生命
紅の液体が地へと流れ、白銀の髪が赤く染まる。
傷からは血が溢れ出ていた。
『水鵺……しっかりしろ。』
彼は必死に呼び掛ける。
『壱、すみませ……』
言いかける前に、血を大量に吐き出した。
蒼白な顔で、謝る水鵺に壱は首を振る。
『待っていろ。回復魔法を……』
手をかざし、詠唱するも魔法が弾かれる。
『水鵺…?』
『……壱、ごめんなさい。私に魔法は要らない。』
『死ぬつもりか。』
答えない水鵺に懇願するように、問い詰める壱。
『私が居なくとも、彼には貴男と仲間がいるから大丈夫でしょう……私は……』
そう言うと目を閉じ、呼吸も少しずつ浅くなる。
『水鵺、お前は逃げるのか?残念だが、壱と違い俺は生易しい性分じゃないからな。』
宙より舞い降りた崇は水鵺の胸元へ手をかざす。
『我の生命を分け与えん。悠久の地より其のが命に光を灯さんー…最上級蘇生!』
眩い光が周囲を包み、辺り一面が金色と化する。
『君は素直ではないな。』
苦笑する壱。
そんな壱を無視して、眠る水鵺の頬に手を触れる。
『聖なる者よ、彼の者への恩寵を与えよー…』
真摯な眼差しで見据える。
『天へと帰してくれないのですね。君は。』
目覚めの一言に壱は笑いを堪える。
『普通は“有り難う”ではないのか?』
『強制するのですか?』
『水鵺、この俺に感謝もないとは。何て礼儀知らずであろうか?小生意気な。』
壱はこれ以上、討論が続かないようにふたりを宥める。
何だかんだ言いつつ仲が睦まじい三人ではあった。
『有り難う。君には感謝しています。』
小さな呟きを彼は知らない。




