第44話:泥の戦い2
「準備は整った。これから作戦会議を行う」アジェンダ隊長が宣言した。
その天幕の中には、アジェンダ隊長とその副官、幕僚2名、俺、リュウ、ハンスが机に向かって座っていた。
「現状を報告します」ガルシアス副官が起立し説明した。背後には黒板があり、地図が書かれていた。
「鉱山は周囲100メートルほどの岩盤でできた小島の中央にあります。鉱山はこの岩盤を掘り進める形で作られており、強固な岩盤なので湧水はありません。それで安全に掘り進めることができています」
「鉱山の北方に、レンガ作りの二階建ての館があり、ここに賊が立てこもっていいます」
「残置した偵察員によれば、賊は30人だそうです。日中は鉱山で採掘し、夜間は館に戻るようですが、数名は鉱山に常駐しているようです」
「この鉱山のある小島の約500メートル北方に20メートル四方位の丘があり、そこに残置の偵察員がおります。この丘を当面目指し、前進基地とします」
「そこからは隊長である私が話す」
「前進基地についてからは、鉱山を目指す、この時点で賊に知られないように近ずく術はないため、強襲となる。最速で小島をのぼり、周囲を包囲する。それから敵を矢で射すくめ、扉を破り、突入する」
「こちらは敵の倍の60人いる、強襲でも勝てるはずだ」
これは結構きついな、勝てるとは思うが、こちらも唯では済まない。結構な死人けが人が出そうだな。どうしたもんか。
「あのー」ハンスが控えめに手を挙げた。
「なんだ」
「あのー、あの館は壊しても構いませんか」
「なるべく壊さない方が良いが、壊しても、このカタツムリがあれば迅速に再建できると思うが、どうしてそんなことを聞くんだ」
「私に任してもらえるなら、一撃で賊を始末することができます。でも、もしかしたら館が壊れるかもしれません、まあ全壊はしないと思いますが」
「そんな方法があるのか」
「はい、あります」ハンスが自信満々に答えた。
「あー」俺は頭を抱えた、また出たよ。これはひどいことになるぞ俺は知らないよ。
「さすが破壊王ハンス殿だ。お力拝見したい。任せたぞ」
ハンスにいつからそんな二つ名が付いたんだよ。まあ、いままでやってきたこと考えるとそういわれても仕方ないような気もするが、よりによって破壊王かよ。どこの魔王だって話だな。
「おい、ハンス大丈夫なのか」
「大丈夫ですよ、とっておきの手があるんです。楽しみだなあ」ハンスが満面の笑みを浮かべた。こいつが満面の笑みの時は非常に危ないんだが、ああ敵に同情するよ。
「よし、明日早朝鉱山奪取に向け出発する。準備を急ぐように」
「はっ」
さて、俺たちも物資をカタツムリに積み込みますか。
食料としてフェリシアーノ共和国が用意したものは、固焼きビスケット、干し肉、薄めたワインのみだった。薄めたワインは腐らない水がわり何だろうが、食料がビスケットと干し肉だけでは明らかに栄養不足である。
こうもあろうかと、俺はチーズ、干芋、各種のドライフルーツを用意した。新鮮な野菜と果物もどのくらい持つかわからないが一応用意した。
「アジェンダ隊長、ビスケット干し肉だけでは満足な栄養が取れません、今までの遠征では肌の荒れ、便秘、歯ぐきからの出血などの悩みはありませんでしたか」
「良く分かったな、肌のあれ、便秘は実は深刻な問題だった。さらに長期にわたると歯ぐきからの出血が問題となった。軍事だけでなく、船乗りからも同様の症状が出ていて、大問題となっているんだよ」
ビタミンC,E、食物繊維の不足だな。これは大問題なんだな。これ続くと地道に体力を削られていく、ついには死亡するケースもある。
「それを防ぐのが、この干芋とドライフルーツです。さらにチーズを食べれば栄養不足になることはありません。アジェンダ隊長から率先して食べてもらえませんか。肌もきれいになりますよ」
「そんなものがあるのか。是非食べてみたい」
「そう来なくちゃ、干芋、ドライフルーツとも我が国の特産品です。適正価格でいつでもお売りできます。今回は特別に無料で提供します」
アジェンダ隊長は俺の差し出した干芋とドライフルーツを食べた。
「どちらもうまいな。干芋はもちもちして味が濃いし、ドライフルーツは酸味があっておいしい。これを食べていれば栄養不足にならないんだな」
「そう考えています」
「よし、この二つをおやつとして全軍に配布する。道々食べるようにしたい」
「気に入ったら買ってくださいね。宣伝もお願いしますよ」
それを聞いてアジェンダは大笑いした。
「お前は商人か、いっそフェリシアーノ共和国に来ないか。向いてるみたいだぞ」
アジェンダが満面の笑みで俺を勧誘した。
「はは、俺は北部の武人ですよ。商人も嫌いじゃないけど今が楽しいんでね。いまのママが良いです」
「じゃあ仕方ないか、しかしおしいな」
「そう言ってもらえてうれしいです。ブルク王国に居られなくなったら、お願いしますよ」
「その時は声をかけてくれ。全力で受け入れるぞ」
「その時はお願いします」




