるぞ。

「この程度では、被害は大きくないぞ」

「そこで二台目の投石器です」

「発射しろ」

それは蓋をしてある小ぶりな壺の集団だった。それも発射されるとある程度ばらけ、水が流れ出した大樽の集団に落下していった。

壺は落下すると、割れ、中身を流出された。

それは糞便だった。

大樽のあちこちで壺が割れ、糞便が流出した。それが、流れ出た水と交わり、周辺を汚染していった。

「うわ、こいつはたまらんなあ。ここまで臭ってくるぞ」

「でも、これでも洗えば何とかならないか」

「ハン様、洗うには何が必要ですか」

「水に決まっているだろう、あ、そうか」

「はい、洗うにも水がいります、ますます足りなくなります。そのうえ、ハン様はあんな水飲みたいですか」

「絶対飲みたかないね」

「はい、その上あの糞尿には、ヒ素、鉛、水銀、トリカブト、毒キノコなど、ありとあらゆる毒物を混ぜています。飲んだら間違いなく死にます」

うへ、なんてこった。こりゃ絶対敵はこれ以上進めないわ。

「作戦目標は達成された、投石器は置いていく、このまま急いで帰還するぞ」

「はい」

俺達は急いで逃げ出した。






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