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第43話:泥の戦い1

全ての準備は整った。

俺は30台のカタツムリと、予備をいれて35頭の水牛をつれて、出発した。

勿論初めは陸路のため、カタツムリの板は外してあり、ただの馬車となっている。また水牛は、時々水をかけてやらないといけないので、馬車には大量の水がめと、当面の食料が積んであった。


「大変お世話になりました、出発します」俺はお義父さんにそうあいさつし、出発した。

「無事帰ってくるんだよ」ホッホベルク家の皆さんが手を振って送り出してくれた。


フェリシアーノ共和国の拠点までは約二日の行程である。まあ、特に問題がある場所ではないので、ゆっくり行こう。

「フェリシアーノ共和国ってのは、どんな国なんだ」俺はリュウに尋ねた。

「フェリシアーノ共和国は、商人の国と言っていいでしょう、国民の半分以上が商人となっています。あの国では大人になると、共同でキャラバンを組んであちこちに物資の売り買いに出かけます」

「また貴族はいますが、平民との区別がほとんどなく同じように商人となっています。王様はなく、複雑な選挙で統領が選ばれ統治しています」

「じゃあ戦いは強くないのか」

「そんなことはありません。どんなところにもキャラバンで行くため、盗賊に襲われることも少なくないのです。そのため全員が商人兼兵士となっており、なかなか強いです」

「そうなんだ、それは頼もしいな」


俺たちは、片方が泥地、片方が岩山という細い道を進んでいった。その先に多少広い平地があり、そこに天幕が密集していた。フェリシアーノ共和国の拠点と思えた。


拠点に近づくと、兵士から誰何された。

「どこの者か、姓名、所属を述べよ」

「俺たちは貴国からの依頼で、物資運搬を引き受けたブルク王国の部隊です。決して怪しいものではありません。指揮官にお話しくください」

「分かった。そこで待っておれ」

連絡が言ったようで、間もなく指揮官と思しきものがやってきた。


それは燃えるような赤毛の、目の覚めるような美人だった。

「護衛の者が無礼を働いて申し訳ない。私はゴルザ鉱山奪回部隊隊長アジェンダです。さあ中に入られよ」

「ブルク王国派遣部隊指揮官ハンです。これは副官のリュウ。こちらは技術担当のハンスです。よろしくお願いします」

アジェンダ司令官は水牛と馬車をまじまじとみた。

「水牛は考えたものだが、この泥地では馬車は使えないぞ」

「そんなことは分かっています。これから馬車を泥地用に改造します。まあ見ていてください」ハンスが胸を張っていった。

「こいつは楽しみだ。期待しているぞ」


俺たちは拠点の中に入り、とりあえず天幕を張った。水牛は泥の方が居心地が良さそうなので泥地で好きにさせている。泥に潜ったり、寝っ転がったりしており、至極快適そうであった。


その日は早々と天幕で休んだ。


翌日から、カタツムリの作成にかかった。

ハンスが指揮し、配下の技術者が組み立てていた。

さっそく一台くみ上げて、試運転を開始した。カタツムリは泥地をサクサクと移動した。

フェリシアーノ共和国の兵士がそれをみて歓声を上げた。

「これは、よく考えたものだ。いや感心した」アジェンダ隊長が感極まったようにつぶやいた。めちゃめちゃガンミしていた。

「これなら泥地の移動には何の問題もない。ハン殿有難う。感謝する」

「お礼はまだ早いです。作戦が成功してからにしましょう」

「そうだな、作戦はまだ始まっていない。気を引き締めていこう

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