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第41話:ホッホベルグ家

ホッホベルグ家に手紙を出すと、快諾を得られたので。

俺は、ハンス、リュウを伴って馬でホッホベルグ領に向かった。

シュタイン、ヤンは今回は留守番である。

食料は国内の移動なので、どこでも食料を買えるし、宿屋に泊まってもいいだろうから持っていくものは最小限にした。


実は保存食としてチーズは万能食に近いのだ。ビタミン、ミネラル、タンパク質、カロリーが豊富だ。ただ唯一ないのがビタミンCなのだ。ビタミンCは保存が難しい栄養素の一つだ、熱や乾燥で簡単に分解する。保存に向かない所以である。


ホッホベルグ家に着いた。

公爵自らが出迎えてくれた。

「ヨハン、君のおかげで公爵になれたよ。本当に感謝している」

いきなり抱き着いてきた。びっくりした。

「義父さま、公爵就任おめでとうございます。ユングも大変喜んでました」

「有難う、ここで長話もなんだな、屋敷に入ってくれ。ハンスも元気そうだな」

「はい、ハン様の所で好き勝手してますんで」

「私にはその度量がなかったな。ヨハンよ、ハンスのことを頼む」

「勿論ですとも」


リュウがそのやりとりをほほえましそうに見ていた。

俺はホッホベルグ家の屋敷をみた。これはお城かと見まがうような豪邸だった。

「この家を半分焼いたのか」

「いえ、以前の屋敷はこんなに大きくなかったです」

「最近建て変えたんだよ。何しろいろいろお金が入ってね」

なんだろう、なにかもうけ話があったのかな、うらやましいことだ。

俺たちが屋敷に入ると、応接間に案内された。


「ハンスから話は聞いている、馬車を作る工房も用意した、職人も呼び集めている。材料も手配している。水牛ももうすぐ届くはずだ」

「そんなに至れり尽くせりなんですか。有難うございます。資金はこれに」

「いらないよ。ヨハンには恩がある。あのイモのおかげで、領内の食料事情が大幅に改善したんだ。それに他の貴族に分けたら、お礼の贈り物がたくさん来てね、さらに王様から多額の報奨金がもらえてね。今うちは凄く裕福なんだ」

「それに、あのイモは食料とする以上に取れたため、余剰品で色々な物産を作っているんだ」

「これがその一つなんだ、飲んでみてくれ」


ホッホベルク卿はそういって、液体の入ったグラスを皆に渡した。

俺はそれを飲んでみた。それは強い酒だった。芋焼酎じゃあないか。ここで蒸留していたのか。

「これは蒸留酒ですね、製造機械は誰が作ったんですか」

そう言って、俺はハンスの方をみた。ハンスは見事なほどはっきりと目をそらした。


「ハンス君私の眼を見れるかな」

「いや、設計は別の人がしていて、僕は製造しただけです」

明後日の方を向きながらそう言った。


「義父さん、この装置、うちでも作って貰ってもいいですか」

「大恩あるヨハンなら、いいよ。でも他には話さないでね」

「勿論ですとも」

「ハンス君、この仕事が終わったら、うちでも作ってくれるね」

「そういう事なら喜んで」


俺はハンスを伴って、蒸留装置を見に行った。

「これがそうか」原始的なポットスチルだった。

「なるほどな」

俺は装置を子細に見た、そしてあることに気付いた。本体は銅製だが、最後の細管の所が銅製ではなかった。赤金色ではなく灰色をしていた。

「ハンス、この部分は銅製ではないようだが何でできているんだ」

「細管は加工が難しいので鉛を使っています」

やっぱりそうか、だが鉛はまずい。

「鉛は毒なんだ、この部分は即刻銅製に作り替えろ。家で作るのも全て銅製にするんだ」

「えっ、本当なんですか」

「誓って本当だ、鉛は使うべきではない」

「すぐ作り直します」


「ハンス、また助けられたな」

「急性の毒ではないので、少し飲んだだけでは問題ないでしょう。しかしずっと飲むと危ないです」

「有難う、他にもこんな食べ物も作ったんだが、これは問題ないだろうね」


何か短冊状に切った黄色いものが出てきた。おれはそれを食べてみた。

これは甘芋の干芋じゃあないか。おいしいな。

「これは大丈夫です。凄くおいしいです。今度の遠征にも持っていきたいので。もらえるだけもらいたいです」

干芋も栄養学的に非常に優れたものなのだ、各種ビタミン、ミネラルが豊富で、なにより保存が難しいビタミンCを多量に含んでいる。カロリーもあり、食物繊維も豊富ときている。一月くらいしか持たないのが難点だが一応保存食でもある。

これも持っていこう。


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