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第33話;ランド王国侵攻12

エーデル隊が、敵の陣形の間隙を駆け抜け、その後方で反転して王都軍へ突撃した。


王都軍は大混乱に陥った。

「なんででここに敵騎兵がいる」

「反転して応戦しろ」


エーデルを先頭にして、揉みこむように敵陣を切り裂いた。

ビクトリアも槍を振い、敵の背中を刺していった。もはや迷いは微塵もなかった。

「ひゃほーい」シュタインが一騎で敵陣に突入した。戦斧を振り回し、敵兵の屍を築き上げている。


「おい、一人で突出しては危ないぞ」エーデルが焦って叫んだ。

「いや、いつものことですから」ヤンが至極落ち着いて答えた。

「あれが普通なのか」

「はい、だから気にしないで下さい、そのうち平気な顔でもどってきますよ」

「あきれた奴だな」

「はい、そのとおりです」


シュバルツ隊と諸侯軍が激突した。諸侯軍は元々戦意が乏しい上に、態勢が整う前に戦闘に突入したため一挙に浮足立った。

「敵は浮足だったっぞ、ここは一挙に押し込めろ」

シュバルツ軍は嵩にかかって攻め込んでいった。


「はてさて」

中央軍のアンゲルは次にどう行動すべきか考えていた。作戦は成功し騎馬隊は敵後方に突入できた。騎馬隊が突入するまで右翼と左翼の間を守るというアンゲル隊の目的は達成され現在は遊軍となっている。積極的行動に移るべき時だ。


「オットー、お前は3000を率いて、ビクトリア軍の応援にいけ。わしは残り2000で諸侯軍にとどめをさしに行く」

「父上は2000で良いのですか」

「良いのだ。あれはもう死に体だ。2000もあれば十分じゃ」


「それよりお前はわしより軍才がある。だから王都軍を攻撃するだけでなく策があれば臨機応変に戦ってよいぞ。だがお前はまだ若い、だから補佐として老練なメッツェンをつける。お前の能力を見せつける時だ、存分に活躍してこい」


「父上、ありがたき幸せ」オットーはうれしさのあまり顔を紅潮させて叫んだ。

「メッツェン行くぞ」

「仰せのままに、メッツェンこの命を懸けて若をお守りしますぞ」

オットー隊が土煙をあげて出発していった。

「さて、わしらも行くかの」


諸侯軍は、もとよりシュバルツ軍に押されまくっていた。そこにアンゲル軍が横撃してきたので、もともと士気に乏しい諸侯軍は一気に崩壊し、四散した。


「シュバルツ様、わが軍の損害は軽微です、すぐに追撃に出られますがいかに」

「よい、どうせ元々まとまりのない奴らだ、散りジリになって自領に逃げ帰っているのであろう。脅威にならん、放っておけ」


「それよりアンゲル、助かったぞ」

「なに、最後の一突きをしたまでじゃよ。わが隊にはけが人さえおらんじゃろ。こんな戦いばかりなら楽でいいんじゃがな」

「よし、態勢を整えたのち、ビクトリア軍の応援にいくぞ」

「その必要もなさそうじゃがな」


「おい、敵王都軍は崩壊寸前にみえるぞ」

「はい、騎馬隊に後方から蹂躙され、もう少しで崩壊しそうです」

オットーはメッツェンの副官のロージンに命じた。

「ロージン、2500率いて敵に止めを刺してくれ、俺は500率いてここで待機する」

「若、それはどうするおつもりです」

「王都軍に止めを刺すより、もっと楽しいことをするのさ。メッツェンいくぞ」

「このメッツェンどこまでも若のそばにおりますぞ」


ロージン軍が、王都軍を横撃すると、いい加減浮足立っていたため後方から逃げ出すものが出だした。それを見て、他のものも逃げ出しはじめた。

裏崩れが始まった。

「よっしゃー、敵は崩れたぞ。手柄立て放題だ」シュタインが歓声を上げた。


「蹂躙せよ」エーデルが命じた。


「よーし、いまだ。あの王城に逃げていく敵を追え」オットーが檄を飛ばした。

500人が突撃した。


それはある程度偉い人たちだったようで、城門から入れない訳にはいかなかったようで、城門が閉じられることはなかった。

オットー隊は、その敵軍と入り混じるように、城門から城内に入っていった。

「エーデル様あそこを」ヤンが城門の方を指さした。


「あの旗は、オットー・アンゲルか。付け入りに成功したんだな」

エーデルが感嘆したように叫んだ。


「はい、残敵掃蕩よりも、城門確保の方が大事かと。城門を確保すればロンディウムは落ちます」


「皆きけ、オットー隊が付け入りに成功した。我々はオットー隊を援護する」

エーデルはロンディウムの城門を指さした。


「あの門を確保すればロンディウムは落ちる」


「そして、ロンディウムが落ちれば」


そこでエーデルはいったん間を取った。

周りにいる全軍が静かになった、その静寂の中エーデルの声が響いた。


「この戦は終わる」


そのとたん周囲から大歓声がわき挙がった。皆武器を振り回して叫んでいた。


「これが最後の戦いだ。皆気張れ」

騎馬隊は歓声をあげながら城門に殺到した。


「おいおい、こいつは結構大変だな」

「望んでやったことでしょうに。でもこれを守り切れば軍功第一になりますよ」

「ま、絶体絶命ってわけじゃない。少しがんばるか」

オットー隊は奇襲により首尾よく城門を占拠できたが、その後倍以上の敵に攻められる事になり苦戦していた。


ここにエーデル隊が突入してきた。

先頭はもちろんシュタインである。戦斧を振り回して突入してきた。そのあとに500騎が続いた。

「なんだ」

敵は訳も分からず殺されていった。


エーデル隊の援軍により、城門は確保された。

みればビクトリア隊とロージン隊7000、シュバルツ隊とアンゲル隊12000がすぐそばまで来ていた。


城外の敵軍はすでに壊滅していた。


ロンディウムの城門は確保された。




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