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第27話:ランド王国侵攻6

西の城壁に濁流が到達したと思ったとたん、重いものがぶつかるような音が連続して響いた。それが無限と思う時間続くと、城壁が少しずつゆがみだし、ついに崩壊した。

津波は城内にも流れ込んでいった。


「やったぞー。城壁が崩れた、攻め込め―」シュタインが躍り上がって喜んだ。

しかしまだ水が引かず、周囲は泥の海と化していたため、泥の近くまで行って、やきていた。

「くそー、城壁が壊れたのに攻め込めないとは」

「もう少し待て、そのうち水が引く」

「もう、ハン。こんなにドロドロにしちゃって、鎧が汚れるでしょう。私はいかないからね」エーデルがプリプリ怒っていた。


そのうち津波も城の下流に流れ去っていき、徐々に水も引いてきた。

城の西側は、丸太や土砂などで埋まってしまい、川の流れが変わっていた。川は蛇行をやめ、まっすぐ城門のある北側に流れを変えていた。そしてそのまま流れ、城を過ぎると元の川に流れていった。

そのため城の南側は干上がってしまい、川底を露わにしていた。


「あら、ここなら汚れずに渡れるわ、ここから攻め込みましょう。エーデル隊いくわよ」

泥を渡って、城壁の崩壊した西側から攻めるもの、川が干上がった南から攻めるものが相次いだ。

俺たちの隊は、シュタインとヤンが率いていたが、城の西側から攻め込んだ。


「ウへ、確かにドロドロだな、歩きにくいっちゃあないぜ」

「しかし、この状態なら矢が飛んでくるのが普通だが、全く飛んでこないな」

「そういや、そうだな。どうなっているんだ」

「それより、なんか城内がうるさくないか」

「なんだか騒がしいな、どうしたんだろう」

「とにかく急いで、城内を見てみようぜ」

「それがいい」


シュタインとヤンは、急いで崩れた城門付近を目指した。足場は悪かったが、城内から反撃が全くないため、ほどなく崩れた城壁の所に達した。

中では多数の人間が剣を交えていた。


「ありゃー、同士討ちしてるぜ」

「うーん、これじゃあ区別がつかん。どっちに味方していいのかもわからんなあ。ハン様に伝令を出そう」

「おい、お前この状況をハン様に伝えてきてくれ」ヤンは身近な兵に命じた。

「はい、この状況を伝えてきます」兵は復唱し、本陣の方にかけていった。

「こりゃあとりあえず、様子見するしかないなあ」

「全員そのままで警戒態勢を取りながら休んでいいぞ」


伝令が駆け込んできた。

「報告します、城内は同士討ちと思われる戦いが行われており、どちらが味方で、どちらが敵か区別できません。どう行動したらいいのか分かりませんとのことです」

うひゃあ、同士討ちしてるのか。城壁が壊されたので、ビクトリア派が勢いづいたな。でもどっちもランド王国軍だから、俺たちには区別がつかんぞ。どちらかが勝つまで静観するしかないよね。でも、一応シュバルツ様には報告しないとね。

「これは俺でも判断がつかん。シュバルツ様の所に伝令を出すぞ」


「うーんどうしたものか」シュバルツはうめいた。あちこちから伝令がやってくるが、報告は一緒だった。内部で同士討ちが起きていて、どちらに味方したらよいか分からず、どうすべきかとの問う内容のみだった。


「ビクトリア卿、卿ならどちらが味方か判断できるか」

「プリマス城は、城将のトーマスがジョン王の親戚のため、こちらは敵と思われます。そして将軍の一人のワイト卿がフィリップの縁戚であり、このものが味方だと思われますが、しかし旗でも出していない限り、判断は難しいかと」

「よろしいですかな。陪臣である臣フィリップに発言をお許しください」

「許す」

「有難うございます。ワイト卿は戦の達人です、また常々ジョン王の過酷な政策を批判しておりました。必ずや城内を制圧し、ビクトリア卿の元にはせ参じると信じております。今ひとつ時間を頂けませんでしょうか」

「わかった、とりあえず包囲して静観するとしよう。ワイト卿を信じるが、もしトーマスが勝った場合は城に攻め込む。それでよいか」

「は、御意のままに」


それから数時間後、剣を打ち合わせる音が徐々にまばらになり、ついには静かになった。

「なんか決着がついたようだぜ」

「誰かこっちくるぞ」

数名の騎士が白い旗を掲げて歩いてきた。

兜もなく、あちこち傷を負った年配の騎士を先頭に、数名の騎士が従っていた。全員どこかに傷を負っていた。戦闘の後なのは一目瞭然だった。


「私はワイトと申すものである。ビクトリア候にお味方するものです。ぜひビクトリア候にお目どうりを願いたい」

全員が首をたれた。

「おお、ワイト卿が勝ったんだな。すぐ伝令をだせ」

「ワイト卿もここは足場が悪い、川を渡ったところまで移動しよう」


「伝令です。ワイト卿が勝利しました。現在ワイト卿はじめ数名がビクトリア候におめどおりを願っています」

「さすがワイトだ。思っていた通りになったな」フィリップが嬉しそうに言った。

「フィリップ、私もいきます」

「まあまて、私もいこう。念のため20騎付いてこい」


ワイト卿はビクトリア候にあうと、片膝をつき、桶を差し出した。

「逆臣トーマスの首です。お改めを」

「確かにトーマス」フィリップが頷いた。

「貴殿らをフィリップ卿の下につけることとする。はげんでくれ」

「有難き事。全力を尽くします」

「城の中はまだかたずいていないだろう。一隊を派遣し、清掃と、けが人の手当てを行う」


これで、プリマス城も落ちた。ほぼ損害がなかったな。河原や、泥の所で転んでけがしたものが数名いるくらいだ。凄くよかったよ。ワイト卿の所は死人けが人が出たようだが、言ってみればブルク王国軍じゃないしね。まあ援助はするよ。

あとは食料の心配だな。出撃してからここまで9日たっている。コーンウオール城で3日分補給できた。元々13日分持ってきたのだから、今日の分を含めてもまだ7日分の食料がある。第二隊の馬車は明日にも到着するだろう。とりあえず食料については何とかなっているな。


翌日、第二隊の輸送隊が、プリマス城に到着した。

途中、何度かジョン王に味方する小部隊の襲撃を受け、一割ほどが焼かれてしまったが、大部分はプリマス城に到着した。


計16日分の食料があるが、持てるのは13日分だ、3日分の食料はプリマス城に備蓄することにした。


第一隊は一度ドーバー城まで返すことにして、第二隊に、補充し、10日分の食料をもち、兵に3日分の食料を持たせて、プリマス城を出発した。




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