第38話:水牛
俺たちは自邸に帰って会議を開いた。
参加者は、俺、ハンス、リュウ、ロン、シュタインだ。シュタインはあんまり役に立ちそうになかったが、呼ばないと臍を曲げるので一応呼んでいる。
「と、こういう訳なんだが、何かいい知恵はないか」
「うーん」みな考え込んだ。
「二つの問題がありますね」
「一つは動力源の動物。もう一つは運搬する馬車のような物を考えなければなりませんね」
流石ハンスだ、問題点をしぼってくれた。
「それでは動物から考えよう、意見はあるか」
「そんなこと言ったって、結局馬か牛しかねーんだから、それが使えないんじゃどうしようもないんじゃないかな」
シュタインがもっともな意見を言った。結構こいつも役に立つか。
「それなんだよな、他にいい動物はないかなあ」
「うーん、あとは羊かヤギかロバか」
「どれも無理だな」
「聞いた話だけど、ランド王国の海にはトドという大型の海獣がいるらしい、これを使っちゃどーだい」
シュタイン、結構いい意見言うじゃないか。見直したぞ。
「面白い意見だが、ランド王国と交渉し、その動物を確保して、さらに調教するには、どのくらい時間がかかるか。やってみる価値はあるが、急場にはどうかな」リュウが現実的な意見を述べた。
「うーん」もうここで煮詰まるか。どうしようもないのかな。
そこにユングがお茶を持ってきた。
「みなさん、ご苦労様です。お茶を持ってきました」
お茶を配りながら、みんなが難しい顔をしているのをみて微笑んだ。
「いきづまっているときこそお茶ですよ。一息ついたらどうですか」
「そうだないったんお茶を飲もう」
「そうだ、ユングにも聞いてみよう。泥の中で物を運べるような動物はいないもんかなあ」
それを聞いてユングはニッコリと笑った。
「そんなの簡単ですわ。ぴったりの動物が南部にいます。ハンスは知らなかったの」
「えっ、そんなのいたっけ」
「だから勉強ばっかりじゃダメなのよ。少しは外を見なさい」
「うへー」
「その動物とはなんなんだい、是非教えてくれよ」
「えへん、南部には水牛という動物がいるのよ。泥が大好きで、南部では泥田で大活躍しているわ。そこでは水牛が使えると思うの」
「なんだって、そんなおあつらえ向きな動物がいるのか。これはそれできまりだな」
「よし、ユング、お父さんに言って水牛を揃えてもらってくれないか。これで問題の半分は解決だ」
「すぐ手紙を書くわね。あなたの役に立ててうれしいわ」
「さて、次に運搬の道具だが、車輪は全く使えないと思ってくれ」
「川船じゃだめなのか」
「ソリという手もある」
いろいろ意見が出た。実際に泥地帯を作って試すことにした。
デイジーに命じて実験農場の一角に泥田を作らせることにした。
どれかがうまくいきますように。




