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好きなら、言ってよ。  作者: ともり。


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# 第九話 特別

# 第九話 特別


送ってしまった。


【……かずまだからじゃないですか】


画面に残る自分の言葉を見て、にちかは固まっていた。


消したい。


でももう送信済みだ。


心臓がうるさい。


何を言ってるんだ、自分は。


スマホを伏せる。


見たくない。


返信が怖い。


でも気になる。


数秒おきにスマホを見てしまう。


既読は、まだついていなかった。


「……お願いだから流して」


小さく呟いた、その時。


既読。


呼吸が止まる。


そして。


【それ、期待するけど】


にちかは完全に動けなくなった。


 


期待する。


その言葉が、頭の中で何度も反響する。


どういう意味。


どこまで本気。


冗談?


いや、かずまはこういうことでふざけるタイプじゃない。


じゃあ、本当に――。


そこまで考えて、にちかはスマホを顔へ押し当てた。


無理だ。


無理無理無理。


好きになってしまう。


いや、もうとっくに好きだった。


 


返信できないまま数分が過ぎる。


すると、また通知が来た。


【困らせた?】


優しい聞き方だった。


責めるでもなく、茶化すでもなく。


それが余計に苦しい。


にちかは深呼吸して、ゆっくり文字を打つ。


【少し】


既読。


すぐに返信。


【ごめん】


また、そうやって引く。


かずまはいつもそうだ。


踏み込みすぎたと思ったら、ちゃんと戻る。


にちかが逃げても、無理に追いかけたりしない。


だから余計に、自分だけが臆病みたいで嫌になる。


【でも】


通知。


【俺、にちかにだけは特別でいたい】


その一文を見た瞬間。


胸の奥が、じんわり熱くなった。


嬉しい。


泣きそうなくらい。


なのに。


頭のどこかで、怖いと思ってしまう。


もし勘違いだったら。


もし自分だけ本気だったら。


もし、この関係が壊れたら。


にちかはスマホを握りしめた。


返したい言葉は、たくさんある。


自分も特別だって。


ずっとかずまのことばかり考えてるって。


でも。


指は動かない。


結局。


【……ありがとうございます】


それだけ送った。


数秒後。


【そこは否定しないんだ】


そんな返信が来る。


にちかは、顔を覆いながらベッドへ倒れ込んだ。


もう、多分。


全部バレている。


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