第40話:イモ公爵
夕方居間ででくつろいでいると、ユングがやってきた。
「お父様から手紙が届いています」
「ホッホベルク卿からか珍しいな、見せてみてくれ」
「はい」
俺は、手紙を開けてみた。
「なんと!」内容を読んでびっくりした。
「どうしたの、何か悪いことが起こったの」ユングが心配そうにきいてきた。
「逆だ、ホッホベルク卿は公爵に昇進されたそうだ。ユングおめでとう」
「本当なの、手紙見てもいい」
「どうぞ」俺はユングに手紙を渡した。
「別に手柄を立てたとは聞いてないけど」ユングはブツブツいいながら手紙を読んでいった。
「あら、あなたが送った甘芋が理由らしいわよ」
俺はランド王国で手に入れた甘芋をデイジーが送れというのでユングの実家に送ったことがあった。
ホッホベルグ卿はさっそく育てさせてみたようだが、どこでもよく育ったためたくさんの甘芋ができたそうだ。それを貧民に配ったり、甘芋を育てることを奨励したところ、さらに大量の甘芋が育ち、ホッホベルク領では飢えるものがいなくなったそうだ。
その上、食事をとれるようになった貧民の体力が向上し、肉体労働もできるようになり、経済的にも余裕が出てきているみたいだった。
これに驚いたホッホベルグ卿が、甘芋を周囲の貴族や王宮にも献上したそうだ。
すると甘芋を送った地域の食料事情が驚くほど改善し、その功により公爵に昇進となったわけである。
「みんなからイモ公爵と言われて参っているそうよ」ユングが大笑いしながら教えてくれた。
「そいつはいいや。今度あったら俺も言ってみよう」
「なんか半分は喜んでるみたいだから、それもいいかも」俺とユングは二人で笑いあった。
「あっ、よく考えれば甘芋を見つけたのは俺なんだから、俺が甘芋を王宮に送れば良かったんじゃないか。そしたら今頃伯爵に」俺は頭を抱えた。
「いまさら遅いわよ、二度芋と寒さに強い麦を北部の領主やキタイに送って喜んでもらえたんだから、それで我慢しなさい」
「いまさら仕方ないか」俺は気を取り直した。
「そうだ、前に話したとおり、今度はフェルシアーノ共和国に行かなければならなんだ。そこで新型の馬車も作らないといけないんだが、そのホッホベルグ家を拠点にしたいんだが。いいだろうか」
「実家からフェルシアーノ共和国まではそう遠くないわ。今度の事でヨハンには相当感謝しているみたいだから、多分大丈夫よ」
「よしさっそく手紙を出してみよう」




