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第24話:ランド王国侵攻3

コーンウオール城で一日休み、翌朝俺たちは新しくビクトリア軍となったコーンウオール城兵とフィリップ卿と一緒に出立しプリマス城に向かった。

周辺は、のどかな田園風景となり、さわやかな風が吹いていた。


「こうのどかだと、戦争してると思えませんね」

「油断するなよ、どこに敵がいるか分からないんだぞ」

「なんか、そんな雰囲気は全くないんですけど、ここの王様よっぽど嫌われてませんか」

「確かに、敵地なのに、敵意が感じられないんだよなあ」

俺はリュウと、周辺を一応警戒しながら、しかしのんびりと会話しながら進んでいった。


ビクトリアの体面上、軍勢の先頭には、ビクトリア率いるランド王国軍が、王国の旗をなびかせて進軍している。

そのためか周辺では、農民が頭をさげ、ビクトリア様だ、救世主様だ、と言っているのが聞こえるんだよね。こりゃあ、ジョン王はよっぽど悪政をしいてるな。まあ、こっちには都合がいいけどね。


2日行程で、プリマス城に着いた。

事前の調べで、プリマス城は、川が蛇行した半島のような場所に立っていると分かっていた。西、南、東が川で、北のみ地続きとなっているが、その周辺も湿地帯が多く、非常に攻めずらい城らしかった。


プリマス城について驚いた。事前の予想以上だった。

城はほぼ正方形をしていた。そしてその三方にはスぺイ川が流れており、北の城門があるところも城に続く道以外は、湿地帯が広がり、攻めるところが見つからなかった。

当日は、兵5000人ずつを東西南北の四か所に配置された。


まずは,白旗をもった軍使が城門前に赴き、型通りの降伏勧告がなされた。

「我々は、ジョン王の悪政を憎み、ビクトリア卿に味方するものである。この国を救うために、開城し、我々の味方になってはくれないだろうか」

城からは罵声が返ってきた。

「うるさい、ブルクの犬め。この城は降伏しない。城が欲しくば、攻撃して奪ってみろ」

矢を射かけられて、軍使は、ほうほうの体で逃げ帰ってきた。


「これでは、攻めるしかないな」

早速開かれた軍議の席で、シュバルツが言った。軍議には、シュバルツ、エーデル、アンゲル、クロイツと、王都軍のオイゲン、その幕僚たちがいた。俺は、今回はリュウとハンスを伴って参加していた。


「誰か、策のある者はいるか」

「これは攻めずらいわね、力攻めすると、犠牲が多く出ますわ」

エーデルが眉をひそめた。


「と言って兵糧攻めをするほどの食料がこっちにもない。正攻法しかないのでは」

「攻められる場所は北側しかない、そこも一本道以外は湿地帯だ、どう攻める」

「川に船橋を作ってはどうか」

「作っている最中の犠牲が心配だが」

「では、どうすればいいのか」

「やはり力攻めしかないのでは」

議論は煮詰まってしまい、皆が腕を組んで黙ってしまった


ここでハンスが発言を求めた。

「陪臣ですが、発言してもよろしいでしょうか」

「何かいい案があるなら、許そう」

「私はハン子爵の家臣で、技術面を補佐しているもので、ハンスと申します」

そうハンスが名乗ると、周辺がざわついた。


「ドリルカーのハンスか」

「あのドーバーの惨劇のハンスか」

「しかし、敵は大変だったが、味方の損害はゼロだったぞ」

「損害無く敵の城を落としたんだ、やらせてみてはどうか」

「そういう考えもあるな」

「また、凄い方法で、敵を破るかもしれんな」

「ちょっと、楽しみだわ」


ハンスが進言した。

「この周辺の地形を調べました。その結果、私たちならば3日あれば西の城壁を破壊して見せますが、如何ですか」

みながざわついた。

「そんなことができるの」エーデルが身をのりだした。


「そこで、こいつを紹介します。こいつはペーターといって、行ってみれば土木技術者です。王都では、土手や道路などを作っていたそうですが、事情があってハン子爵の所に移り住んでいます。かの者に策があるそうです」

「あいつは平民ですが、発言を許していただけますでしょうか」

「策があるのであれば、許す。だが、役に立たない策ならただではおかんぞ」

「ご期待には沿えると思います。ではペーター、発言を許されたぞ」


ペーターがおずおずと進み出た。

「おいらは、ただの土木技術者です。しかし王都ではため池も作っていました。ため池を作るためには堰を作る必要があります」

「それと、この作戦がどうつながるのだ」

「まあまあ、最後まで聞いてください」ハンスが間に入った。


「おいらは、どうしたら壊れない堰を作れるかをよく知っているつもりです」

ペーターがニヤッと笑って続けた。

「ということは、どうしたら壊れる堰を作れるかもよーく知っています」

そこでハンスが乗り出してきた。

「そこで、こういう策があるのですが」

ハンスが詳細を語りだした。


皆じっと聞いていたが、突然シュバルツが笑い出した。

「さすが、ドリルカーのハンスだ。面白いことを考える。良い、どうせいい策がないのだ、その策で行こう。なに失敗しても損害はない。食料がちょっとなくなるだけだろう。そこはハンが何とかしてくれるだろうしな」


エー俺に振るかよ、まあハンスは俺の家臣だから仕方ないか。まあいい食料くらいなんとでもして見せるぜ。

「やってみろ」

「有難うございます、よーしハンス工兵隊出陣だ」

ハンスとペーターが躍り上がって喜んだ。


あのー、いつのまにそんなもの作っていたのかな、俺は聞いていないんだけど。俺はちょっと頭が痛いんだけれど。まあ役に立ちそうだからいいけどね。



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