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第25話:ランド王国侵攻4

「ハンス工兵隊出陣だ、この城を3日で落とすぞ」

ハンスが高らかに宣言した。

「おー」


周辺から大歓声が挙がった。ハンス工兵隊は、中核の技術者100人に、あちこちから土木や木こりの経験があるものを大量に集め、2000人ほどに膨れ上がっていた。

それらが、全員スぺイ川の上流に向かった。


「ここがいいですね」

ペーターが、指さして示した。そこは川の両側が平らで河川敷があり、その両側が河岸段丘の崖になっていた、そしてすぐ近くに森があった。

「森が近くて、丸太が大量に取れます。川の周囲も平らになっており作業がしやすいです、堰を作るには最適です」


「よーし、ここにしよう。半数は木を伐り丸太を作るぞ。残りの半数は土嚢を作るぞ」

「おー、やるぞ」といって、技術者と直属の部下以外は、木を伐りに、土を掘りに出かけて行った。


予め用意されていた数十本の杭が、丸太の幅くらいに離して2本ずつ川底に打ち込まれ始めた。さらに川の両側の河川敷にも崖まで杭が打ち込まれていった。本当ならこの杭の下流側には杭を補強するために斜めに木材が打ち付けられるところだが、その補強はなされなかった。

さらに、ため池を作るには、ある一定以上の水を逃がすための排水路が必要だが、それも作られなかった。

「それじゃあ、こわれない堰になっちゃうからな」ペーターは不敵に笑った。

杭を打ち込むカーンカーンという音が、周囲にこだました。


「おい、こんなんであの城が落ちるのか」木を伐りながら、兵士の一人が言った。

「知らないけど、戦わなくて済むなら、木を切ってた方が良いな」

「まあ、おれたちは楽でいいがな」

「難しいことはお偉いさんに任せて、俺たちはやれと言われたことをやればいいんだよ」

「まあ、そういうもんか。どうでもいいけどこの木は硬いな」

「ああ、苦労するぜ」

大量の丸太ができつつあった。


「こんな土嚢を作ってるのが、城攻めに役立つのか」兵士の一人が、袋に砂を詰め込みながら言った。

「ほんと大丈夫なんだろうか」

「まあ、ここまでほとんど損害らしい損害がないしな。なんか考えがあるんだろう。何とかなるんじゃないか」

「そうだといいんだけどな」

「いいから命じられた通り土嚢を作ろうぜ」

「そうだな、頑張らないと」

物凄い量の土嚢ができつつあった。


切りたおされた木は、枝を払われただけで、河原に運ばれてきた。大量の土嚢も積み上げられていた。

「よーし、二本の杭の間に丸太を落とせ、その後ろに土嚢を沈めろ」

ペーターが命じた

「初めは数本ずついくからな」

初めのうちは、まだ川の深さが浅いので、歩いて丸太と土嚢を運べた。

丸太が杭の間に落とされて、少しずつ壁ができてきた。その後ろに土嚢が落とされ、壁が補強された。

「本当は下流側にも土嚢がいるんだが、それをすると壊れなくなるからな。まあ今回はやめておこう」

壁ができるとともに、少しづつ水面が上がってきた。

丸太は下流側から運び、さらに壁ができていった。土嚢は水面が上がるとともに、上流からは徒歩では運べなくなり、小舟を使って運ぶようになった。


そして、ついに堰が完成した。

両側の河川敷を含め崖からがけまでが大量の丸太と土嚢でできた堰で遮られ、水がだんだんと溜まってきた。水は川を越え、周囲の河川敷まで溢れてきた。湖のようになってきた。

「よし、これで壊れる堰ができたぞ、みんなご苦労だった」

ハンスが高らかに宣言すると、全員からわーと歓声が挙がった。


「見張りを残して撤退するぞ」

「どのくらいで決壊する」

「予定通り一日半ですな」ペーターが自信をもっていった。

「よし、明後日の朝だな」

「そういうこってすな」

それから、少しずつ、少しずつ水が溜まっていった。水かさは徐々に上がってきており、その水量は想像を絶するレベルに膨れ上がってきた。


翌々日の朝

バキッという大きな音が響いた。

ついに膨大な水圧に耐えられなくなり、堰を作っていた杭が折れた。

杭が一本折れると、その分の水圧が他の杭にかかるようになり、さらに杭が折れた。それからは連鎖反応が起こり、続々と杭が折れ、堰が壊れていった。

そしてついに堰の全てが決壊し、大量の水があふれ出た。

荒れ狂う水は堰を完全に破壊しながら、怒涛の如く下流に流れていった。


山津波が、おきた。







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