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悠久なる魔法ノ旋律  作者: 瑛樹
2章
6/25

決意

彼方此方あちこちで悲鳴が響き、大地には大量の血が赤い絨毯カーペットの如く、広がる。

辺り一面、息絶えた者の躯の山になっていた。

その光景を目の当たりにした崇と壱は言葉を失った。


『何て酷い有り様だ。』

『止めなくてはならないな。』


『ほぉ、誰を止めると……?』

ふたりは油断をしていたせいか、反応に遅れた。

いや、まさか直々(じか)に対面するのは、先だと推測していたからである。


『しまった!』

振り返る暇も無かった。

なんじ……我に力を貸せ、の者達を煉獄という炎で包み込めー…炎暴風ファイアリー・ブラスト!!』

容赦なく炎が二人に迫る。


『彼の者達を守護まもる事を願わん……聖守護神セラフィムよ、我に力を貸したまえー…聖結界陣ホーリー・シールド!!』

ふたりの目の前に宙より舞い降りた一人の影。

白金色の光が二人を包み込む。


『その力は……!お前は戦いが嫌いではなかったか?』

二人を襲った炎は相殺された。

『えぇ、蓮王……』

『先に貴様を殺めておくべきであったな?水鵺ー……』

忌々しげに見据える蓮。

『だが、今日は文が悪いな。仕方がない……今日の所は引き上げるとしよう。』

そう言うと蓮は詠唱し、その場から姿を消す。


『待て!』

『崇、深追いは止めて下さい。』

水鵺が崇の腕を掴む。

『水鵺のお陰で助かったよ。有り難う。』

『いいえ、二人に怪我がなくて何よりです。それにしても、蓮王は何て酷い行いを……』

周囲の惨状を見て青ざめる。

『とりあえず一旦、この場を離れよう。みやの身体に障る。』

『あ、あぁ……』

『高等魔法をこんな場所で詠唱するからー…って、水鵺!』

崩れ落ちるように、水鵺が倒れ込むのと同時に崇が身体を支えた。

蒼白な表情で気を失っていた。



そんな光景を遠くから黙って見つめていた影が一つ。口角を吊り上げ、不適な笑みを浮かべる。

『玖皇水鵺……君には耐え難い環境だろう。大天使セラフィムなんて召喚するからだ。』

その影は何かの気配を感じとったのか、不適な笑みを浮かべた。

『あぁ、人間共か。黙っていないで、出てきては如何ですか?さぁー…』

その声で木の陰に隠れていた4つの影は強い追い風に押され姿を現した。

『えっ…!?』

『気をつけろ、海紗。あいつに油断してはならない。かなりの強者だ。』

『そのようですね。』

『庵、俺から離れるな。』

『えぇ。』

四人は警戒し、体勢を整える。


『ふふ、……』

『何が可笑しい!?』

『月城駿……口の聞き方には気をつけろ。』

ギロリと睨むと駿に向かって手を翳す。

『えっ!?』

一瞬の内に駿は暴風に飛ばされ、地面に叩きつけられた。緊迫した空気が張り詰める。

『誤解をされては困る。貴様等如きが足掻いたとしても、痛くも痒くもない。』

『人族を甘く見ないで!』

『久遠海紗、貴様も鬱陶しいな。しかし今日の所は多目に見てやろう。』

『私達は貴方方を倒します。絶対にー…!』

凛とした庵の仕草と瞳を見る謎の影。

『それは楽しみだ。その瞳が絶望に染められた時に同じ台詞ことを言えるかな?』

高笑いをして、影は姿を消した。


四人は唖然とする。

『早くあの方達と合流しなくてはなりませんわね。勝利への道を歩む為に。』

『だね!行こう。』

四人は互いに頷き大地を踏み締める。


『幾ら君達でも、人数が少な過ぎないかい?』

『私達も仲間パーティに加えてくれない?』

四人の前に現れ声をかけたのは、同じ位の年齢の男の子と女の子だった。

『今、仲間と言ったか?』

『うん。言ったよ?だってこの有り様は良くないもの!私だって微力ながらも、戦えるわ。』


駿の問いかけに答えた女の子の名前は暁莉咲あかつきりさ

人族と神族の半分ハーフである。


『僕だって戦うよ。その意志もある!例えおうさまだろうとね!?』


莉咲に続いて物申した男の子の名前は虹彩悠にじいろゆう

人族と魔族の半分ハーフである。

二人は十字架学園のBクラスに属する生徒であった。


『そっか!私達以外にも立ち上がってくれる仲間が居たんだね。何か嬉しい。』

『海紗の言う通りですね。私もです…』

『よし、先を急ごう!』

駿が先頭に立ち、面々は壱達と合流すべく赤く染まった大地を突き進む。

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