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悠久なる魔法ノ旋律  作者: 瑛樹
2章
9/25

指南

幾日も過ぎ、壱達は後から旅立った仲間との合流に成功する。


『今宵はこの辺りで野営でもしよう。』

壱の一言で各々が準備を始める。

『あ、私と庵で薬草でも探してくるから。ついでに夕餉に使えそうな食材も。』

『二人で行くのか?』

『竜臣殿、大丈夫ですよ。海紗と私は柔ではありませんから。』


海紗と庵が食材を探しに行った後、嶺と駿は壱と崇に稽古による指南を受けていた。

水鵺は黙って4人を眺めているのみ。

『純血だろうが、俺は貴様たかを倒す!』

寝言ゆめは寝てからほざけ。』

嶺と壱は穏やかな指南光景だったのだが、駿と崇は雲行きが怪しい指南光景である。

水と油の関係なのであろうか。暴言も交えつつ、激化してゆく戦術の数々。


溜め息を零したのは水鵺。

『水鵺、俺と手合わせしてくれないか?』

突然の事に驚くみや

『おい、水鵺との手合わせなど認めないからな。』

怒ったのは崇。

『おやおや、水鵺に手合わせを?』

微笑む壱に嶺は悪寒が走るが何も言わなかった。

当の本人は珍しく数センチ、口角を吊り上げる。

その表情えみを見逃さない崇と壱は、溜め息を静かにひとつ吐く。


『私はあんまり戦いを好みませんー…』

赤紫色の双眸そうぼうにドキリとした駿。

このドキリ、は決して恋愛感情ではない。

『えっ……』

『…ですが、この先の戦闘を考えると、軟弱では困りますね。』

目の前に居たはずの者が、一瞬で真後ろへ。

氷のように洗練された冷ややかな空気を纏う彼に同様する駿。

その姿を見ていた嶺も同じく、唖然とする。


『水鵺は戦いを好まないだけで、ひ弱な訳ではないんだよ。』

『そうなのですか?』

『あまり本気を出さないがな。駿を不憫に思うが、自業自得か。』

二人の戦闘を観戦する中で、話を進める。


一方的過ぎて見て居られない状況。

駿が上空へと、神通力で吹き飛ばされる。

既に意識が無い彼に容赦がない。

『今日はこれで終わりですねー…』

赤紫色の瞳が光ると、駿の身体を光が包み込む。

至る所にあったはずの傷が消えて行く。


『どこかの誰かさんと違って、強いんだね~流石は水鵺だよね!』

『確かに莉咲の言う通りだな。役立たず…』

小馬鹿にした口調。

『五月蝿い!悠と莉咲は黙ってろ。』

プンプン湯気を出しながら、怒る駿に油を注ぐふたり。

『黙って聞いていれば、好き勝手言いやがって。』

『黙ってないじゃん。』

莉咲の突っ込みが入ると、きわどい表情をする。

『それは…』

『大丈夫ですよ。彼は人間にしては柔ではないですから。』

『いつかは水鵺を倒してみせるさ。』

意気込む彼に、鼻で笑うは崇。

『あぁ、水鵺を倒せないようでは俺など無理だな。』

『確かに、私でも崇には適わないですからね…』

『嘘だろ!?おたかって水鵺より強いのか?信じられない。』

『いいや、たかは私よりも強い。本気など出されては一溜まりもないですよ。』

『それに戦闘においての水鵺の師範せんせいでもあったのはたかだったからな。』

衝撃を受ける面々。


『そうですね。たかのおかげで今の私があるのも事実ですから。崇は強いですよ?』

『俺もう一度、水鵺と手合わせしたいなぁ。今の話を聞いて余計に戦いたくなったし!』

『今日は水鵺との手合わせは駄目だ。』

懇願する駿に、闇属性を含ませた鋭利な刃物を投げつけ、切り捨てる。

『げっ、今の本気で俺を狙った!?』

『良いから、今日は寝ろ。それか嶺と手合わせでもしていろ。』

半ば強制的に稽古を終了させる崇に腹を立てる駿。


『それにしてもふたりは遅いですね。』

嶺が心配そうに呟く。

『何かあったのかも知れない。私が様子をー…』

『水鵺は休んでいて!私と悠で探してくるから。』


残った面々は黙って夜空を見上げた。

胸騒ぎがするのを、堪え庵達の帰りを待つ。

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